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ゲンジボタルに関するツィート
1.ゲンジボタルの基礎
ゲンジボタルの基礎
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 14, 2021
① 雄より雌が体が大きく、目は小さい。雄は発光器が2節。
② 雌が光っているとそこに雄がやってきて交尾し、緻密な光の会話がないのが特徴です。
③ 卵は0.5mmの球形で約20日でふ化します。卵は腹にある時から光ります。
④ マルピーギ管は輪っか状で、内臓と脳は大きい。 pic.twitter.com/p5eExl6eXb
2.ゲンジボタルの卵について
《ゲンジボタルのこと》その①
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
これまで、ゲンジボタルのことをほとんど紹介できていませんでしたので、せっかくなので、その魅力を卵から幼虫、蛹、成虫と少しずつ紹介していきたいと思います。
《ゲンジボタルのこと》その②
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
ゲンジボタルの卵は0.5㎜ほどの球形をしています。産卵3時間後くらいに卵の中心に雄性前核と雌性前核が移動して受精して、胚発生をはじめます。ふつう昆虫の胚は卵黄の表面や一部が陥入して発生が進むのに、ホタルのは完全に沈入します。胚発生も変わってます。 pic.twitter.com/ZDMMScbLTY
《ゲンジボタルのこと》その③
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
卵はほぼ球形をしているので、向き(極)がよくわからないですが、よく見ると赤い点があるのでなんとなくわかります。
これは『卵門』という精子が入る孔です(写真①)。この卵門には精子が孔の位置を迷わないように孔の周囲に道があります(写真②)。 pic.twitter.com/kmGXTEKu28
《ゲンジボタルのこと》その④
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
産卵直後の卵はクリーム色をしていて、まんまるでツヤツヤしてます(写真①)。胚が成長するに従い、硬く黒くなります。
殻の表面には全体に小さな窪みがありまして、1層の薄い膜が覆います(写真②*剥がれているのが膜)。殻の厚みは1μmほどです(写真③、④)。 pic.twitter.com/w1xCZ4l7iW
《ゲンジボタルのこと》その⑤
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
卵は光ります(写真①、②)。産卵直後は全体がぼや~と光りますが(③)、産卵から10日を過ぎて胚反転して幼虫の体ができてくると幼虫の一対の発光器が機能しはじめるので、光が強くなります(④)。
でも、ふ化前日はほとんど光らなくなります。 pic.twitter.com/Z4IoA6w9Op
《ゲンジボタルのこと》その⑥
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
産下10日目以降に光が強くなったなった卵はずーと光っているわけではなくて、思い出したように光をつけたり、消したりします。それは、ふ化するまで、光るのを練習しているかのようです。
※産下18日目の卵の発光映像(矢印のところ) pic.twitter.com/1nc2YB31Kj
《ゲンジボタルのこと》その⑦
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
卵の中ですくすくと育った胚は幼虫の体になります。よく見ると卵の中でピースしています(写真①、②)。でも、これは肢ではなくて触角です。
また、前胸背板は2枚に分かれています(写真③)。でも、ふ化して1回脱皮すると1枚になります。
※写真は産下20日目。 pic.twitter.com/wx8g8xizkI
《ゲンジボタルのこと》その⑧
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 5, 2019
卵の中で育つ過程で『側脚』という、ふ化する時には退化する幻の肢が腹部第1節にできます(写真の矢印)。これは、ふ化するために卵の殻を軟らかくする物質を出す器官として知られています。これまでいくつか昆虫の胚を見ましたが、ホタルの側脚は特別大きい気がします。 pic.twitter.com/vomoLOrtFx
《ゲンジボタルのこと》その⑨
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 6, 2019
卵の殻を内側から破るのはふ化する幼虫にとってとても大変なことです。そこで、多くの昆虫は卵を切るための歯(卵歯)をふ化する時だけ持っています。でも、ゲンジボタルはそれを持ちません。
さて、どうやって破るのかと観察してたら、大顎(写真)で破るのでした。 pic.twitter.com/p3VWhdnExd
《ゲンジボタルのこと》その⑩(続)
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 6, 2019
ふ化した幼虫(写真①)の触角の先端には2本の突起があって、片方が感覚器(匂い?)になって、他にも毛のような感覚子などもいくつかあります(②、③)。
ゲンジボタルのことは書くことが多くてキリがないので、幼虫以降についてはまた次の機会にご紹介します。 pic.twitter.com/en9HT3uFKx
ゲンジボタルの成虫の季節は終わり、次は卵と幼虫の季節になりました。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) July 3, 2024
成虫の発光も綺麗ですけど、卵の発光も綺麗です。
卵には、体(幼虫)の光と発光器の光と2種類の光があって、色がやや違います。
そして、発光器の光は一応成虫みたいに明滅します(③)。 pic.twitter.com/MUglfRQTOx
ゲンジボタルの卵の発光の映像です。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) July 3, 2024
とても弱い光なので、超高感度カメラを駆使してもこの程度の光しか捉えられません。
触るとすべての卵が光ります。
産卵後、胚反転する10日目くらいから光が一気に強くなりますが、ふ化前日は光らなくなります。 https://t.co/3V0P4XVMVc pic.twitter.com/M1ZRr0K1cy
3.ゲンジボタルの幼虫について
ゲンジボタルは世界でも珍しい幼虫が水生のホタルなのですが、蛹になるために陸上の土の中に潜らないといけません。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 1, 2022
そのため、3月末から4月上旬の雨が降る夜に上陸します。
その時、多くの幼虫がお尻の尾脚で体を舐めるように動かします。体が乾燥しないように水つけているのかな? pic.twitter.com/2NQrwV7db5
ちなみに、蛹になるために土繭の中にいる前蛹の時も頭側とお尻側が別々の色に光ります。 pic.twitter.com/y06hSBPzGm
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 30, 2022
4.ゲンジボタルの蛹について
補足しておきます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 30, 2022
ゲンジボタルやヘイケボタルでは(蛹の時にはわかりやすいですが)、蛹の時はお尻だけでなく頭側も発光します。
体内にルシフェリンがありますが、化学反応に使われる酵素のルシフェラーゼが頭側とお尻側では違うので、光の色に違いが生じます。 pic.twitter.com/MaiCgKwkeG
ゲンジボタルの蛹は頭とお尻が発光する。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) July 4, 2024
そして、頭の光とお尻の光は色が違う。
さらに、前蛹期(写真①)、蛹になりたて期(②)、複眼着色・翅はまだ無着色の時期(③)、羽化の前日時期(④)でも光る部位が変わる。
そして、羽化前日の翅の先の発光はまた独特。 https://t.co/ujYKVPiMWE pic.twitter.com/XaDrtcxHNn
ゲンジボタルの蛹の、発光器の発光は強いから肉眼でもわかるけど、頭や翅の光はとても弱いのでなかなかわかりにくい。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) July 4, 2024
超高感度カメラで撮影した動画はこんな感じで、頭も翅も光っているけど、とても弱い。そして、それらは点滅しない。
土の中で誰に見られることもなく、ひっそりと光っている。 https://t.co/1YenGriToR pic.twitter.com/2paub2pJ6r
5.ゲンジボタルの成虫について
ゲンジボタルの複眼には無数の個眼があります。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 18, 2021
昼間は各個眼が仕切られていますので、各個眼が像を結び、物の形が見れます(連立像眼)。
でも、夜になると各個眼の仕切りがなくなり、たぶん、あまり物の形はわからなくなるけど、光への感度が格段に上がります。
写真は複眼の断面です https://t.co/6Lhf0yog6z pic.twitter.com/bqKUq2Kzof
今の時期しか見れないので、ゲンジボタルの発光器を調べてます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 4, 2021
ゲンジボタルの発光器の表面を詳しく見てみると、発光器がないところはツルんとしているのに、発光器の表面にはイボイボがあります。
このイボイボは光を外に効率よく照射する(光が内側に反射しにくくなる)のに役立つ構造だそうで。 https://t.co/DNSeFJnQ9C pic.twitter.com/KAXASUe8vW
発光器は反射細胞と発光細胞から成ります。そして、これらには、神経と一緒に空気を送る気管が入り込みます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 4, 2021
気管の内側は螺旋状をしていて、毛細気管が分岐します。そして、分岐の部分には気管終末細胞というのがあります。
この細胞はいったいどんな役割があるのでしょうね。。 https://t.co/xnlFVMjX0Z pic.twitter.com/NDlqyZUPpf
組織切片とかμCTとかでホタルを見ていると、発光器の外側の輪郭(赤)と発光細胞というか反射細胞の輪郭(緑)が対応しているように見えます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 4, 2021
懐中電灯の背に鏡があるように、発光細胞にも反射細胞がありますが、発光器の表面の形と反射細胞の形が対応することで効率よく光が外に出るのかな、、? https://t.co/ENlGzDrQH8 pic.twitter.com/oMBpswx6Fd
ゲンジボタルの皮膚です。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 23, 2021
皮膚はキチンを含まない数μmの薄い『外表皮』があって、その下に200μmくらいのキチンを含む『原表皮』に分けられます。
外表皮はさらにセメント層とかロウ層など耐水や酸から守り、原表皮は強度を保ち、脱皮に関与します。
各層がそれぞれ役割が違います。 pic.twitter.com/z1H8pfMKru
ゲンジボタルの精子です。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 23, 2021
精子は0.3mmほどのとても小さなものです。
精子はコケやイチョウ、生物が持ってますが、どれも泳ぎます。
でも、歩く精子とか飛ぶ精子とか生物の進化のように精子も進化したら面白いのにな~と、顕微鏡を見ながら妄想します。 pic.twitter.com/yxNeXIMxWe
ゲンジボタルは危険を感じると体の節から白い液体を出します。この液が臭い匂いの元です。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 29, 2022
どのホタルも一応、この液を出しますが、ゲンジボタルは特に多くの液を出し、臭いのです。
幼虫も匂いを出しますが、成虫とは違う匂いです。 https://t.co/Rr2WsobnjQ pic.twitter.com/vHIIm52DKr
あと、せっかくなので、もし お子さんと一緒に見に来られたらホタルを捕まえて発光器の光をじっくりご覧ください。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 29, 2022
また、ゲンジボタルは臭いですから、匂いもじっくり嗅いでください。
この時期しか体験できませんから。
いくつかオススメの観察方法をご紹介しておきます。※雑誌「とよたの」より pic.twitter.com/bNON686Kv4
発光器の光るところをじ~と見てると、発光器に生えている白い産毛のような毛が光を拡散しているように見えます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 24, 2022
他の腹部にも同じような毛があるから関係ないでしょうけど、これが光の拡散に役立っていたら、これを模倣して、いつかスマホの表面に毛が生えたりして。
なんて馬鹿なことを妄想します https://t.co/1IuDAay7LE pic.twitter.com/HxHgFSyZVo
最近は、ゲンジボタルの発光を観察できます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) May 24, 2022
発光器の表面には無数の毛が生えていて(写真①、②)、その毛は太く短いものばかり(③)。
発光器の表面のクチクラにはコブがいっぱいありまして(④)、光を外に照射しやすい構造です。
この構造はスマホの画面などにも模倣されているらしい。 pic.twitter.com/7Zwx9Cmlxm
ゲンジボタルは飛翔しながら集団で点滅がシンクロします。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 22, 2022
どうして、そんなことができるのか、、
画面に映るすべての個体を追跡解析できたらいいのだけど、不規則に移動しながら不規則に点滅するから、難しい、、
鉢合わせした時→https://t.co/x8xv6Xb3cY
飛翔時の体勢→https://t.co/UNOADFdSrr https://t.co/JN9FfRafbp pic.twitter.com/deqYGaEstA
ゲンジボタルは飛びながら雄が点滅をシンクロさせます。
— 豊田ホタルの里ミュージアム (@toyotahotarum) June 22, 2022
でも、飼育ケースの中でシンクロすることはありません。
彼らは『飛びながらシンクロする』のです。
そこで、風洞の中で飛ばしてシンクロするか調べてみると2~4個体で一応シンクロしました。
でも、まだ何か別の条件も必要なようです。 pic.twitter.com/YEGhsldRYo
ゲンジボタルの交尾と言いますか、交尾器の接合について上の動画で解説しましたが、これでは十分に説明できていないので、ここで補足します。
![](https://assets.st-note.com/img/1675581272019-9S3oitPWZl.jpg?width=1200)
まず、ゲンジボタルの交尾器は内袋が膨らむタイプではなく、陰茎の途中から精子がでますので、陰茎の先というのは産卵管から受精嚢管に入れるためのガイドのような役割があると考えられます。そのため、オサムシなどのような鍵と錠の関係にはなってなく、種の認識については交尾器を挿入する前の配偶コミュニケーションや発生の時期・時間・場所を限定することで行っていると思います。
さて、交尾器は産卵管の先から陰茎が入り、そのまま奥の受精嚢管に入らないといけませんが、ここで、問題なのが、産卵管の先から受精嚢管の間には高さの違いがあります。それを克服しないと受精嚢管に陰茎ついては精子を入れることができません。
![](https://assets.st-note.com/img/1675581604790-R1H60NiIkZ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1675581633952-qtvEuaHYeJ.jpg?width=1200)
産卵管の先と受精嚢管の孔の間には段差がありますが、これを攻略するために陰茎は横から見ると立ち上がり(曲がっている)、この角度が丁度、産卵管と受精嚢管の段差の形になっているわけです。
そのため、ゲンジボタルは雄が雌の産卵管の先に陰茎を挿入して、そのまま差し入れると陰茎が曲がっていることで自動で受精嚢管に入る仕組みになっています。
そして、ゲンジボタルは雌の左側からしか交尾器を差し入れることができないのですが(雌の右側や背中からは交尾器を挿入できない)、それは体に対して雄の交尾器がやや横を向いて収納されていることと輸精管が体に対して左に曲がっていることによると考えられます。そして、この輸精管が曲がっていることは、交尾後に尾と尾が繋がったまま一直線になる理由とも考えられます。精子を送りこむ際に輸精管をまっすぐにしないと効率よく精子を流し入れることができないのもかもしれません。