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妄想アマガエル日記(53)-4月1日(月)晴れ

「あり得る!!」
日出夫と小太郎がつぶやいた。

「じゃ、アイツの跡を辿って、探しに行くか!」
与助が後ろを振り返りもせず、穴の方に進んだ。

八助、七助、六助、日出夫、小太郎の順番で、与助のあとをついていった。

「あっ、あの壁のところが凹んでる!!」
先頭を歩いていた与助が指差して近づいた。

皆でその凹みを見ながら、その周囲をぐる~と見渡した。
その場所は部屋を作るための朽ち木の樹皮や落ち葉、石が置いてあった場所の近くであった。

「なんか、ここの倉庫さ~。。最後に来た時によりも物が少なくなっていないかい?」
八助が首をかしげて言った。

「確かにね、、、君たちの部屋を作った時に最後に少しここを整理したけど、もう少し落ち葉とか朽ち木とかあったような気がするな。」
与助が近づいて行って、八助の言うことに頷きながら答えた。

「もしかしたら、銀次郎は寝相が悪くて転がって行ったんじゃなくて、何か考えがあって、樹皮とか落ち葉を何かに使って、何かしているんじゃないかい?」
「だから、この壁の凹みも何か意味があるんじゃないかい?」
六助がひょいと七助の後ろから首を出して与助に言った。

「まぁ、、、そんなこともあるかもしれないけどね。。」
「銀次郎って奴はね、、、君たちが想像する以上の寝相の悪さだし、なにより寂しがり屋なんだ。。」
「だから、一人で早く起きて、何かをするなんて、ちょっと考えられないんだよね。。」
与助が腕を組みながら、トノサマガエルたちに言った。

「でもな~。。ほらっ、この前なんて、アイツは、一人でナメクジとか石とか隠してさ、俺たちには内緒の秘密の部屋にいたことがあったろ?」
「また、何か変なことしてんじゃないか?」
小太郎が与助に近づきながら言った。

「そういえば、、、そんなこともあったか。。。」
「じゃ、この壁の凹みも、落ち葉とかがないのも、アイツがまたなんか俺たちに内緒でなんかしてるんかね?」
与助が、小太郎に言われて、納得して、小太郎に聞いた。

「どうだろうな、、、?」
「アイツのことは未だによくわからないからな~」
小太郎が腕を組みながら答えた。

「あっ、でもあそこにまた壁が凹んでるところがある!!」
六助が指差した。

皆でぞろぞろと歩きながら近づいた。そこは、穴の上に上がれる隙間の入り口だった。

「もしかして、この穴から外に出たんじゃないかい?」
七助が穴の上の先を指差して言った。

「まぁ、確かにな、、皆の部屋がある穴の入り口は塞いだままだから、あそこからは外に出ていないと思うけど、ここは塞いでいないから出たかどうか、わからないな。。」
与助が腕を組んで考えながら言った。

「でも、ほらっ、トンネルのあの先に落ち葉と朽ち木が落ちてるし、壁に凹みがあるよ!!外に出たんじゃなくて、あのトンネルの先に行ったんじゃないかい?」
六助が指差して言った。

また、皆でぞろぞろとその凹みと落ちていた落ち葉や朽ち木のところに行った。

「あっ、トンネルの奥のあの壁にもまた凹みがあるぞ!!」
「いったい、どういうことなんだ?この凹みは何なんだ?」
小太郎が少し困った感じでつぶやいた。

トンネルの奥の凹みまで進むと、そこはY字に分かれていた。

「あっ、俺たちはあっちから来たんだよ!!」
六助が右側のトンネルを指差して言った。

そして、左側のトンネルは地面が少し湿っていた。

「どっちに行ったんだろうな~??」
与助が困ってどちらも少し進んで凹みを探した。

「あっ、凹みはないけど、こっちのトンネルの地面はね、なんか最近通ったような跡があるわよ♡」
日出夫が言った。

「さすが日出夫だな~。俺たちの視点の高さじゃ、それはわからないよ。。。」
与助が感心して言った。

「ちょっと、失礼するよ。」
そう言って、小太郎が日出夫の頭の上に背中から登った。

「ほんとだ!!何かが通ったような跡が結構遠くまでついているよ!!!」
小太郎が少し興奮して言った。

そして、
「久しぶりに、このまま頭に乗らせてもらってていいかい?」
小太郎が日出夫に聞いた。

「もちろんよ♡」
日出夫も嬉しそうに答えた。

「じゃ、こっちの湿った地面の方に行ってみよう!!」
与助が皆に提案して、先頭を進んだ。

湿っていた地面のトンネルは真っすぐで、時折、天井から光が漏れて完全には暗くならず、少し登り坂になっていた。

「さすがに、いくら寝相が悪いって言ってもこんなジメジメした地面の、しかも登り坂を登れるわけないか。。。」
与助が少し恥ずかしそうに独り言を言った。

「あっ、あの坂の上の壁に凹みがあるぞ!!」
小太郎が日出夫の頭の上から見て、指差した。

皆でその凹みに近づくと、その先にトンネルの出口があるようで、強い日差しが差し込んでいた。

「いったい、、、ここはどこに出るんだ??」
与助がそう言って、その光の先に進んだ。

それに続いて皆も、逆光で黒い影しか見えない与助の後に続いて、真っ暗な穴の中から、明るい光に包まれた外に出た。

そして、皆が口を揃えて驚いた。
「えっ!!!!!」
「えっ!!!!!」
「えっ!!!!!」
「えっ!!!!!」
「えっ!!!!!」「えっ!!!!!」

つづく。