妄想アマガエル日記(49)名探偵 与助編-1月28日(日)曇り
俺の名は与助。全身青色をしたアマガエルだ。
これまで、多くの難事件を解決に導いてきた。あの有名な「スダジイの洞(うろ)密室事件」とか、「枝に串刺しアマガエル事件」なども私の推理によって解決された事件だ。詳しく話すには時間が足りないから、割愛させて頂く。
そのため、周りからは「名探偵」などと呼ばれることがあるような、ないようなである。
そして、俺には助手がいる。
まぁ、助手といっても特に何もしないけど、ただいつも一緒にいるというだけだが、名を銀次郎と言う。
そして、また俺の前で難事件が発生した。
それは、あるトノサマガエルが言った一言から始まった。その一言で、とあるヌマガエルが目を泳がせて、「知らない」と言ったのだ。
その瞬間、俺の青色の脳細胞が一気に動きだし、ある一つの答えを導き出した。
これは、何かある!
そして、その俺の直観を見ていた助手の銀次郎もまた異変に気付いたようだった。
さて、まずはこの容疑者をどうやってその犯行を実証するべきか、、、、
まずは、質問をしてみることにした。
「おい、小太郎、どうしたんだい?なんでそんな目が泳いでいるんだい?」
すると、その容疑者はこう言った。
「ん?目なんて泳いでないけど。。。。?」
ふん、想定内だ!
そういう回答が来ることなんて、簡単にわかっていたさ。なんといっても俺は名探偵なのだからな。。。
「そうかい?なんか、さっきからトノサマガエルたちのことをチラチラ見ているし、なんか考えているように見えたから、本当は彼らのことを知っているんじゃないかと思ったんだけど、違うのかい?」
「え? そう?知らないよ。知らないから、これから一緒に住む人たちがどんな人か気になるから見ていただけさ。」
ふん、そう来たか!
まぁ、それも想定内の回答だ。じゃ、次は助手に少し調べさせておこう。
小声で銀次郎にいくつかのお願いをした。
すると、銀次郎が八助と七助と六助に近づいてそれぞれに耳元でいろいろと説明して話しを聞いた。
それを横目で見ながら、与助が小太郎に聞いた。
「いいのかい?」
「俺の洞察力と推理力、そして銀次郎の調査力(ただの話し好き)を侮っていませんか?」
「下手人さんよ。。。」
それを聞いた小太郎が少しうろたえ始めてきた。
そして、助手の銀次郎が仕入れて来た情報を与助の耳元で説明して、それをうんうん頷きながら聞いた。
すべての情報を総合して「名探偵 与助」は一つの答えを導きだした。
「なるほどな。」
「お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。この難事件、この名探偵がすべて解決しました。」
「そう、小太郎はウソをついている!!!!!」
ピシっ~と小太郎に指差して言った。
「えっ!!」
「えっ!!」
「えっ!!」
「えっ!!」
「えっ!!」
一同が驚愕した。
「なんだってそんなことを言うんだい?」
「証拠も何もないだろ?」
小太郎が必死になって言った。
「いや、君はウソをついている。君は彼らのことを知っている。」
遠くを見ながら与助が言った。その脇には銀次郎が頷きながら聞いている。
「そんなことないさ。今日はじめて会ったんだ。」
小太郎が答えた。
「いや、銀次郎が彼らに聞いたところ、君は水路の崖で岩が落ちて来た時に助けられたり、洞窟から助けられたりしたはずだ!!!」
「それを俺たちに気づかれたくないから、ウソをついたんだ!!!」
「証拠がないじゃないか!!」
小太郎も食い下がらない。
「そうか。まだ白を切るんだな?」
「じゃ、これを聞いてもウソだというんだな。」
与助が銀次郎に日記を出させた。
「銀次郎、言ってやりな。」
「うん、わかったよ。」
「以前、君から聞いた話しの中で、水路で石が落ちて来そうな崖を登った話しも、真っ暗な洞窟を冒険した話しも聞いているんだよ!!!この日記にちゃんとそれが記されている!!(26話でも触れている)」
「そっ、それは。。。」
小太郎が答えに詰まってしまった。
それを見て、与助が小太郎の肩を叩きながら言った。
「もう、楽になりなよ~。小太郎さんよ。。。。」
「ん~~、、、」
「はい、、、、ウソをついていました。彼らのことを知っています。」
小太郎ががくっと膝をついて言った。
「よし、それでいいんだ!」
与助がニコッと微笑んで言った。
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「って、君たちはいったい何してんだい?その茶番はなんなんだい?」
七助が少し呆れて言った。
「まぁ、ただの遊びさ!」
与助が少し恥ずかしそうに言った。
「ありがとな与助。。。これですっきりしたよ。。。」
小太郎も嬉しそうに言った。
「まったく、世話がやけるよ。。。」
与助が小太郎の肩を叩いて言った。
「これで、一緒に住みやすくなったよ。」
小太郎が言った。
そして、小太郎が七助と八助と六助に知らないフリをしたことを謝って、以前助けて貰った御礼を言った。そして、皆でその時の話しで盛り上がった。
話しが一段落した頃に、小太郎がポツリ、ポツリと話し始めた。
つづく。