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 同じようなフォントの文字やパソコンで描いたイラストが道行く看板やさまざまな媒体に溢れています。それに見慣れてしまって、普段は何も気にならないのだけど、たまに小学校などに行くと、子供たちが描いた絵や文字を見て気づくことがあります。

 それは、1枚も、1文字も同じものがなくて、わざわざここに来た意味があるというか、不均一な物に対して、ホッとするのです。

 たぶん、自然に溢れる木々の葉や石、生物における不均一なものを見るのと同じような感覚が得られるのだと勝手に思っています。

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 だから、当館の展示ではなるべく不均一なもので作り上げようと思っています。これが、「第2話 当館の軸」で少し触れた「オリジナルの物を展示したい」という軸の一端です。

 つまり、看板を作るにしても、デジタルで描いた地図やイラストをそのまま出力するのではなくて、わざわざプロジェクターで投影して、それをなぞって、手書きした看板を作ってみたり、デジタルで作ったものを出力して、アナログのスタンプを作ってみたり、デジタルで一旦イラストを描いて、その輪郭だけを印刷して、それを絵具で塗ってみたりと、デジタルをアナログに変換することで、不均一なものを生み出すようにしています。

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 ▲デジタルで作ってプロジェクターで投影して、手書きした看板

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▲デジタルで作って出力したスタンプ

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▲デジタルで作って、輪郭を印刷して絵具で塗ったイラスト

 このように、「デジタル」を「アナログ」に変換することで、そこには歪みというか不均一が生まれて、展示している看板一つにしてもここにしかない物となり、「わざわざこんな田舎まで来た意味がある」と思って貰えるような気がするのです。

 さらに、当館が展示しているのは、自然のものですから、それらもまたすべて不均一なのです。

 まぁ、下手なイラストがごまかせるという意味も、無くはないのですけどね。。。