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最近は、時間を見つけては藻類の企画展を作っている。

企画展を作るというのは案外大変で、自分の好きな分野や自分の専門であれば多少やり方もわかるのだろうけど、いつも知らない分野を対象にすると決めているから、苦労する。

ただ、これまで190を超える企画展を作ってきたから、苦労の仕方というのは、なんとなくわかってきた。

知らない人から見れば、何も知らない分野の企画展を作るという作業はいったいどんなことなのかわからないかもしれないが、簡単に言えば、高く頑丈な壁をその分野の専門的な知識と技術を習得してよじ登るようなものである。

趣味でやっている程度であれば、多少間違えていても問題ないと思うが、金を払ってもらって見てもらう展示であるから、間違いは許されない(とはいえ、間違いもあるだろうけど)。もし、明らかな間違いがあれば、それを見た専門家の人たちは鬼の首をとったように指摘してくる。だから、そんな人に対しても指摘されない内容で作らないといけない。ただ、難しく作ってはいけない。見てもらうのはだいたい専門家ではないのだから。

そんなこんなで、企画展というのは、作らないといけない。

ただ、私の場合、それに使える時間は2週間しかない。だから、その短い期間で壁をどうにかしてよじ登らないといけない。

しかし、実際、私はそんな壁を最初からよじ登ろうとはしない。
イメージでは、壁をよじ登ったその分野の専門家たちが落としていったゴミや欠片をこちら側の壁の下を歩きながら探して集めるという感じである。

つまり、どうせ私はそんな短い期間でその分野の専門家になんてなれるわけはない(なろうとも思わない)のだから、論文なども必要な部分だけを読んでいくし、技術なども基本から学ぶつもりもなく、必要な技術だけを習得していく。たいてい教えてくれる人もいないから、どういう方法だろうが、締め切りまでに論文などを読みまくって論文の知識を主体で一般の人に興味を持って貰える展示やテキストが作れればいいのである。

次の企画展の淡水生の付着藻類についても、どういう方法だろうが、できればいい。ただ、今回は丁寧に教えてくださる先生がいるから、大変ありがたい。

しかし、ちゃんと作れるのか、わからない。。。
とりあえず、専門家たちが落としていったゴミや欠片を探して壁の下を歩き回るしかない。