妄想アマガエル日記(36)-11月5日(日)晴れ
「お前、、いったいそれは、、、何やってんだ、、、???」
落ちた朽ち木の残骸を除けながら、うつ伏せになった与助が体を起こしながら銀次郎を見上げて言った。
「・・・・・・」
「その体中に貼っている葉とか、その手に持っている小石とか、、それはなんなんだ?」
起き上がった小太郎が銀次郎に聞いた。
すると、
「これはね。。。本当は内緒なんだけどね。。日出夫先生に教えて貰ったお肌の手入れなんだよ。。」
銀次郎が少し恥ずかしそうに言った。
「肌の手入れ?んなもん、なんでやっているんだ?」
与助が体についた朽ち木の粉をはたきながら起き上がって聞いた。
そして、日出夫と一緒に穴に泊まった時に聞いた肌の手入れをしないと冬を越した時に大変になることや、その後に肌の手入れの仕方や必要な物を教えて貰ったことなどを説明した。
それを聞いた与助と小太郎は2人で顔を見合わせた。
「んなわけないだろ?肌の手入れしている蛙なんてアイツだけだろ!」
「銀次郎、、、お前は騙されているんだよ!」
与助が少し呆れて言った。
「そうそう、肌の手入れなんてする蛙なんて、アイツだけだろ。」
小太郎も与助に同調して言った。
「そうなのかい??だってちゃんと肌の手入れしないと落ち葉みたいにペラペラになるなんて言っていたんだよ!!」
銀次郎が困ったように言った。
「んなわけないだろ?」
「ペラペラになるって、、ど根性ガエルじゃあるまいし。。」
与助が呆れて言った。
「じゃ、なんで日出夫先生はそんなことを言ったんだい?」
「そのさ~、、先生ってのやめろよ~」
与助が嫌そうに指摘した。
「ひでおちゃんはなんでそんなことを言うんだい?」
銀次郎が言い直して言った。
「わからないけど、、、たぶん悪気はないんだろ。確かにそれをやったら多少肌にはいいのかもしれないし。。」
「銀次郎の肌も美肌にして小太郎だけじゃなくて、2人の肌を触りたいんじゃないか?」
与助が冷静に想像した。
「なるほどな~。。」
銀次郎が少し納得して返事をした。
「まぁ、とりあえず理由は後で日出夫に聞いてみるとして、とりあえずその体に貼ってる葉っぱとか取ろうじゃないか。」
与助が銀次郎に提案した。
「そうだね。でもね、、、さっきから取ろうとするんだけど、このナメクジのぬめりってなかなか取れないんだよね~」
銀次郎が困ったように言った。
「そうなのかい?」
小太郎がナメクジを触ってぬめりを確かめた。
「ほんとだな~。。全然取れないな。」
「日出夫に取り方は教わってないのかい?」
与助が銀次郎に聞いた。
「そうなんだよ~。。使い方は習ったんだけど、取り方を習うの忘れていたんだよ。。」
「じゃ、とりあえず日出夫に聞きに行こうじゃないか。」
与助が提案した。
そして、集めて置いたナメクジを逃がして、3人で朽ち木に戻ることにした。
途中、銀次郎がぎこちなく体を動かしながら
「なんだか、、ぬめりがなくなってカピカピに固まってしまったよ~」
と困りながら言うと、
与助が「困ったな~、、、これじゃなおさら簡単には取れないな。。。このままだと体が動かせなくなるんじゃないか?」と心配して言った。
どうにかいつもの朽ち木に戻った3人は日出夫の穴に入って日出夫を呼んだ。
でも、いくら呼んでも日出夫の姿はなく、出て来なかった。
諦めて戻ろうとすると、穴の奥にいた小太郎が落ちていた報告書のような冊子を拾い上げて2人に見せて言った。
「おい!見てみろよ!これを!!!!!」
その表紙にはこう書いてあった。
『蛙第3形態計画(秘)』
「おい、、、これは?」
3人が、つぶやいた。
つづく