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第10話 ほうれんそう

 当館は常勤職員が一人しかいないとこれまでこのnoteで書いて来ましたが(第2話第3話参照)、教育委員会直轄の施設ですので、当館を管理する上司がいるし、当館の事務の仕事を手伝ってくれる教育委員会の方もいるわけです。この方々はいつも相談に乗ってくださり、解決できる方法を共に模索してくれます。ただ、私は“報告・連絡・相談”を欠かさない人間なので、何かをする時や何かが起きた時は真っ先に相談します。相談が多くて困らせていることもあるかもしれませんが、すべてを知っておいて貰った方が物事はスムーズに進みますから、何かを始める時は、始める前から相談して、途中の失敗したことなどもすべて相談するようにしています。一人の考えなど大したことがないことを十分に認識していますから、“報告や連絡や相談”というのはとても大事なことだと思っています。何事も、言わないと伝わりませんから。

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 また、何故かわかりませんが、学芸員をしている私のことを館長と誤解される方がおられるのですが、当館には週に1日勤務の非常勤の館長がいます。現在の館長は増野和幸さんという方で、元々は中学校の先生をされていて、中学校の校長をしながら国立の某大学に通ってカタツムリの研究で博士号を取得したり、学芸員の資格を取得したりと、とても向学心が高く、校長を退官後は、当館の館長をしながら高校で生物を教えたり、専門学校で化学を教えたり、地元の世界遺産の解説ボランティアをしたり、科学教室を主宰したりと地域や後進の育成に一生懸命な方です。

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 ↑館長の増野和幸さん @第2回自然史体験の日

 私が出会ったのは2006年のことです。その年、カタツムリの企画展をしようと思ってカタツムリについていろいろと教えて頂いたのが始まりでした。その時は現役の学校の先生でしたから「増野先生」と呼んでいたので、2017年に当館の館長になって頂いてからも「増野先生」と呼んでしまいます。そして、出会ってから今に至るまで「いつも勉強している」という印象が非常に強い方です。当館には週に1日来られて勤務されるわけですが、その時もぼ~としているところを一度も一秒たりとも見たことがありません。私のような怠惰な人間はすぐにぼ~としてしまいますが、館長はそんな姿を見せないというか、しないのです。よくもそんなに四六時中 勉強できるな~と感心するほどです。また、野外調査なども一人で精力的にされて、新しい知見を常に積み重ねているし、論文用の標本の撮影や画像処理、図版作成なども独学で作りあげますし、最近のインターネットサービスなどについても一通りこなしているところなど、どれも向学心のなせる技というか、スゴイことだと思います。

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↑館長の論文の一部(当館研究報告書)

 そんな館長が出勤されてまず私がするのは、この1週間でこの施設に何があったのかを話すことと、この1週間で展示のどこを変えたのかを説明しながら案内して回るという解説ツアーです。1週間の間に展示物や看板を作りかえることが多々ありますので、それらをどのような意図を持って作ったのかとか、作っている最中の苦労とか、色々と話しながら回るのです。これは、私の“報告・連絡・相談”癖に拠るところが大きいわけですが、館長ですから当館のことを骨の髄まで知っておいて欲しいという想いや意見を聞きたいというのもあるし、まぁ褒められたいという想いもあるのです。なんでも褒めてくれる人ですから。また、何か新しいことをする時もいつも相談するようにしています。そして、それを実現させるために協力して貰って、これまでも色々なことをしてきました。

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↑館長と相談して開催した「自然史体験の日」
●第1回自然史体験の日についてはこちら
●第2回自然史体験の日についてはこちら

 当館は、常勤職員が一人と言いましても、このように館長や職員の方に恵まれて施設を運営しています。他にも受付や事務補助する方々もいますけど、これらの方々については書くと少し長くなりますし、「あまり書いて欲しくない」と言われそうなので、触れないでおきます。女性は難しいですからね。