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妄想アマガエル日記(22)-8月29日(火)晴れ

「どうやって降りようか、、、?」
銀次郎が腕を組んで与助に話しかけた。

「そうだな~、、、自分たちだけなら、簡単なんだけどね。。」
「小太郎を安全に降ろさないといけないし、ここはそんなに高くないからどうやっても降ろせるけど、最終的な目標はあの大きな建物の上だからな~」
与助が黒い大きな建物を指差しながら言った。

「なんか悪いな~。。。」
小太郎が申し訳なさそうに言った。

「ところで、君たちは一人の時はどうやって、こんな壁を降りるんだい?」

「どうやって?と言われても、ほらっ、こうやって、こうやって、たまにジャンプして、こうやって降りるんだよ」
銀次郎が身振り手振りで説明した。

それを見て与助がわかりやすく補足した。
「この手の吸盤を壁に貼れば体を固定できるんだ。しかも、全部の手足が貼りついていなくてもよくて、1つの手の吸盤だけで自分の体くらい支えられるんだ。」

「へ~、、、便利な手足をしているんだな~」
小太郎が感心して言った。

「じゃあさ、そんな体を支えることができる強い吸盤をどうやって、そんな簡単に剝がすんだい?」
小太郎が不思議そうに聞いた。

「剥がし方?」
銀次郎と与助がお互いを見て首をかしげた。

「だってそうだろう?片手だけで体を支えられるほど吸盤の吸着が強いんだろう?それを剥がすのはとても大変そうじゃないか。。。?」
小太郎が真剣な顔で聞いた。

「そういわれてもね~。。。。こうやって、こうやったら剥がせるんだよ。」
銀次郎が身振り手振りで説明した。

それを見て与助が補足した。
「手の吸盤は先にあって、なんかベタベタする感じなんで、それを手の根元から持ち上げると案外簡単に取れるんだよ」

「へ~、、、ベタベタするんだ!!」
小太郎が感心して言った。

「じゃあさ、泥の地面とか歩いていたら手足に砂とか土とかくっついて大変なんじゃないかい?どうやってくっつかないように歩くんだい?
小太郎が不思議そうに聞いた。

「砂とか土がくっつく?」
銀次郎と与助がお互いを見て首をかしげた。

「そういわれてもね~。。。。あまりつかないだよね。。」
銀次郎が手を見せながら言った。

それを見て与助が補足した。
「手は触るとベタベタする感じなんだけど、一応小さな吸盤なんだよ。だから、ベタベタする感じはあるんだけど、ベタベタする粘液みたいなのが出ているわけじゃないから、砂とか土とかはあまり付かないんだ。」
「まぁ、詳しくはわからないけど、指の先に小さな小さな六角形の上皮細胞があってね、それがそれぞれさらに繊細状に枝分かれしていて摩擦力を高めて貼りつくんだ。」

「へ~~~?」
与助の説明を聞いて、小太郎と銀次郎がよくわからなくて首を傾げた。

「まぁ、なんだかんだで壁にくっついて、簡単に剥がれるけど、砂とか土は付かないってことさ!!」
二人を見て、与助が簡単に説明を変えた。

「じゃ、とりあえず、銀次郎に一人で降りてもらってさ、それを見ながら、なんか降りるいい方法を考えようじゃないか!」
与助が小太郎に言った。

「そうだな。まぁ、吸盤のことはよくわからないけど、降り方を見て考えてみよう!!」
小太郎が与助に答えた。

「じゃ、銀次郎、降りてみてくれる?」
与助が銀次郎にお願いした。

「わかったよ。」
銀次郎が答えて、降りようと壁の淵に立った。




「あのさ~。。。与助がなんか手足の吸盤のことをなんか難しく言っていたからさ~、、、なんか貼りつき方がよくわからなくなっちゃたんだよね。。。」
銀次郎が困ったように答えた。

「えっ?」
与助と小太郎が驚いて、顔を見合わせた。

「どうやって、壁に張り付いて、剥がすんだっけ、、、?」
銀次郎が与助に聞いてきた。

「おいおい、、、どうやってって、こうやって壁に張り付けて。。」
「ん?どうやって貼りついていたっけ。。。?どっちの足が先だっけ、、?」
与助もいろいろ考え過ぎて、わからなくなってしまった。


「あれ?みんな降りれなくなっちゃたね。。。。」
銀次郎がつぶやいた。

3匹のカエルが柳の木の下で並んで沈黙した。

「ちーーーーーーーーーーーーん」

つづく