妄想アマガエル日記(24)-9月9日(土)晴れ
オタマジャクシの頃は水の中を泳いでいた。その頃は、水を吸いこんで呼吸していたし、水を吸いこんで餌を食べていた。それがある程度成長すると次第に頭の皮膚は硬くなり、ヒレはどんどん短くなって使えなくなっていった。ある夜、田んぼから陸に上がろうとした。その時、変なアマガエルに頭を踏み台に使われて、少し溺れそうになったが、どうにか陸に上がった。そして、俺は冒険家になった。色々なところを冒険した。まさに、怖いものなんて、何もなかった。でも、いつのまにか、手足がなくなって、背中から1対の大きな羽根が生えていた。そして、今は、大空を飛んでいる。今日も空高く飛んでいる。
「雲の上まで飛んでみよう!!」
ぐんぐん高く飛んでいる。もう少しで、雲まで届く。
すると、大きなジョロウグモの巣に引っかかってしまった。。。
「なんてことだ!!」
「クモの巣がこんなところにあるなんて、、、、」
もがいて、もがいてクモの巣から逃れるためにもがいた。
すると、糸が切れて、落下した。
「よし!糸から外れた!!」
「ん???羽根がない。。。」
飛ぼうとしても全然飛べない。体がカエルに戻っていた。
どんどん落下する。このままでは、地面に叩きつけられる。。。。。。
すると、
大きなアマガエルの柔らかい手の平に落ちた。
「はっ!!」
小太郎がその瞬間目を覚ました。
「大丈夫かい?だいぶうなされていたけど。。。」
心配そうに銀次郎が覗き込んでいた。
「夢か!」
小太郎がほっと安心してつぶやいた。
「どんな夢見ていたんだよ、、丸2日も うなされて寝ていたんだよ。心配したよ~」
銀次郎がほっとしていた。
「今、与助は外に出ているけど、アイツもさっきまでここで心配していたんだ。」
「そうか、、、そんなに寝ていたのか。。。」
壁を登って降りる練習の後のことをあまり覚えていないのだ。
「おっ、起きたか!」
与助がちょうど隙間に入ってきた。
「なんか、、、心配させてすまんな。」
小太郎が申し訳なさそうに言った。
「いや、大したことないさ。。」
「でも、驚いたよ。」
「壁を降りてから皆でここに戻ろうとしたら、突然 君が倒れるんだから。。」
与助がその時のことを説明した。
「えっ?俺は倒れたのかい?」
「そうだよ~。。突然倒れてブルブル震えていたから、僕の隙間に与助と運んで寝かせたんだよ。」
銀次郎が付け加えるように説明した。
倒れたのか、、あの時のことはあまり覚えていない。
確か、降りる時にマスクにしがみついていたが、それが上下にゆれて生きた心地がしなかったのは覚えている。。
あれが原因で倒れたのかもしれないな。。。
でも、冒険家の俺が怖かったから倒れたなんて、この二人に知られるわけにはいかないな。
「そっかぁ。たぶん、あの日の朝に食べたミミズが毒ミミズだったのかもしれないな~」
「変な色していたし。。」
どうにか誤魔化すために、知恵を絞って説明した。
「そっかぁ、毒ミミズなんてのがいるんだな~」
「危ないね、、あんなに震えて、、落ちる~とかうなされるのは嫌だからな~今度いたら教えてね。」
「ちなみに、どんな色をしているんだろ?」
銀次郎が素直に教えて欲しいと話した。
「まぁまぁ、食べ物には気をつけないといけないな。」
与助が、これ以上銀次郎が毒ミミズのことを聞かないように話しを変えようとつぶやいた。
小太郎が遠くを見るような顔で思った。
与助よ。。。。。。君はすべてをわかっているんだな。。。
本当に、君はいい奴だ。
心の底から思った。
つづく