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第2話 当館の軸

 当館は開館以来、常勤職員が事務・学芸含めても私一人しかいないので、相談できる人も教えてくれる人もいません。だから、大学院を修了してすぐにこの博物館に就職した私は、先輩とか同僚がいない中、一人で暗中模索してきました。

補足:職員が1人と言うと誤解されそうですので補足しますと、受付や事務補助の優秀なパートの人たちがいます。常勤職員が一人ですので、事務や学芸業務の中のゼロから1を生み出すのが一人ということです。

 そしてまた、他の博物館に勤める学芸員の知り合いもあまりいないし、他の博物館がどんなことをしているのかも、あまり知らないから、博物館というものがどのようなものなのか、未だによくわかりません。

 ただ、お客さんが興味を持ってくれるにはどうしたらいいだろう?とか、自分が作った展示がわかりやすく見てもらえているのだろうか?とか、そんな目先のことだけを気にしてやってきたのです。

 ただ、noteで当館の裏側を紹介するにあたり、当館がどのような博物館なのか?という「博物館とは?」に通じる「」になる部分を説明しておかないと、よくわからないかもしれないと思いました。 
 
 しかし、「博物館とは?」なんて大層なことを書く実力も業績もないから、そんなことを書くわけがないのだけれど、「こんな博物館にはしたくない」くらいは個人の好みですから書いてもいい気がしますし、何より、これこそが当館の「」になっているわけです。

開館当初から考えているのは、
・敷居が高い博物館にはしたくない
・展示が変化しない博物館にはしたくない
・蓄積しない博物館にはしたくない
・新しい分野が増えない博物館にはしたくない
・大きいとか綺麗とか珍しいとか価値がわかるものを展示する博物館にはしたくない
・汚くて臭い博物館にはしたくない

 と思っていました。

 また、子供も大人も同じ目線で一緒に学べるようにしたい、なるべく本物やオリジナルの物を展示したい、常に新しいことにチャレンジしていきたい、という想いもあります。

 これらが、当館の「」として、館の運営や何かをやる時の指針になっています。また、私個人のことになりますけど、「こんな学芸員にはなりたくない」という「」もまた密接に関わって来るわけですけれど、それはまた別の機会に譲ることに致しましょう。

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