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妄想アマガエル日記(64)-7月8日(月)曇り

「いや~~楽しかったな~」
小太郎が嬉しそうに言った。

「ほんとだな~、、与助もあとから来たけど、楽しかったろ?」
銀次郎が嬉しそうに与助に聞いた。

「あ、、あぁ、、楽しかったは、楽しかったんだけどよ。。」
「あの、、陸にいるアカハライモリの、、真矢さんがさ~、、なんだかずーーと俺のことを見ていてさ~、、、なんか悪いことしたのか、、?ってのが気になってな~~」
与助がまだこちらを凝視している真矢を見ながら、小声で言った。

「ん??そう?」
銀次郎がそう言って真矢の方を見ようとした。

「おい!!あまり見るなよ!!」
与助が銀次郎が振り向く前に声をかけた。

「考えすぎだろう??」
小太郎が与助に言った。

3人が話しているのを聞いていた一緒に遊んでいたアカハライモリたちが、何やらボソボソと話しはじめた。

「ん??どうしたんだい?君たち??」
銀次郎が不思議そうに思って、聞いた。

「さっき、与助くんが言っていたろ??真矢がずーーと見ているって。。。」

「あぁ、、そんな気がするんだよ。。」
与助がすぐに答えた。

「それは、、、まずいぞ~~。。真矢ってのはなぁ、、悪い人ではないのだけど、、なんて言うか、、惚れっぽいというか、、、思い込みやすいというか、、、まぁ、なんだな。。ちょっと厄介なんだ。。」

「そうなの??」
銀次郎が不思議そうに聞いた。

「与助くんは真矢になんか言ったりしたんじゃないか?」
「綺麗とか、なんか褒めるようなことを。。」

「いや、、、言ってないけどな。。。」
与助は真矢と会話した時のことを思い出して答えた。

「確か、、あの時、、俺が自己紹介をしたんだけど、、その時になんか返答も相槌もなくて上の空って感じだったから、心配して声をかけたくらいだったんだけど。。。」
与助が続けて思い出して言った。

「そうなのか~。。その程度なら特に勘違いすることもなさそうだけど、、」
「でもまてよ!!君が自己紹介した時に、既に上の空だったって言ったろ??」
「あっ、その前に何か言ったんじゃないのかい?」
アカハライモリたちが腕を組んで各々推理して、質問してきた。

「そう言われてもな~。。確か、、、あの時、日出夫の頭の上にいて、日出夫に色々と聞いてて、、、そしたら真矢さんのことを言ったから、覗き込んで下にいるのを見て、、、初めて見るアカハライモリだったから、、上から見ると、、アカハライモリってとても長いんだな~って独り言を言っただけだけどな~。。」
与助が腕を組んで右上を見上げながら言った。

「あっ!!それだ!!」
「そうだ!!きっとそれだ!!」
「間違いないな!!」
アカハライモリたちが顔を見合わせて言った。

「ん??どういうことだい??」
与助が不思議そうに、聞いた。

「君はさぁ、″とても“長いんだな~って言ったんだろ?」
「たぶん、それを真矢は、とても綺麗だな~とか、とても美しいな~とか、とてもエレガントだな~とか聞き間違えたんだよ!!!」
アカハライモリたちが皆 頷きながら言った。

「まさか、、、そんな聞き間違いするわけないだろ??ないない」
与助が顔の前で手を振りながら言った。

「いやいや、、、真矢ってのはね~、”とても“なんて言葉がつくとその後に自分に都合のいい言葉に聞き間違えるという特技を持っているんだよ。」
「これまでもそれで、ここに来た多くのカエル達がその餌食になったんだ!!」
アカハライモリたちが可愛そうな人を見る感じで与助を見ながら言った。

「えっ!!餌食っていったい何されるっていうんだい?」
与助が恐れながら聞いた。

「そうだな~。。前に来たアマガエルの時は、コソコソとストーカーみたいにつけられて、、突然消えてしまったんだ。」
「その前に来たトノサマガエルの時は、四六時中、付け回して、それで餌の昆虫なんかも逃げてしまうもんだから、そのトノサマガエルは餌にありつけなくて、どんどん痩せていってな~~突然消えてしまったんだ。」
「その前に来たツチガエルなんてな、、」
そう言いかけた時に小太郎が
「もういいよ!!わかった、、よし、逃げよう!!」
与助の肩を叩いて言った。

「危険な時は逃げる、というのも冒険家からしたら当然の判断なんだ!!」
小太郎が与助の肩を叩きながら言った。

それを聞いて、与助も頷いた。

「まずは、陸にいる日出夫と花子にどうやってこのことを伝えて、真矢から離れるかだな~。。」
小太郎が腕を組みながら言った。

「まぁ、でも、そんな悪い人には思えないよ~ 悪い人ではないって言っていたし、、」
銀次郎が真矢を見ながら言った。

「お前は相変わらず呑気だな~」
小太郎が銀次郎に言った。

「とりあえずさ~。あっちに行って、話してみようよ!!」
銀次郎がニコニコしながら提案した。

「まぁ、、、そうだな!!逃げるのは、その後で考えるか!」
与助も頷いた。

小太郎は口をとがらせて、不服そうにしていた。

一緒に遊んだアカハライモリたちに別れを告げて、日出夫たちのところに近づいていった。

「あら、なんだか、いっぱい遊んでいたわね♡」
日出夫がニコニコしながら言ってきた。

「あ~、楽しかったよ!日出夫も来たらよかったのにね!」
銀次郎がニコニコしながら言ってきた。

「じゃ、そろそろ、俺たちの雑木林に戻ろうか?」
与助が日出夫に声をかけて、ちらっと真矢を見た。

そこには、うっとりとした顔をした真矢がこちらを見ていた。

えっ!!ほんとに、俺のことをなんか勘違いして惚れているっぽいぞ。。さて、どうやって、逃げるか、、考えないといけないぞ!!
与助は銀次郎と小太郎を見て思った。

つづく。