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妄想アマガエル日記(62)-6月23日(日)雨

「あっ、、、俺は死んだのか。」
与助は周囲を見渡して、ポツリと独り言を言った。

「いたたぁ・・・」
頭を掻きながら日出夫が上体を起こすと、間違えて与助も一緒に掻いてしまった。

「いてて、、」
日出夫の大きな大きな手に体を押しつぶされながら、与助が声を出した。

「あらっ。。。ごめんね♡」
「与助ちゃんまだ乗っていたのね♡ すっかり忘れていたわよ~♡」
日出夫が与助に謝りながら言った。

「いてて、、痛いよ~。。なんて力なんだよ~。」
「でも、痛いってことは、俺は死んだわけではないんだな!!」
与助は痛がりながらも、喜んで言った。

「死んだ??なんのことよ?」
「与助ちゃんはただ寝ていただけよ♡」
日出夫がそう言って、さらに安心させた。

「暗い穴の中にいたはずなのにさ~。。起きたらなんかとても綺麗な天国みたいなところにいたしさ~。。見たことないあの人魚みたいなのと銀次郎たちが楽しそうに戯れているだろ??」
「こんなの見たらだれでも、天国に来たって思うだろ??」
与助がそう言って、周囲を見渡した。

一方、日出夫の足元にいた真矢は見上げながら、
「あらっ?あの方はどなたなのかしら??」
日出夫の上に乗った与助を指差しながら、花子に聞いた。

「あ~、、あれは与助っていう。ただの青色のアマガエルなんです。」
花子が真矢に聞かれて、少し嬉しそうに答えた。

「へぇ~~。。。青色のアマガエルなのね♡」
「あんな綺麗な色のカエルなんて、、、見たことないわ♡」
真矢は独り言を言った。

真矢には、日出夫の頭の上に乗った与助は雲一つない晴天の青空に溶け込み、さらに光が与助を逆光で照らし、とても輝いて見えた。

「なぁ~、日出夫。。。」
「ところで、ここはどこなんだい?そして、あの人魚みたいなのはいったい誰なんだい?」
与助が日出夫の耳元で質問した。

「あ~、、、そうね。まだ言ってなかったわね♡」
「銀次郎ちゃんを先頭に歩いていたらね。道を間違えたみたいでここに出て来たのよ。ここは湧き水の湖らしくて、そこに暮らしていたアカハライモリちゃんと仲良くなって、銀次郎ちゃんたちは遊んでいて、私たちは真矢ちゃんと美肌について話していたってだけなのよ♡」

「へぇ~、、あれがアカハライモリなのか~。」
「名前は聞いたことがあったけど、初めて見たよ!!」
そう言って、湖で水を掛け合っている銀次郎と小太郎とアカハライモリをぼ~と眺めて言った。

「ん??ところで、真矢ってのは誰なんだい??」
与助が日出夫に聞いた。

「あっ、真矢ちゃんはね。私の足元にいるこちらのアカハライモリのことなのよ♡」
日出夫がそう言って指差した。

日出夫に言われて、与助は下を向いてアカハライモリの真矢を見た。
「あっ、あれが真矢さんね。とっても長いんだね~」
与助がポツリと、アカハライモリの姿をはじめて見た感想を言った。

一方、真矢の視点-----------------

じっ~と日出夫の頭の上の与助を見つめていた。
日出夫と何やらしゃべっている。
その横顔もとても素敵♡
顎の下のたるみも完璧♡
湖で遊んでいる銀次郎たちをぼ~と見ている遠い視線の姿もカッコイイ!!!
そう思って、見とれていた。

また何か日出夫としゃべっている。

いったい、、、何をしゃべっているのかしら??ほとんど聞こえないわ。。。

ん?
日出夫があたしを指差したわ。

なにかしら???
その次の瞬間、与助が顔を下に動かして、こちらを見た。
その動きはスローモーションのようにゆ~~くりに見えた。

そして、こちらを向いた与助の独り言がかすかに聞こえた。
「「「あっ、あれが真矢さんね。とっても綺麗だね~」」」
えっ!!!なんて??
あたしを見て、とっても綺麗って言ったわ!!間違いなくとっても綺麗って聞こえたわ!!
えっ!!あの王子様はあたしのこと気に入ったの⤴⤴

王子様~~♡

つづく。

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