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妄想アマガエル日記(8)-7月24日(月)晴れ~ツチガエル花子編~

私は最近カエルになったばかりのツチガエルです。
でも、産まれたのは去年の夏くらいで、オタマジャクシで冬を越したので、今年カエルになったアマガエルとかヌマガエルに比べると大きさは同じくらいだけど、人生経験が私の方が上かな、、。
こっちはあの寒い冬を越したのだからね。

だから、同じくらいの大きさの今年カエルになったアマガエルとかヌマガエルとかトノサマガエルを見ると、少し子供っぽく見えてしまいます。

私は、水路の近くの花壇に住んでいて、ここは、水辺にも近いし、餌も多いし、陰で涼しい。そして、眼下にはレンガで覆われた広大な大地が広がっています。

私のようなピチピチのギャルが住むにはまぁまぁのところです。

さて、数日前、夕方近くに涼しくなるのを待っている間、花壇からレンガの大地を見ていました。花壇はレンガの大地を一望できます。
その日は今日と同じで天気がよくてレンガの大地は昼の灼熱で熱せられていて、花壇から見ているだけでも熱そうでした。

そんな時に、水路の方からヘトヘトになった1匹のアマガエルがやってくるのが見えました。

「まさか、あの状態でレンガの大地に行くわけはないよね」
と独り言を言いました。

でも、そのアマガエルは迷うことなくその大地を進んで行ったのです。

「えっ、あのレンガの上を歩くなんて、有りえないでしょ!」
私は驚きました。

どうして、そのアマガエルがあの熱いレンガの大地を進まなくてはいけないのか私にはまったくわかりません。もう少し待ったらレンガは冷えるのですから。

アマガエルはそのまま、陰を歩くわけでもなく、昼の灼熱で熱せられたレンガの上を一直線に進んで行ったのです。

私は、そのたくましい後ろ姿を目て、一目惚れしてしまいました。

これまで、同い年くらいのアマガエルやヌマガエル、トノサマガエルなんて子供っぽくて眼中になかったのですけど、あのアマガエル様だけは違ったのです。

そのたくましいアマガエル様はその後 レンガの大地の先の草むらの中に消えて行ってしまわれました。

夕方の紅色に染めらたあのアマガエル様の後ろ姿が未だに忘れられません。

いつかまたあのアマガエル様に、お会いしたい。

つづく