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この時期になるといつも悩むことがある。

それは、『お客さんの忘れ物をどうすればいいのか?』ということである。

どうしてこの時期、それを考えることになるかと言えば、私は掃除をするのが好きなので、企画展がひと段落ついて、少し時間ができるこの時期は徹底的に施設内を掃除する。
その際に、「忘れ物をどうにかしたい!」と思うのである。

私は、いつも身の周りは綺麗にしておきたいのであるが、潔癖症というわけではなく、必要なものが必要な時にすぐに見つからないのがどうしても嫌なのである。だから、常に身の周りを整理して、綺麗にしておきたい。
物には戻るべきところ、いるべきところがあるのである。

企画展を作っているときなどは、顕微鏡の周りなどが少し乱雑になってしまうが、企画展が出来たら掃除できてリセットできるぞ!と思うと、締め切りまでに仕上げようと思うくらいである。

まぁ、この施設は私個人の物ではなく、公共のものであるから、乱雑に汚くしておくわけにはいかない というのも公僕の身からしたら当然のこととも思うのである。

さて、話しを戻そう。

この時期は、事務所や引き出しの中などを徹底的に整理して、要らない物をどんどん捨てて、必要なものをさらに使いやすいように整理するのだが、忘れ物だけは捨てたり、どこかに閉まったりというのがなかなかできない。
それは、私から見たらただのゴミに見える物であっても、その持ち主からしたら大事なものである可能性があるからである。だから、すべての忘れ物はいつ、どこに落ちていたのかを書いて整理して置いてある。

ただ、それがどんどん溜まる。

いっそのこと、それらを写真に撮って、ホームページにでも掲載して忘れ物を知らせてもいいような気もするが、ここで困るのが、本人でない人が受け取る可能性がある点である。

私から見たらただのゴミみたいな物をホームページに忘れ物一覧として写真を掲載したら、見る人がみたら価値のあるもので、持ち主ではない人が受け取りに来るかもしれない。でも、身分証などをコピーしていれば別な人が受けとっても問題ないかもしれないとも思うが、持ち主と持ち主でない区別ができない以上、おいそれと渡すのはどうかと悩む。

たいてい、忘れ物を取りに来られる場合は、「〇〇色の帽子を〇月〇日に落としたのですが、ありませんか?」のように具体的に連絡して来られるから持ち主であろうと思うが、ホームページに写真が掲載してあると、写真を指して「これです。」と言われたら、本当の持ち主か そうでないかが、こちらとしては判断できない。

まぁ、そんなことをぐちぐち考えているから、事務所の片隅に忘れ物が入った箱をいつまでも置いておく羽目になる。

それを横目で見る度に「どうにかしたい」と思うのある。
忘れ物というのは、どうしても異物である。
それは、本来ここにあるべき物ではなく、どこか戻るべきところがある物たちなのであるから。