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夏休みが始まると毎年昆虫標本の作り方について質問を受ける。

昆虫標本の作り方には色々とあるけど、一般的には乾燥標本という干物みたいな標本の作り方を知りたいのだろうと思って、その作り方を説明する。

ただ、昆虫の乾燥標本というのは、なんとももったいないものだと常々思う。

たとえば、古生物(化石)の場合、少ない情報からどうにかして情報を得ようと苦労する。昆虫の化石が出て来ても、翅の一部とかして出ていないことが多いし、全身が出ていても不鮮明でしかでないこともある。だから、どうにかしてそれらから情報を得ようとするのである。

それに引き換え、昆虫の乾燥標本というのは、脳や内臓、心臓、筋肉、脂肪など生物として、とても重要な器官があるのに、それらをすべて無視して、干物にして膨大な情報をドブに捨てる。そして、外皮(翅含む)、交尾器だけにするのである。

なんとも、もったいない。

あれだけ多くの情報が詰まっているのに、それをすべて捨てるのだから。

エタノールなどに浸けこんだ液浸標本にしても、脳や外皮、筋肉、脂肪は残るけど、心臓や内臓は脂肪が癒着してあまりいい状態には維持されないし、何より内臓や筋肉などの色が抜けてしまう。

これも、やっぱり、もったいない。

だから、本当は、昆虫標本の作り方を聞かれたら、「*******************」と教えてあげたいけど、そこまでする人はいないだろうから、干物の作り方を説明するのである。

せっかく現生生物として、あれだけ膨大な情報を持っているのに、その多くの情報を干物にして、すべてドブに捨ててしまうのは、なんとも申し訳ないと思いながら。。