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妄想アマガエル日記(75)-10月5日(土)曇り

「井の中の蛙?」
「Hey! 青、、、、井の中の蛙ってのはどういうことだ?」

「いやね、、君は生まれてずっとこの井戸の中にいるんだろ?」

「まぁ、そうだな。」
「俺はこの井戸でオタマジャクシの頃を過ごして、ここでカエルになったからな。」

「つまり、君はさぁ、、、この井戸の中の世界からしか知らないだろ?」

「ん~、、まぁ、そういわれたらそうだな。」
「でも、まぁ、井戸の中と外なんて、たいして違いなんてないだろ?」

「いやいや、、、世界は広いのだよ!!」
「井戸の外には、赤や白の綺麗な花が咲き乱れる花壇があったり、とてつもなく大きな黒い建物があったり、いろいろな虫や草があるんだ!」

「そうか。。。まぁ、そうかもしれないな。。。」
「でも、俺はここから出られないんだ!!」

「君の手には吸盤がないから、この井戸を登れないってことだろ??」

「まぁ、、、それもあるな。」

「ん??他にも、ここから出れない理由があるのかい?」

「まぁな、、、、、」

「何があるんだい?」
「まぁ、言いにくいことだったら、別に無理に言うことはないのだけど。。」

アルビノのトノサマガエルは天井を見上げて、眉間にしわを寄せて、腕を組んで、真剣な顔で考え始めた。

「まぁね、、、無理に出る必要はないさ!!」
考え込むトノサマガエルを見て、銀次郎がとっさにフォローした。

「そうだな!別に無理に出ることはないか!」
「まぁ、君はここから出なくても困ってないのなら、他人の俺らがとやかく言うことじゃなかったな!!なんか、、変なことを言って悪かったな。」
与助がトノサマガエルの肩を叩きながら、謝った。

トノサマガエルは与助の声が聞こえないほど、眉間にしわを寄せて、うなりながら考え込んでいた。

「おい、、、与助。。。あんなに考え込んでさぁ。。。たぶん、ここから出れない理由ってのは、俺らに言えないような、、相当大変な理由なんだろうな。。。」
「変なこと言っちゃたね。」

「そうだな。。。。」

トノサマガエルは、さらに頭を左右に振りながら、眉間に指を当てて、さらにうなりながら考え込んでいた。

「おい、、、大丈夫かい??」
与助が考え込むトノサマガエルを心配して声をかけた。

「どんな理由か知らないけどさぁ、、、何か力になれるかもしれないから、僕たちに言ってみるってのも一つの方法かもしれないよ!」
銀次郎はそれほど考えこむ井戸から出れない理由が知りたくなってきていた。

「まぁ、、、そうだな!」
「俺たちに言ってみたら、すっきりして決断できるかもしれないな。。。」
与助も銀次郎同様、理由が知りたくなっていた。

そして、周りにいた3人のカエルもまた、ここから出れない理由を知りたそうに見つめていた。

「そうだな。。。。」
「お前たちに、俺がここから出れない一番の理由を聞いてもらうってのも、、、まぁ、いいかもしれないな。。」
アルビノのトノサマガエルが皆を見渡して、少しすっきりした顔をしていた。




「俺が、ここから出れない一番の理由はなぁ、、、、
「お=======い、銀次郎ぉ~~~、、、与助ぇ~~大丈夫か======」
井戸の上から小太郎が心配して大きな声をかけてきて、トノサマガエルの声を遮った。

「え!!え!!聞こえなかった!!大事なところが聞こえなかったよ!!聞こえた?」
銀次郎が与助を振り返って聞いた。

「いや、、俺も小太郎の声でまったく聞こえなかったよ。」
「君たちは聞こえたかい??」

周りにいた3人のカエルもまた渋い顔をして、首を横に振った。

「あのさぁ、、、、アルビノトノサマさん。。。大事なところがね。。僕たちの友達の小太郎の声でさぁ、、、聞こえなかったんだよね。。ごめんね。。もう一回、教えてくれない??」
銀次郎が申し訳なさそうにアルビノのトノサマガエルに話しかけた。

「ん??せっかく意を決して言ったのに、、、ちゃんと聞いとけよ!!」
アルビノのトノサマガエルが少し怒って銀次郎に言った。

「ごめんね、、さっきの声はね。井戸の外で僕たちを待っている小太郎ってヌマガエルなんだけどね。僕たちのことを心配して声をかけてきてくれたんだよ。ごめんね。。。」

「まぁ、そういうことなら、、、仕方ないか。。」
「じゃ、次はちゃんと聞いといてくれよ。。あまり言いたくはないんだ。。」

「うん!わかったよ。ごめんね。。」



「ゴホン!」「俺がここから出れない、一番の理由はなぁ、、、、
「お=======い、銀次郎ぉ~~~、、、与助ぇ~~返事しろよ======、、、大丈夫なのか=====」

またちょうど、アルビノのトノサマガエルが大事なことを言うタイミングで小太郎が声をかけてきて、かき消されてしまった。

「アルビノトノサマさん、、ごめんね。。。本当に、、ごめんね。。。もう一回、もう一回お願い。。」
「間を開けずに言ってくれたら、今度は小太郎の声と被らないと思うから、お願い!」
銀次郎がアルビノのトノサマガエルに頼み込んだ。

トノサマガエルも状況は分かっていたし、銀次郎と同じように思っていたので、何も言わずにもう一度間を開けずに言った。

「俺がここから出れない、一番の理由はなぁ、、、、
「お=======い、返事してくれよーーーーん=====」

また、小太郎の声でかき消されてしまった。




そして、井戸の中にいた皆が少し沈黙した後、声を合わせて言った。

「じゃかあしい!!!小ぉ太郎==========!!!!!」
「よーーーーん、じゃねーーーー!!!!!!!」

その声が井戸の中に響き渡った。

つづく。