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妄想アマガエル日記(39)-11月24日(金)晴れ

日出夫の誤解も解けて、銀次郎のナメクジのヌメリもどうにかとることができた。そして、皆で冬を越すための準備をするために穴の中に戻ってきた。

「ところで、なんで部屋なんて作る必要があるんだい?」
銀次郎が不思議そうに日出夫に聞いた。

「えっ!!それはね、、ほら、一応プライバシーってのがあるでしょ。だからよ。」
「銀次郎ちゃんの寝相が悪いとかは関係ないのよ!!!ほんと!」
日出夫がアワアワしながら答えた。

「ふ~ん、そうなんだ~。。」
「せっかく、みんなでしゃべりながら冬を越せると思っていたのにな~」
銀次郎ががっかりしていた。

「いや、この穴の中は暖かいから、体が動けなくなんてことはないと思うわよ。だから、しゃべりたくなったら、各部屋からここの広いところに集まってしゃべったらいいじゃないの!」
日出夫が慌てて与助と小太郎を見ながら言った。

「そうなんだ~!!なら、よかったよ~」
銀次郎がほっとした。

「ところで、この穴の中をある程度測ってはみたけど、どうやって各部屋を作ろうかしらね?」

「そうだな~。。とりあえず、日出夫の部屋は大きくして、その横に銀次郎の部屋を作って、向いに俺と小太郎の部屋を作るってのでいいんじゃないかい?」
与助が穴の凹みと日出夫のメモを見ながら提案した。

「えっ、どうして、小太郎ちゃんが向いなのよ!!私の横に小太郎ちゃんで、向いに与助と銀次郎の部屋でいいじゃない?同じアマガエルなんだし。」

「まぁ、それでもいいけど、、、」
与助が銀次郎の寝相の悪さを思い出しながら渋々納得した。

「いや、、、俺は銀次郎は日出夫の横がいいと思うな~。。仲いいしさ~」
小太郎がどうにか日出夫から離れようと提案した。

「お前はどっちがいいんだい?」
与助が銀次郎を指差して聞いた。

「まぁ、僕はどこでもいいんだけどね、、たぶん、ずっとこの広いところにいると思うからさ~」
銀次郎は皆としゃべりたくて仕方がない。

「いやいや、寝る時はちゃんと自分の部屋にいけよ。マジで」
与助はこんな広いとろいところで銀次郎を寝かすわけにはいかないと思って、強く言った。

「う~ん、、、わかったよ。。」
銀次郎が渋々答えた。

「よし、じゃ、日出夫の横が俺で、向いに小太郎と銀次郎の部屋を作るってので問題ないだろ?」

「ん~。。。まぁ、仕方がないわね。そうしましょ。」
日出夫が渋々納得して、皆も納得した。

「じゃ、日出夫が測ってくれたこの穴の中の図を使って、各部屋の形を作ろうじゃないか。」
与助がそう言って、日出夫のメモ帳に各部屋の簡単な設計図を書き出した。それを皆で覗きこむように見て、あ~でもない、こ~でもないと言い合いながら、少しずつ完成していった。

その後、与助と銀次郎がその設計図を見ながら地面に線を引いて部屋の形を作りはじめた。

「そうそう、もう少し左」
与助が線を引く銀次郎に指示を出した。

「これくらいかい?」

「そうそう、そのまま まっすぐ」

徐々に各部屋の形が出来ていく様子を日出夫と日出夫の頭の上の小太郎は見ていた。穴の中はぽかぽかと暖かく、日出夫も小太郎も眠くなってきた。

「ちょっ、ちょっと、小太郎ちゃん、、、私の頭の上で寝ようとしているんじゃないの?」
日出夫が小太郎が寝ると毒が出ることを思い出して慌てて聞いた。

「ん~??なに?」
小太郎がウトウトしていた。

「毒よ!毒!小太郎ちゃんは寝ている時に毒が出るの知っているのよ!!」

「毒?なんのことだい?」
小太郎は呆気にとられて返答した。

与助は銀次郎と線を引いていて、2人の会話は聞こえない。

「ん?与助ちゃんから聞いたのよ。あなたが寝ている時に腹から毒が出るってことを!」

その瞬間、小太郎の頭の中のスーパーコンピューターが物凄いスピードであらゆる状況を計算した。
カタカタタ・・・・ カタカタタ・・・・

与助
腹から毒
寝ている時

カタカタタ・・・・ カタカタタ・・・・

チン!!

弾きたした答えは。

「そうなんだよ。俺は寝ている時に腹から毒が出るんだ!!だから、一緒に冬を越す時は一人で寝ないといけないんだ。」

「そうでしょう~。。だから、あたしの頭の上で寝ちゃダメよ!!」

「そっ、そうだね。」

そして、小太郎は与助に心から感謝した。

その後、このことを与助に小声で言うと、
「そうだった~、、小太郎にそのことを言おうと探していた時に銀次郎が変なことしてるの見つけて、色々あったろう~?、、言いそびれてしまってたよ~ ごめんよ~」

「いやいや、ほんとにありがとうな!お前は天才だ!」
小太郎が小声で与助を褒め、それを聞いた与助は嬉しそうにほほ笑んだ。

つづく。