見出し画像

あなたが、もし、ホタルの勉強をし始めて、ホタルに関する論文を読んでいくと、あることに気がつくと思う。

それは、「オオバ」という研究者の存在についてである。

論文の著者になぜか、この「オオバ」という名が頻繁に出てくるのである。
だから、あなたはたぶん「オオバ」という一人の研究者がいることになんとなく気づいていくことになるだろうと思う。
しかし、よく見るとその名は、「大場信義先生(元 横須賀市博物館)」、「大場裕一先生(現 中部大学)」、そして「大庭伸也先生(現 長崎大学)」と、違う人物であることがわかってくる。この時、漢字の名を見ると「大場」という同じ姓の方は親族なのかと思われるかもしれないが、故大場信義先生と大場裕一先生は、親族でもなんでもない。また、英語の論文を見てみると、この「オオバ」という姓は、「Oba」と書くこともあれば、「Ohba」と書くこともあるし、「Ooba」と書くこともあって、もっと多くの「オオバ」というホタルの研究者がいるのではないかと不思議に思うかもしれない、しかし心配することはない。この3人の内のどなたかである。

また、もう少しホタルのことを調べていくと、「オバボタル」や「オオオバボタル」という名のホタルがいることを知ることになると思う。

オバボタル

生物の名には献名と言って著名な研究者の名を生物名に入れたり、最初に見つけた人の名を学名にいれたら、それを和名にそのまま使ったりして、人の姓が名に入ることがある。だから、このオバボタルやオオオバボタルという名も、著名なホタルの研究者である「オオバ」という研究者の名が入っているのではないか?と誤解することがあるかもしれない。しかし、これはまったく関係がない。この「オバ」という名は「ウバ」ともいうが、ウバタマムシのようにあまり見た目がよくなかったり、光らないこのホタルのようなことを失礼なことに「姥」と呼ぶのである。だから、このオバボタルやオオオバボタルという名に「オオバ」みたいな名が入っているのもまた偶然なのである。

ホタルの研究の世界にこの「オオバ」という名が何かの運命のように存在するのは、個人的にとても興味深い。ただ、ホタルの研究者の方と話しをする時は、どの「オオバ」という方を指して話しているかわからないから、オオバ先生とは呼ばず、信義先生、裕一先生、伸也先生と呼ぶのである。

それが、ホタルを研究し始めた人がまず覚えておかないといけない、大事なルールである。