見出し画像

妄想アマガエル日記(45)-1月8日(月)晴れ

「目が6個あるよ!!!あれは、、、地底蛙だ~~。」
銀次郎が叫んた。

そして、与助もそう思った。
オカシイ、、なんで俺が考えた嘘の地底蛙が本当にいるんだ??

ペタ、ペタ、ペタ・・・・・

その黒い影が少しづつ近づいて来た。
ちょうど、穴の上に上がれる隙間から日の光が差し込み、その黒い影を照らしだした。

その姿を見た銀次郎と与助が2人同時に声が出た。
「えっ!!」

遡ること1時間前 @水路---------------------

「寒くなってきたな~。」
八助が言った。

「確かにな~、、もうみんな冬を越すために石やら木の根元の穴やらに身を隠してじっとしているから、俺たちもそろそろそうしないとな。。さすがに。」
七助が答えた。

「ほんとだよな~。どっか、いいところないかね。。。?」
六助が周りをキョロキョロ探しながら言った。

「そういえばさ~。この前、水路の上流側の木の根元にモグラの穴の入り口みたいなのがあったろ?六助はセミの幼虫が出た穴とか言っていたけど。。。」
八助がその場所を指差しながら言った。

「あ~、、あった、あった。でも、あれはセミの幼虫が出た穴だろ?」
六助が答えた。

「あんな大きな穴をセミの幼虫が開けるわけないだろう?」
「あの穴だったら、3人くらいは入れるんじゃない?」
八助が説明した。

「確かに、、、あれは案外大きな穴だったから、セミじゃなくて、モグラか~」
六助が納得した。

そして、3人でその穴のところに行ってみた。
そこは、大きな木の根が二又に分かれたところで、その間に拳大の穴が開いていた。

「確かに、これなら3人で入れそうだな!」
七助が穴に首を突っ込んで奥をみながら後ろの2人に言った。

「よし、じゃ、とりあえずこの中に入ってみるか!」
八助が提案した。

「でも、この穴の入り口が崩れたら、出れなくなるかもしれないだろ?」
「大丈夫なのか?」
六助が心配そうに言った。

「大丈夫だろ。だって、この穴を見つけたのは夏だったろ?あのころからずっと開いてて壊れてないんだし、木の根が穴を守っているようだからさ~。」
八助が六助を安心させるように言った。

「そうだな。じゃ、行ってみるか。」
六助もようやく納得した。

「じゃ、俺が先頭で行くから。」
七助がそう言って先頭を歩いた。次に八助、最後に六助の順に穴に入った。

穴の中は思った通りモグラの穴のようで、トノサマガエル3人にはとても広い空間であった。ただ、ところどころ崩れていて、今ではモグラが使っていないようだった。そのため、ところどころ上からの日の光が差し込み、完全には暗くならずに済んでいた。

「へ~~。こんな穴が結構奥まで続いているんだな~。」
八助が感心するように言った。

「本当だな~。。。ちょうど、この上辺りがいつも俺たちがいる水路の脇の石のところくらいじゃないか!!」
七助が上を指差しながら言った。

「確かにな~。。あの下にこんなトンネルがあったなんて、、知らなかったな~」
六助が感心するように言った。

「おっ、なんか二又に分かれているけど、、、どうする?どっち行く?」
七助が先を指差しながら言った。

「どうしようかね~。。右のトンネルはなんか地面がジメジメしているけど、左の方はそうなっていないから、左に行こうか。」
八助が提案した。

「そうだな。まぁ、どっちが正解かはわからないけど、左に行ってみるか!」
七助がそう言って左のトンネルに進んだ。

「おっ、正解だったかもしれないな。なんかまっすぐのトンネルになったし。」
八助が嬉しそうに言った。

「でも、まぁ、そんな奥まで行かなくても、この辺りでもいいのかもしれないな。ここならそんなに寒くないし、冬を越すには十分な広さもあるからな~。」
六助が歩くのがめんどくさくなったので、言った。

「まぁ、もう少し見てみようじゃないか!」
「なんか、この奥にもっといいところがあるかもしれないし。」
八助が六助をなだめた。

「でも、このまま進んで、ヘビとかいたらどうするんだよ!!」
六助が心配そうに言った。

「大丈夫だろ。ヘビはこの寒さで動けないらしいし。」
七助が振り返りながら六助に言った。

「この穴の中は寒くないから動けるかもしれないじゃないか!」
六助が口をとがらせて言った。

「わかった、わかった。じゃ、あのトンネルの先の角を曲がって、その先を少し見たら歩くのやめてそこで冬を越すことにしようじゃないか。」
七助が仕方なく、提案した。

「なら、いいよ。」
六助が安心した。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・
穴の中には3人が歩く音だけが鳴り響いた。

角を曲がると、その先には少し光が差し込んでいるのが見えた。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・・

ある程度進むと、日を遮っていた曇が晴れて、日の光が強さを増し、差し込んでいた光が強くなった。そして、周囲を一気に明るく照らし出した。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・・

そして、少し先からカエルの声がした。
「えっ!!」

つづく。