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妄想アマガエル日記(44)-1月7日(日)曇り

「まったく、、、なんでついて来るんだよ~」
与助がずっとついて来る銀次郎を振り返りながら言った。

「だって、、、与助が地底蛙なんで怖い話しをするから仕方ないじゃないか。。。」

「いやいや、、、だから、あれは嘘だって言ったろ?あんな生き物がいるわけないじゃないか!変な嘘ついてほんとごめんって。。。昨晩も謝ったろ。。。」
与助が申し訳なさそうに言った。そして、昨晩、嘘をついたことを後悔していた。
結局、昨晩は銀次郎に掴まれて自分の部屋に戻ることができなくなってしまったが、銀次郎が寝た後に相変わらずの寝相の悪さで暴れている際に手が離れたので、その隙に自分の部屋に戻ったのだった。ただ、朝起きると部屋の入口に銀次郎が待っていて、このザマだ。。
ほんと、なんであんな嘘をコイツは信じてしまうんだろうな~?
与助は銀次郎の素直さにすこし呆れていた。

「じゃ、どこに行くんだい?」
銀次郎が前を歩く与助に聞いた。

「昨日、自分の部屋で寝たんだけど、もう少し落ち葉があった方がいいと思ったから、それを取りに穴の奥に行くだけさ。。。。」
与助が穴の奥を指差しながら言った。

「そうか!!じゃ、僕も手伝うよ」

「あ~、、なんか悪いけど、じゃお願いしようかな。」
与助がしぶしぶ受け入れた。
コイツのいうことを否定するんじゃなくて、1回は受け入れるって約束したしな、、、と考えていた。

「ところでさ~。さすがに地底蛙なんてのは、この穴の奥から出てくるなんてないよね~。あれは嘘だもんね~。」
銀次郎が与助に何度も確認した。

「そりゃ、そうさ!!そんな地底蛙なんているわけがないさ。だってあれは、俺が考えた完全な嘘なんだからさ!!」
与助が自信たっぷりに答えた。

「そうだよね~!!ふ~。目が6個もある蛙なんているわけないもんね!」
銀次郎が心底安心していた。

ようやく、穴の奥のトンネルのところにある窪みに着いた。ここには、多めに取ってきた落ち葉や石、朽ち木の皮などがだいぶ置いてある。

「さて、じゃ、落ち葉を取って、戻ろうか。」
与助が言いながら、落ち葉を選んでいた。

すると、穴の奥から何やら音が聞こえてきた。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・・・・

「ん?なにか音がしないかい?」
与助が銀次郎に聞いた。

「確かにね。。。小太郎と日出夫はまだ寝ていたから、他にこの穴の中に蛙はいないはずだけど、、、なにか蛙が歩く音のようなのが穴の奥から聞こえたような、、、、?」
銀次郎が少し怖がりながら言った。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・

「やっぱり、何かが近づいて来ているような音がするな~。」
与助が落ち葉を一旦地面に置いて耳を澄ました。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・

「もしかして、本当に地底蛙が穴の奥から来ているんじゃないのかい???」
銀次郎が与助の手を掴んで身を隠した。

すると、穴の奥から、何かの姿が少しずつ見えてきた。
黒いシルエットに目が6個、それが少しずつゆらゆらと近づいてきた。

ペタ、ペタ、ペタ・・・・

それを指差して銀次郎が与助に言った。
「目が6個あるよ!!!あれは、、、地底蛙だ~~。」

つづく。