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毎年、外の冷たい空気を吸うと、学生時代のことをよく思い出す。

今では、論文などはweb内を検索したら、さまざまな論文が手に入るし、なかったとしても知り合いや著者に連絡してPDFを送って貰ったりして読むことができる。

でも、私が学生だった頃はまだそこまでwebの中に論文などはなかったし、知り合いもいなかったので、大学の図書館の書庫に籠って文献を漁っていた。そして、面白そうな論文を手にするとそれを読んでいくのだけど、論文というのは最後に引用文献というその論文で引用された論文が一覧になっていて、そこにまた読んでみたい論文というのがあることが多い。

だから、論文というのは芋ずる式に関連の論文をロールプレイングゲームのように手に入れて読んでいくということができる仕組みになっていて、いつまでたっても終わりがない、よくできた仕組みになっている。

ただ、読んでみたい論文が図書館にない場合も多く、そんな時は文献複写依頼というお願いをして、他の大学図書館などに複写をお願いして送って貰って、その送料などを支払うという作業を行う。

今、思うと学生時代(大学院の時)は毎日図書館に行って、お願いしていた文献のコピーをお金を払って手に入れていた。そして、その手に入れた論文を読むが楽しみで仕方がなく、ワクワクしながら自転車で家路を急いだ。

ただ、私はBMXという自転車に乗っていたので、文献を入れる籠がないし、あまりカバンを持つのも嫌だったから手に入れた論文を大事に腹や腰のズボンの隙間に入れて持って帰っていた。だから、いつも せっかく手に入れた論文がシワシワになっていたけど、まぁ、中身に変わりはないから気にしていなかった。

そして、私がいつもこの時期に思い出すのは、寒い中、論文を腹に入れてワクワクしながら自転車で持って帰っていた時のことである。あの時は手袋はしていたけど、山陰の冬は寒く、手が凍りそうになりながらも、ワクワクしながら帰路を急いでいたあの頃がとても懐かしい。

冷たい空気を吸うと、その時のシワシワの論文とワクワクした気持ちを、ふと思い出すのである。