妄想アマガエル日記(74)-9月6日(金)晴れ
「ん????????ありゃなんだ?」
銀次郎と与助は、3人のカエルの前にいる黒い影にゆらめく光が射しこんで、その黒い影の姿を浮かびあがらせ、その姿を見て驚いた。
そこには、真っ白い体をして、目が赤いカエルが立っていた。それが、こちらを向いていたのである。
「オイオイ!ありゃ、、トノサマガエルだよ、、、な?」
与助が銀次郎の顔を見ないで口をあんぐりとあけて小さな声で呟いた。
「そうだよね。。。?形は確かに、、、、八助とかと同じだから、、、トノサマガエルだと思うけど、、、?」
「なんで、、あんなに全身真っ白いで、しかも、、、目が赤いんだろうね??」
「そうだよな。。。でも、あれは、トノサマガエルなのは、間違いないよな。。。」
2人がコソコソと話しをしていると、2人に気づいたトノサマガエルが指差してきた。
「Hey!!、そこの青と緑のボーイ。なに、勝手に俺の部屋に入ってきて、コソコソ話しているんだい??」
「ん??俺がかっこよすぎて見とれていたって???」
「はぁ~~、、、まったく、、、それなら仕方がないか!!」
「まったく、、、俺のこのカッコよさは罪だぜ!!ケっ」
壁に手をかけ、反対側の手で頭を前から後ろに拭うように髪をかき上げるようにして斜め上を向いて遠い目をしながら呟いた。
「ん???俺たち、なんか言ったか?」
「いいや、、、何も言ってないよね。。」
2人が顔を見合わせてコソコソと小声で話した。
「Hey!!、青と緑。どうせ、俺様のことをまた褒めているんだろうから。もっと大きな声で話してもいいんだぜ!!けっ」
「いや、、、何も言ってないんですよね。。」
銀次郎が申し訳なさそうに答えた。
「Hey!!、緑、そんなに恥ずかしがらなくてもいいんだぜ!!」
「正直になればいいんだ!!俺は超超超珍しいアルビノだぜ!!」
「ほらっ、こいつらも、もう俺にメロメロなんだ。」
そう言って、座っている3人を指して胸を張った。
「オイ!お前らはいったい、そこで何してんだよ?」
「助けに来たんだぜ!!」
与助が3人に近づいて声をかけた。
「いや~~、、この方があまりに素晴らしくてな、、、見とれていたんだよ。」
ツチガエルが座りながら答えた。
「ほんと、、、俺なんか、、、黄色だからって自信もっていたんだけど、、こんな珍しいアルビノのカエルがいるなんてな、、、なんか自信なくしちゃてさ~」
黄色いアマガエルが下を向いて落ち込んでいた。
「ほんとだよな、、、、俺は、、この世で一番かっこいいトノサマガエルだと思っていたんだけどな、、、上には上がいるってことさ。。。はぁ。」
トノサマガエルも下を向いて落ち込んでいた。
「Hey!!緑と青。君たちも俺にひれ伏せよ!!」
「俺の、このカッコよすぎる姿や珍しい体の色なんて見たら、もう足がすくんでうごけないだろ??」
「まったく、、、困ったもんだぜ!!けっ」
上を見上げながら、頭を掻いて、目を二重にしながらこちらを見つめてきた。
「はぁ、、、、、じゃ、帰るか。」
与助が振り返って銀次郎に言った。
「そうだね!じゃ、あとは4人で仲良くやってね!」
「おいおい!!!お前らは、俺のこの素晴らしい姿を少しでも長く見ていたいとか、俺と仲良くなりたいとか、俺のことを教えて欲しいとか、、ないのか?」
トノサマガエルが少しうろたえながら与助に聞いた。
「そうだね、、、、、、、、、」
「ない!」
「まったく、興味ない!」
きっぱりと答えた。
ガーーーーーーーーーン!!!!
アルビノのトノサマガエルが初めてのことでショックを受けて口を大きく開けて立ちすくんだ。
「じゃ、帰ろう。」
与助が銀次郎に呟いた。
「ちょっと、待てよ!!」
「無理しているんだろ??本当はこの方をもう少し見ていたいだろ??」
黄色アマガエルが立ち上がって聞いてきた。
「いや、、、、本当に、興味ないよ!!」
「な?銀次郎?」
「そうだね。あの人には悪いけど、、、、興味ないんだよね。ごめんね。」
ガーーーーーーーーーン!!!!
黄色のアマガエルもショックを受けて立ちすくんだ。
黄色アマガエルの姿を見たアルビノのトノサマガエルが我に返って、もう一度与助に聞いてきた。
「君たちは、俺のこの透けるような綺麗な皮膚を見て、何も思わないのかい?見たことないだろ??」
「そうだね、、、」
「君は手に吸盤がないからたぶんこの井戸から外に出たことがないのだろう?たぶん、日光に当たったことがないから、そんな不健康な色をしているんじゃないかと思ったよ。」
「どうだい?一緒に外に出てみないかい?協力するよ?」
銀次郎も与助が言ったことに頷きながら
「そうだね。。。出てみようよ。」
「このままだと、君は、、ずっと井の中の蛙だよ?」
つづく。