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 田舎にいると、草の成長の速さにただただ驚かされる。雨が降ると一気に10cmくらい伸びているんじゃないのか?と思うほど伸びるし、どんなところでも草が生える。草を刈っても刈っても伸びてくる。
だから、私はよく草刈をしている。

その時に、草を刈りながらいつも思うことがある。
それは、『どうしてこの花たちは、このような色をしなければならないのか?』ということである。

草むらの中で草を刈るとタンポポやキンポウゲなどの黄色の花やシロツメグサのような白色の花、ツユクサのような紫(青)の花などがあるが、緑色の花というのは見たことがない。
当然、花粉を媒介するポリネーター(花粉送粉者)である昆虫を呼ぶための色であろうとは思うが、昆虫は種類によって見える色が違うとは言ってもポリネーターが見える色はだいたい同じであろうから、進化の過程でもっともよく昆虫を呼べる色が選別されて『花は白色』とかに、決まればよさそうなものだがそうはなっていない。

そこで、考えるのが『色』についてである。

色というのは、正確には存在しない。色は光を反射してその波長を網膜そして脳が色として認識しているものだから、私が見ている色と近くの人が見ている色が同じとは限らない。

だから、その辺りの歪みが(この多様でもないけど)種類によってバラバラの花の色になったのかもしれない。

ただ、色を考える時に気になるのが『補色』だ。
色には対をなす色が存在する。
名探偵コナンで知った話では、手術するお医者さんが薄緑色の手術着を着ているのは、血をずっと見ていると補色である薄緑色が見えるので、それが気持ち悪くならないように薄緑色の服を着るらしい。また、ほうれん草などの野菜には紫色の紐がついているが、これはほうれん草の緑色の色を映えさせるために補色の紫色を使うらしい。

補色とはこれである↓

プリンターの色見本から自分で色だけを取り出して作成したもの

これを見ると緑色の反対側に紫色があることや血の色の反対側にうす緑色があることがわかる。

さて、では、自然界の植物たちは、この補色を利用しているのだろうか?たとえば、花を目立たせるために緑色の草の中に紫色はよく映える。だから、スミレなどは実際そのために紫色の花をしているのだろうか。。
そこで、1枚の写真の中の花や葉などの色を抽出して色見本を配置して見るとこのようになる↓

色を抽出して六角形の中に表示したもの

そして、次にこの色見本だけにしてみる。

色見本だけにした状態

そして、次にこれらだけで画面をだいたい同じ割合で配置してみる↓

画面を色見本だけで配置した

紫というよりも、陰とか地面の黒色の方がよく映えるように見えてしまう。

では、次に草むらの中を同じようにやってみよう。

タンポポが生える草むらの中のいくつかの色を抽出

そして、同じように色見本だけにしてみる↓

色見本だけにした状態

そして、次にこれらだけで画面をだいたい同じ割合で配置してみる↓

画面を色見本だけで配置した

まぁ、確かに、緑色の中に黄色と白色はよく映える。特に白色というのはよく映えるように見える。ただ、自然界では黄色の花というのが結構多い。日傘で紫外線を防ぐのに黒色の次が黄色らしいと聞いたことがあるが、紫外線を吸収することとポリネーターを呼ぶこと(彼らは紫外線域が見えるので)は何か関係があるのかもしれない。

そう考えると、私たち紫外線が見えない人間が見ると、あまり映えているように見えない黄色の花は緑色の中ではよく映えるのかもしれない。

「植物の花というのは、大変よくできている!」

そんなことを考えながら、それらの草を炎天下の中、一生懸命刈るのが、私の大事な仕事である。