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第4話 メモ
私はメモするのが嫌いです。
だから、何かを調べてノートに綺麗にメモをとることはありません。まぁ、自分の字が汚いこともメモをとりたくない理由の一つでもあるのだけど。知識は常に頭の中に入れておきます。そうすると、いつの間にか記憶が変わっていることがあるのです。これは、人に教える学芸員としては、まったく困ったものです。
でも、メモをとるよりは頭の中だけに入れておく方が、自分には合っているから、なるべく記憶が変わらないように気をつけるようにしています。
しかし、設計図(みたいなもの)はノートに書くようにしています。それは、自分だけがわかっていても、企画展を作るにしても器具を作るにしても、他の人に手伝って貰わないと作れないから、意識を共有するために書かないといけないのです。でも、なるべく簡単にしか書きません。
▲上の写真が設計図、下の写真がそれを元に完成した展示です。
それは、何かを作る時というのは、作りながらどんどん変わっていくし、何事も正解なんてないのだから、いくら考えてノートに詳しく書いていたとしても、だいたいその通りにはいきません。だから、ノートには簡単にしか書かないのです。
なんて書けばカッコいいけれど、結局のところ私はメモをするのが嫌いだから、簡単にしか書けないだけなのです。
ただ、メモをとることは大事なことだから、多くの人はメモをとった方がいいでしょう。私のところに質問に来る子供たちが質問に対する回答をメモしている姿を見るのは大変気持ちがいい。だから、私も他の人が何かを教えてくれた時は、その人の前でメモを書くようにしています。
でも、これは教えてくれる人への礼儀であって、それを見返すことはないのが、自分のダメなところです。せっかくメモしたのだから、それを後で見返して、知識をちゃんと定着させるのに役立てたらいいのだけど、それができない。
なんとも、メモが嫌いな人間のどうしようもないところです。
そんなメモが嫌いな私もこれまで企画展を170個くらい作って来たし、多くの常設展示室の棚や展示物を作ってきたから、ノートも結構な数になりました。
ノートを見返すことなんてないけれど、今回撮影するためにパラパラ見返してみたら、昔の自分の不器用さと字の汚さに呆れました。
やっぱり、メモなんてするものではない。