妄想アマガエル日記(32)-10月21日(土)晴れ
「とりあえず、冬を越す場所は決まったことだし、あの建物を登る練習をはじめないといけないな。。。」
与助が朽ち木の部屋で横で寝転んでいる小太郎に言った。
「そうだな~。。でもな。。。」
「あの穴の中は本当に冬を越すのに最適な場所というのはよくわかったんだけど。。。日出夫からどうやって俺は逃げたらいいのだろうか?」
天井を見ながら独り言のように言った。
「あ~、、そうだな~。。」
「俺も、銀次郎の寝相の悪さというか、あの危険をよく知っているから、あれからどうやって身を守ればいいのかと、、考えているところなんだよ。。。」
与助が寝転んでいる小太郎を見ながら呟くように言った。
「そうだよな~。。。」
「日出夫から腹を触られるのを避けながら、銀次郎の寝相の悪さからも逃れる方法を考えないといけないな~」
「ほんとだな~どうしたもんかね~。。。」
「まぁ、俺は日出夫から腹を触れる心配はないのだけどね。」
「羨ましいよ。。」
「日出夫はどうしてあんなにも俺の腹が好きなんだろうな~。。」
「小太郎の腹が柔らかくて、ツルツルで、美肌だからだろ?」
「確かに、前に背中に乗られた時に君の腹は本当に柔らかくて、気持ちよかったもんな~。。」
「そうか~?俺にはわからんな~」
「でも、どうにかして、触られないようにしないとゆっくり寝てられないよね?」
「そうなんだよな~。。」
「日出夫のほっぺたはなんかざらざらしてて、こそばゆいんだよ、、、」
「じゃ、触られないようにするしかないけど、それには何か理由が必要になるね。」
「例えば、地面に腹を付けていないと寝れないとか、、、腹を触られると体がだるくなるとか、、、、寝ている時に腹から毒が出るから危ないとか。。」
与助が腕を組みながら、ゆっくり考えながら提案した。
「それだ!!」
「まだ寝ている時に腹を触られたことはないからさ~。。寝ている時に腹から毒が出るってのはいいんじゃないか!!!」
「いいこと思いつくじゃないか!!!さすがだ!!」
小太郎は飛び起きて、与助に向って言った。
「そうか~? じゃまぁ、それでどうにか乗り切ってみようじゃないか。」
「次は、銀次郎の寝相の悪さをどうするかだな?」
「確かにな~。。でも、銀次郎にはいつも寝相の悪さについては言っているわけだし、、、アイツにちゃんと言ってさぁ、個室で寝て貰うとか、体があまり動かないように固定するとかしたらいいんじゃないかい?」
「そうだね。日出夫と違って、銀次郎なら、どうにかなるか!!」
その日は、そのまま2人は解決策を思いついて、安心して寝ることができた。
そして、次の朝。
隙間から降りたところにちょうど銀次郎と日出夫が話しをしていた。
「おはよう!銀次郎と日出夫は最近よく一緒にいるね。もうなんか食べたのかい?」
与助が2人に聞いた。
すると、銀次郎が
「そうだね。今ちょうどミミズを食べて戻ってきたところなんだよ。」
「昨日は早速、ひでおちゃん↑の穴で一緒に寝たんだけど、本当に寝心地がよくてね~よく寝れたよ!!」
「そうなんだ。。。」
与助は日出夫をチラリと見た。
日出夫は体中あざだらけで目の上に大きなたんこぶが出来ていた。
「大丈夫かい?日出夫。。。」
与助は心配そうに聞いてみた。
「え~、、、」
日出夫は目を逸らして返答した。
その間に銀次郎が自分の隙間に戻ったので、その隙に与助が日出夫を少し離れたところに連れていった。
「大丈夫かい?その体のアザは銀次郎の仕業だろ?」
日出夫はうなずいた。
「やっぱりな~、、銀次郎の寝相の悪さは異常なんだよ。。」
与助は日出夫を同情して言った。
「ほんと!!すごかったわよ~。。昨晩の銀次郎の寝相の悪さっていったらね!!」
「もう、、、逃げても逃げても付いてくるって感じなのよ~」
昨晩の暗闇の恐怖を説明した。
そして、
「与助はあの寝相の悪さを知っていたのね?」
「そりゃそうさ!!」
「だから、一緒に冬を越すのをどうにか回避しようと考えたくらいなんだよ。」
「そうなのね!!あれはどうにかしないとみんな冬の間に寒さじゃなくて、銀次郎の寝相の悪さにやられるわよ!!」
「じゃさ、小太郎も銀次郎の寝相の悪さを知っているからさぁ。3人で銀次郎の寝相の悪さで危険が及ばないように、どうにかしないかい?」
「そうね!!いいわよ!」
「銀次郎もちゃんと話して、説明したら理解してくれるわよ!」
「じゃ、3人で少し戦略を練ろうじゃないか!」
「あと、これも言っておかないといけないかもしれないけど、小太郎は寝ている時は腹から毒が出るから気を付けた方がいいよ!」
与助がどさくさに紛れて小太郎の腹の嘘も言った。
「えーーーーーーーーーそうなのぉ?」
「今年の冬は小太郎ちゃんの腹を触りながら冬を越せると思っていたのにーーー」
日出夫は心底がっかりしながらも、銀次郎の寝相の悪さを知ったからなのか、仕方がないと理解したようだった。
それを見て与助は思った。
フォ~~~~~!!
2つの問題が一気に解決するかもしれないぞ!!俺って天才!!
早く小太郎に話してあげたいなぁ~。
つづく