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妄想アマガエル日記(73)-8月15日(水)晴れ

「お=====い!!」
「なんかあったのか=======????」
与助が穴の底に向かって、身を乗り出して声をかけた。

シーーーーーーーーん

「どうしたんだろう??返事がないな~??」
与助が振り返って、皆に言った。

「ちょっと、、見て来るしかないか。。。」
与助が腕を組んで少し悩みながら呟いた。

「そうだね。じゃ、僕も一緒に行くよ!!」
銀次郎が与助に向かって、一歩踏み出して言った。

「え!!あぶないんじゃないの?」
花子が銀次郎と与助を心配して声をかけた。

「まぁね。。。でも、僕らじゃないと、こんな壁は登ったり降りたりできないからね。」
銀次郎が井戸の中を覗きながら呟いた。

花子はその穴の底を覗く銀次郎の横顔を見て、惚れ直していた。

「じゃ、僕らに何かあったら、このクズのツルを3回引っ張るから、その合図が来たらツルを引っ張り上げてくれ。」
与助が、日出夫と小太郎に向かってお願いして、クズのツルを日出夫に手渡した。

「うん♡ わかったわ♡」
「でも、気をつけてね。何かあったら、私が飛び込んであげるわ♡」

「ハハハ、、、日出夫が飛び込んだら、井戸の水が飛び散って大変なことになるね。。あと、日出夫を井戸の底から引っ張り上げることなんて、俺たちにはできないよ(笑)」
与助がニコニコしながら日出夫に御礼を言った。

「よし、じゃ、銀次郎降りようか!!」

「うん、そうしよう。」

井戸の中は少し降りるとすぐに真っ暗になっていて、上を見上げると井戸の口に日出夫と小太郎と花子が心配そうな顔をして覗いているのが見えた。内壁にはコケが生えていて、岩の隙間からはシダも伸びていた。

スルスルと穴の底に向かって降りていった。

だいぶ下まで降りて来たようで、井戸の口はとても小さく、わずかに光が入っているのがわかる程度で、3人の顔は小さくて表情は見えなくなっていた。

「だいぶ、下まで降りてきたね。。」
銀次郎が与助に言った。

「ほんとだよな、、、、そろそろ底についてもよさそうだけどな。。。」

その時に、掴んでいた岩が外れて落下して、与助は片手でクズのツルを命綱に体を支えいた。

ヒューーーーーん、、、チャッポン!

岩が落下して、溜まった水に落ちた。

「やっぱり、水はあるみたいだね。大丈夫かい?」
銀次郎が与助を見下ろしながら言った。

「そうみたいだな!ふ~あぶなかった。。クズのツルがあってよかったよ。」
与助は体をちゃんと支えて、底を見て言った。

スルスルとそのまま穴の底まで降りた。

「ん??誰もいないね??」
銀次郎が周りを見渡した。

「本当だね。。。お====い!!」
「クズのツルはここに引っ掛けておこう。」
与助が周りを見渡して声をかけ、クズのツルを岩の隙間に引っ掛けた。

「返事がないね。。。」
「この水の底に沈んでしまったのかな、、、?」

井戸の底にはとても綺麗な透明な水が満々と溜まっていた。光はわずかに上から1本の光の線となって注ぐだけで、ほとんど真っ暗であった。

「ん??あの底の脇になんか穴みたいなのがあるね!!」
銀次郎が水より少し高いところに横穴があるのを指差して言った。

「ほんとだね!!他に出口みたいなのはないから、あそこから出たのかもしれないな!」
「行ってみよう!」

そこは井戸の底の水が溜まったところの少し上で、井戸の壁の岩が崩れて開いた、横穴のような空間であった。

「おっ、、これは一応トンネルみたいになっているね。。」
銀次郎が周りを見渡しながら呟いた。

井戸の水面に当たった光がこのトンネルの奥まで反射して、ユラユラとした光がトンネル全体を照らしていた。トンネルの奥には少し広い空間が広がっているように見えた。

ペチャペチャ

2人の歩く音だけがトンネルの中に鳴り響いていた。
トンネルを銀次郎と与助がゆっくりと歩き、奥までついた。

そこには、あの3人のカエルが並んで座っていた。

与助がその3人を指差した。
「おっ!!いたいた!!」

「ほんとだ!!よかった、よかった!!無事そうだね!」
銀次郎も嬉しそうに答えた。

与助が3人のカエルに後ろから声をかけた。
「オイ!!大丈夫か??」

3人が座っているその先に、ユラユラと光る光が差し込み、何かを浮き上がらせた。
銀次郎と与助はそれを同時に見て、同時に驚いた。
「ん????????ありゃなんだ?」

つづく。