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妄想アマガエル日記(69)-7月25日(木)晴れ
干乾びていた黄色いアマガエルが、周りを見渡した。
「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」
「よかったよ~~、、穴の奥の壁の窪みで干物みたいになっていたから、もうダメかと思ったんだけど、さっきもうまくいったから、ダメ元で水を掛けたらまた生き返ったみたいだ!!!」
銀次郎が嬉しそうに黄色いアマガエルの肩を叩いて言った。
干乾びていた黄色いアマガエルを皆で囲み、生き返ってよかったと安堵して、皆で顔を見合わせて喜んだ。少し離れたところでその様子を干からびていたトノサマガエルが傍観していた。
「いや~~、、ほんと、、、もうダメかと思ったんだよ。。。」
「ほんと、ありがとう!!」
「穴の中で迷子になってさ~。。上に行ったら出れると思って登って行ったら、両手両足からどんどん水分とられちゃってさ、、ミルミル干からびてしまって、、途中でもう動けなくなったんだ~」
銀次郎を見ながら早口で一気に説明した。
「いや~~、、、ほんと、君のお陰だよっ、、、」
「えっ!!!!」
銀次郎に御礼を言って、自分を見ている他のカエルに目をやって驚いた。
「あぁ、日出夫かな?今度こそ日出夫だよね?大きいでしょ。。でも、大丈夫だよ!!」
銀次郎が黄色いアマガエルを安心させるように言った。
「ん?日出夫?大きい?」
「あ~あのヒキガエルのことね。いや、、、俺が驚いたのはそれじゃなくてな。。。その横にいる青色のアマガエルなんだ。」
「ん?アマガエル??青色?? あっ与助のことかい?」
銀次郎が日出夫を見ていた目線を下に落とし、日出夫の足元にいた与助に目をやった。
「あ~、、、あの青色、、俺のことを見ているな~。。。」
「ほんと、、、青色より黄色の方が珍しいからな~。。。」
そう言って、右手で頭にかかった水を後ろに流し落とした。
「まったくね、、、、俺はひじょ~に、珍しい、、めったにいない、、、黄色の、、いや金色のアマガエルだから、、、この前もアカハライモリに羨ましがられてね、、、、彼女から逃げるためにここに入ったらこのザマさっ。。へっ」
干乾びていた黄色のアマガエルが立って、壁に右手をかけて、全身を見えるようにして言った。
「ん??何コイツ??」
「コイツは何言っているの?」
与助が指差して、真顔で銀次郎に言った。
銀次郎は少し困ったように、その黄色いアマガエルを見ていた。
「あのさぁ~、、俺、、黄色い体なんて、まったく羨ましくないけど??」
「青色の方が綺麗だし。。。」
与助が干からびていた黄色いアマガエルに言った。
「まぁ、まぁ、、、、俺は、ひじょ~に、珍しい、、めったにいない、、、黄色の、、いや金色だからって、強がらなくてもいいんだぜ。青色もそれなりに珍しいんだぜ。へっ」
そう言って、見下すように顎をあげて座っている与助を見ながら言った。
皆が、その様子を見て少し呆れ始めていた。
「まぁさ、、とりあえず、、生き返ってよかったよ。。うんうん!!」
「じゃ、早くここから出ようか!!」
銀次郎が皆に促した。
「ん?君たちはここからの出方を知っているのかい?」
干乾びていた黄色いアマガエルが皆に言った。
「まぁね。教えて貰ったからね。」
銀次郎があしらうように即答した。
「そうなのか。」
「それを早く言ってくれよ。。。また皆で迷子になると、その間にあの青色が俺のこの黄色を羨ましがって、何してくるかわからないと思っていたところだったんだ!!へっ」
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まったく、、、銀次郎、、なんでこんな奴助けたんだよ?
与助が銀次郎の耳元で小声で言った。
だって、干からびている時にこんな偉そうなアマガエルだなんて、、わからないもん。。
つづく。