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当館の水路には困るくらいクレソンが繁茂する。
そして、このクレソンにモンシロチョウがいっぱい産卵にやってくる。

モンシロチョウ

そして、このチョウを見る度に不思議に思うことがある。

「どうして、このチョウはこんなにいっぱいいるのだろう?」ということである。

チョウの仲間は周りの風景に溶け込むような色や模様をした種類が多く、特にガの類では見事なまでに周りに溶け込む模様をしている。でも、モンシロチョウをご覧ください。
周りの風景に隠れる気配さえない。特にクレソンのような緑色の葉のところにいる時なんて、目立つとしか思えない。ただ、クレソンなどの白い花にいる時だけは隠れることはできそうではあるが。。

そんなことを考えていると、昆虫の体の色や模様というものを改めて考えることになり、それは『擬態』として認識されているものとなる。

隠ぺい型擬態というのがあって、それは周りの風景に隠れる色や模様をすることで鳥などの外敵から身を守るというものである。例えば、セミの場合、アブラゼミのように翅が木の樹皮のような模様をしているので、木にいる時は周りに溶け込む色や模様となっていて隠ぺい型擬態をしていると思う。けど、飛んでいる時はそんな模様の翅は目立ってしまう(翅は体より大きいから)。それなら、クマゼミみたいに透明の方がどっちにも隠れられていいような気がする。そう考えたら、昆虫の翅はすべて透明になればいいのにと、隠ぺい型擬態を否定してしまうことになってしまう。
さらに、隠ぺい型擬態は進化の過程で次第に目立つ色や模様の種類が淘汰されて(食べられて)、より周りに溶け込んで外敵から身を守れた色や模様だけが残ったと言われるが、そう考えたら外敵に食べられ尽くされた色や模様があったということになる。本当だろうか~?いったい、どんな色や模様をしていたら食べられ尽くされるというのだろう?そんなことをモンシロチョウを見る度に思ってしまう。

また、ミューラー型擬態というのがあって、それは毒を持つ種類は近縁種も同じように似た模様になるというのがある。ただ、毒を持とうが、持たなかろうが、近縁種は似た模様になることが多くはないか?と思ってしまう。

さらに、ベイツ型擬態というのがあって、それは、危険な生き物は警告色といって、赤色と黒色、黄色と黒色、または派手な模様といった模様をしていることが多く、毒はないのにそれに似た模様をして外敵から身を守るというのがある。たぶん、これが一番外敵に対して意味がある色や模様ではないかと思う。だって、どこにいようが、歩いていようが、外敵から襲われないのだから。

だったら、すべての昆虫がベイツ型擬態をして警告色を身に纏えばいいのではないかと思ってしまう。ただ、そうはなっていないのが、面白いところである。

そうやって、いろいろと考えると、昆虫が外敵から身を守るためにもっとも効果的な体の色と模様は、「透明な翅をして、警告色を身に纏う」ことだと思う。

まぁ、そんな昆虫はハチにベイツ型擬態したアブの仲間やスカシバガの仲間などわずかにいるが、そんなに多くない。

そして、改めてモンシロチョウを見てみよう。飛んでいるときなど目立って仕方なくないだろうか?

いったい、この虫はどうしてこんなに多いのだろう?

以前、モンシロチョウに毒があると言っていた人がいた。詳しくは聞いていないけど。。
けれど、この幼虫が食べる食草は、アブラナ科植物である。アブラナ科植物は、キャベツやハクサイやブロッコリーなど毒のない植物の代表のような植物である。そんな植物を食べていったいどうやって体に毒を貯めることができるのか。。。。
アサギマダラなど体に毒を持つチョウは幼虫も成虫も毒を食べて体に貯める。

では、モンシロチョウは体の中で無毒の食べ物から毒を自前で作ることができるのだろうか?もし、そんなことができるのなら、とても興味深いけど、たぶんそんなことはできないと思う。

モンシロチョウを見る度に、こんなことを色々と考えてしまう。

そして、モンシロチョウはどうしてこんなに多いのだろうと考えると同時に、もっと巧みな色や模様をした絶滅が危惧される昆虫たちとの違いを考えてしまう。