見出し画像

妄想アマガエル日記(67)-7月25日(木)晴れ

干乾びていたトノサマガエルが、周りを見渡した。
「おっ、、、俺は、、助かったのか。。。???」

「よかったよ~~、、穴の奥で干物みたいになっていたから、もうダメかと思ったんだけど、ダメ元で水を掛けたら一気に水を吸って生き返ったみたいだ!!!」
銀次郎が嬉しそうにトノサマガエルの肩を叩いて言った。

干乾びていたトノサマガエルを皆で囲み、生き返ってよかったと安堵して、皆で顔を見合わせて喜んだ。

「いや~~、、ほんと、、、もうダメかと思ったんだよ。。。」
「ほんと、ありがとう!!」
「穴の中で迷子になってさ~。。彷徨っていたらこの珪藻土みたいなコンクリートにどんどん水分とられちゃってさ、、ミルミル干からびてしまってさぁ~」
銀次郎を見ながら早口で一気に説明した。

「いや~~、、、ほんと、君のお陰だよっ、、、」
「えっ!!!!」
銀次郎に御礼を言って、自分を見ている他のカエルに目をやって驚いた。

「あぁ、日出夫は大きいから驚くよね。。。」
「でも、心配ないよ。彼は、、彼女か、、??まぁ、日出夫はいい人だから何も心配はないからね。」
銀次郎がトノサマガエルを安心させるように言った。

「ん?日出夫?大きい?」
「あ~あのヒキガエルのことね。いや、、、俺が驚いたのはそれじゃなくてな。。。その横にいるツチガエルガールなんだ。」

「ん?ツチガエル??ガール?? あっ花子のことかい?」
銀次郎が日出夫を見ていた目線を下に落とし、日出夫の足元にいた花子に目をやった。

「あ~、、、あのガールは、、、、俺のことを見ているな~。。。」
「ほんと、、、困るよ。。。俺があまりにカッコイイから見とれてしまっているんだな、、ふっ」
そう言って、右手で頭にかかった水を後ろに流し落とした。

「まったくね、、、、俺はあまりにかっこいいから、、、この前もアカハライモリに惚れられてしまってね、、、、彼女から逃げるためにここに入ったらこのザマさっ。。ふっ」
干乾びていたトノサマガエルが小石に腰かけ、脚を組み、顎に手を置いて遠くを見つめるように言った。

「ん??何コイツ??」
「コイツは何言っているの?」
花子が指差して、真顔で銀次郎に言った。

銀次郎は少し困ったように、そのトノサマガエルを見ていた。

「あのさぁ~、、私、、あんたのことなんて別になんとも思ってないけど??」
花子が干からびていたトノサマガエルに言った。

「まぁ、まぁ、、、、こんなカッコイイ俺の前だからって、強がらなくてもいいんだぜ。ふっ」
そう言って、遠くを見つめなおした。

皆が、その様子を見て少し呆れ始めていた。

「まぁさ、、生き返ってよかったよ。。うんうん!!」
「じゃ、早くここから出ようか!!」
与助が皆に促した。

「ん?君たちはここからの出方を知っているのかい?」
干乾びていたトノサマガエルが皆に言った。

「まぁね。教えて貰ったからね。」
与助があしらうように即答した。

「そうなのか。」
「それを早く言ってくれよ。。。また皆で迷子になると、その間にあのガールが俺にドンドン惚れてしまうから、大変だと思っていたところだったんだ!! ふっ」


まったく、、、銀次郎、、なんでこんな奴助けたんだよ?
与助が銀次郎の耳元で小声で言った。

だって、干からびている時にこんなナルシストのトノサマガエルだなんて、、わからないもん。。

つづく