妄想アマガエル日記(33)-10月23日(月)晴れ
ニヤニヤしながら与助が小太郎を探していた。
「いったい、どこに行ったんだろう~な~」
「早く、俺の素晴らしい天才ぶりを教えてあげたいんだけどな~」
その頃、小太郎は餌を探して少し遠くまで来ていた。
与助は朽ち木の周りを探していたが、なかなか小太郎の姿を見つけることができなかった。そこで、少し水路側を探していくことにした。たぶん、餌を探して移動しているだろうと予想して、餌が多い水路に向かったのである。
その頃、小太郎は水路を離れて雑木林の前に広がる草原で餌を探していた。
やっと水路に着いた与助は周りをぐるっと見渡したが、どこにも小太郎の姿はなかった。仕方なく戻ろうとした時、小太郎の後ろ姿を見つけた。
「お~い、、小太郎~」
与助が近づいていくと、それは小太郎ではなく別のヌマガエルだった。
「あっ、すまない。知り合いのヌマガエルを探していて、間違えてしまった。」
そのヌマガエルに謝って、雑木林に戻ろうとすると、銀次郎が雑木林の前の草原にいるのが見えた。
あいつはあんなところで何をしているんだ?
気になった与助は銀次郎を遠くから少し眺めてみることにした。
銀次郎は、一人でニコニコしながら何かを集めているように見えた。
ん?アイツはあんなところでいったい何を集めているんだ~?
気になった与助は気づかれないように少しずつ近づいて行った。
すると、銀次郎が何かをまとめて、雑木林の方に走って行った。
与助は銀次郎に気づかれてはいなかったようではあるが、ちょうどどこかに行ってしまったのである。とても気になったので、銀次郎の後を追いかけることにした。
そこは、いつもの朽ち木とは違う雑木林の少し陰になったところにあった朽ち木であった。
銀次郎の奴、、、いったいこんなところで何をやってんだ、、?
与助は銀次郎が何をしているのかとても気になってしまった。
息を殺して隠れていると、背中から
「おい!与助、こんなところで何してんだ?」
小太郎が声をかけてきた。
「しーーーー、今、銀次郎が変なことをしてあの見知らぬ朽ち木の中に入っていったから見張っているんだよ。」
与助が小太郎に身を隠すように身振りして小声で言った。
「変なことってなんなんだい?」
小太郎が小声で言った。
「あそこに草むらがあるだろ?あそこでなんかを集めていたんだよ。食べ物とかじゃなくて、なんか物を集めていたんだ!」
「物?その物は見ていないのかい?」
「気になって近づいて見ようと思ったんだけど、ちょうど走っていってしまって、、後を追ったらここに着いたってわけさ。」
「そういうことか~~。いったい何を集めていたんだろうな~?」
「ところで、この朽ち木って初めて知ったな~。こんなところにこんな朽ち木があったんだな~」
小太郎が見まわしながら言った。
「ほんとだよな~。案外近いところにあったのに、あの大きな木の陰になっていたし、地面が少し凹んでいるから、全然気づかなかったよ。」
「アイツはいったいあんなところで何をしているんだろうな~?」
「俺も気になってきたよ。。」
2人でこそこそと話していると、朽ち木の隙間から銀次郎がニコニコしながら出て来た。
「おい、出てきたぞ。」
与助が小太郎に小声で言うと、小太郎が静かにうなずいた。
銀次郎がどこかに行くのを身をかがめて気づかれないようにやり過ごした2人は、身を上げた。
「おい、どうする?」
与助が小太郎に聞いた。
「それゃ、アイツがいたあの朽ち木の隙間を見にいくだろ!」
「そうだな。どうしても気になる。」
2人は周りを見渡しながら、少しずつその朽ち木に近づいて行った。そして、銀次郎が入っていた隙間を覗いた。
そして、2人同時に声が出た。
「おっ、これは、、、、」
つづく。