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暗闇の中でトンボに下から光を当てると背を下にして飛ぼうとする。昆虫や生物というのは光というのは上から注がれるのが当然だと思っているのである。ゲンゴロウなど水生昆虫も暗闇の中で下から光を当てるとちょっとだけ背泳ぎすることがあるし、たぶん他の生物でも同じように暗闇の中で下から光を当てると背を下にしてしまう生き物というのはいるのだろうと思う。

生物にとって光というのは背から注がれるのである。

それは人にとっても同じでしょう。光は上から注がれる。

しかし、もし、ずっと下からの光が注がれる環境になったからとて、逆立ちして歩こうとは思わない。ここが、昆虫など3次元の空間を生きる生物との違いなのかもしれない。

そう考えると、昆虫たちが見ている世界というのはいったいどういうものだろうと彼らを見る度に思ってしまう。

動体視力は我々が1秒間に15~60回程度の光の明滅を変化を捉えることができるといわれるが、昆虫(ハエなど)では1秒間に150回の変化を捉えると聞いたことがある。つまり、蛍光灯を見ていると電気というのは波であるから、50HZだと1秒間に100回、60HZだと120回の点滅をしていると思うけど、それが彼らには見えるということになる。

また、映像というのはだいたい1秒間に30フレームで構成されているけど、人はそれを映像として見れるけど、昆虫が見たら写真のスライドショーみたいに見えるのかもしれない。

さらに、1日の時間の感覚も昆虫と人とでは違うらしいし、光と影の感覚も違うらしい。空気というのは体積が小さくなればなるほど粘りつくらしいから、空気の感じ方も違うのかもしれない。

いったい、彼らはどんな感覚世界の中で日々を過ごしているのだろうか。。と彼らのことを見る度に想像する。

それを少しでも知ろうと触角電図といって、彼らの感覚器の電気信号を調べることを以前していた。ある刺激(匂いや味など)を与えるとそれに呼応して電気信号が波形として出てくるのである。それはとても興味深かった。

なんといっても、彼らと直接会話をしているような感じがしたからであった。

展示している生物たちに毎日餌をあげるが、それらが餌を食べているところを見ると嬉しくなる。水槽の向こうで鼻歌でも聞こえてきそうな気がするからである。
いつか、彼らの鼻歌が直接聞けたらいいなと思う。