見出し画像

この時期になるといつも考えることがある。
それは、「昆虫の寿命」というものについてである。

なぜ、これをこの時期になると考えることになるかと言えば、6月はホタルを扱い、7月はカブトムシを扱う。そして、この時期になるとカブトムシが寿命を全うしてどんどん死んでいくからである。

私にとって、ゲンジボタルカブトムシというのは、仕事柄とても身近な存在であるのだが、この2種は同じ甲虫類ではあるが大きな違いがある。
それは、「成虫が餌を食べるか、食べないか」である。

ゲンジボタルは成虫になると水しか飲まず何も食べず10日程度で死んでしまう。一方、カブトムシは馬鹿みたいに餌を食べまくって、早いものでは10日程度で死んでしまう。

ゲンジボタルは野外での調査では成虫の生存日数は3~5日であるし、カブトムシも冬を越して1月まで生きた個体もいた。ゲンジボタルに関しては飼育下のだいたいの平均、カブトムシは交尾が終わった雄の話し。

10日程度に対する補足
餌を食べるカブトムシ

なぜ、カブトムシはこんなにも餌を貪欲に食べ続けているくせにこんな簡単に死んでしまうのか。そして、カブトムシと同じような大きさで同じ餌を食べているクワガタムシは成虫が2~3年は生きる。
カブトムシのなんと燃費の悪いことか。。。
そんな姿を見ながら昆虫の寿命というものに思いを馳せるのである。

また、ゲンジボタルの生涯を考えた場合、卵の期間は約20日、幼虫の期間は早い者では11か月、でも のんびりな者では3年を要する。そして、前蛹の期間は約20日、蛹の期間は約7日、成虫の期間は約10日である。いっぽう、カブトムシは基本的には約1年で幼虫期間を終えて成虫になる。土の温度を低くするれば2年幼虫になるかもしれないけど。

ここで気になるのが、幼虫期間というのは伸ばすことができるが、成虫の期間というのは伸ばすことができないという点である。

このことは草本植物を見ていても思う。

花を咲かすまでは、その期間をある程度伸ばすことができるのだけど、花を咲かすとその期間は伸ばすことができないのである。

昆虫の成虫や植物の花などは、長く生きてはいけないというタイマーのような時間的な制限が課せられるのである。

また、植物の場合は、花が咲くまで大きさも変えられるのも面白い。

花壇のツツジの上に出るために茎を長く伸ばしたヒガンバナ

つまり、私が昆虫の寿命の何を考えるかというと、成虫になるとゲンジボタルのように餌をまったく食べずとも、カブトムシのように馬鹿みたいに餌を食べ続けようとも、タイマーが発動したら死んでしまうということである。

死んだこの2種の体をいくら解剖しても、体内に何か傷を負ったとか、羽化から数日で経年劣化をしたとか、病気があるとか、大顎が摩耗して餌が食べれないとか、体液が漏れているとか、そんな部位は見つからない。
でも、彼らは決まった時間が来たら死んでしまうのである。

私にはこれが不思議で仕方がない。

このお盆の時期は、亡くなった者がかえってくるらしい。

だから、この時期になると考えるのである。
これまで飼育して亡くなったゲンジボタルとカブトムシよ、教えておくれ
「君たちがなぜ亡くなったのかを。。。」と。