その人が活躍できるかどうかは会社の与えた役割によるよね、という話

前々職の同僚を6年ぶりぐらいに呑んだ。色々とビックリする話があって、中にはあんまり書けないような悲しい話もあったんだけど、その中に自分の当時の上司の評判が芳しくない、というものがあった。

自分は当時、『すごい!理想の上司だ!』と思っていたので非常にびっくりした。

自分が入社した当時、彼は研究開発部署のマネージャーで、研究開発部署の人の管理をしていた(プロジェクトチームは横軸で構成されるので、やっていることはマネジメントメイン)。開発部らしく、癖の強い人たちをうまく放牧させてモチベーションを維持させ、成果を出していた。

ところがこの6年で研究開発部がなくなり、その上司は技術部署全体のマネージャーになったらしい。ある種昇進だ。ちなみにこの会社のメインはやや受託寄りの製品開発だ。

ただ、こうなってからぱったり新しいことに手を付けなくなり、人のモチベーションマネジメントも前ほどうまく行かなくなり、人がパラパラと抜けているとの話だった。

多分、開発部を無くす際には『研究開発部と技術部のメンバはやっぱ同じ技術持ってるしさ、管理が別々だとコストかかるし、一緒にしちゃおうか。本当に研究開発したければ全然プロジェクトベースに対応できるっしょ。』みたいなノリだったんだろう。

が、結局うまく行かなかった。研究開発は正直博打的な部分も多い。とはいえ前々職の研究開発はガチガチの要素開発というよりかは新しい技術要素の比較的多い製品を開発する、というタイプの、普通の研究開発部署から言うとやや物足りない部署だったかと思う。ただ、それでもうまく行かなかったのだ。

やはり研究開発と受託開発は全然モチベーションが違う。スタッフのモチベーションもかなり違ってて、規律に対してはかなり緩いが、一方で仕事に対するモチベーションは総じて高かった。

また、研究開発部署のメンバーは『自分は何処を(技術的に)掘るべき。』みたいな判断基準を持っていたように思う。『ここのスペックもうちょっと上げると日本1ってカタログで言えるよね』とか『ここがこれだけできるようになるとこっちにも転用できるよね』とか。たとえクライアントがある装置を開発していたとしてもその先のなんかもやっとしたものを切り開こうとしていた感触があった。

一方で受託開発のグループはそんな感じではなかった。どちらかというと『客の要求仕様以外のこと』で仕事の時間を使うのは『利益率を下げる行為』になるのだ。

研究開発部も受託開発グループも別にそういう教育を受けていたわけではないし、具体的な数字で利益をみっちり全員でシェアする文化でもなかったが、それでもなんとなくそういう認識が生まれ、技術は似ていてもマインドや働き方は異なっていた。

上司もそういうモチベーションの異なる社員に対してはうまくアプローチできなかったのかもしれない。組織と役割というのは非常に難しい。抜けた穴を埋めるのも、違う形に改編するのもかなり無理をさせることになる。



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