『技術の仕組み』について

 非常に良い記事があったのでそれについて思ったことを書く。新卒エンジニアの方にぜひ読んでいただきたい素晴らしいインタビュー記事だ。

この記事ではファミコンの時代から第一線で活躍し続けているmixiのプログラマの吉田さんのインタビュー記事だ。

 新しい環境に移って、言語や環境が変わってもプログラムの根幹は同じなので、そこを理解していれば新しい環境に移っても一定の土台さえ組めば活躍できる。これを『技術の仕組み』と言っている(インタビューでは技術の根本的理解とも言っている)。

 テクニカルディレクタやエンジニアではこの記事に頷く方も多いのではないだろうか。あまり馴染みのない環境、例えば言語でも『できるんじゃないですかね』と言う時、言語の仕様というよりかは明らかに作るアプリケーションの仕様、というかもっと荒い『構造』をイメージして答えを返していると思う(少なくとも自分はそうだ)。

 言語的に簡潔に書けるかどうかとか、そのアプリケーション開発に向いているかどうかと言った話はあるが、それは工数の大小でしかなくて、『できるかできないか』には影響がほとんどない。

 先月、『賢いとはどういうことか』でも書いたが、これはアプリケーション開発やその周辺技術の抽象化ができている、ということでもあると思う。勿論技術を一つ一つ触って知見を蓄積していくのも大事なのだが、それを繰り返す中で抽象化したアプリケーション開発のパターンを研ぎ澄ませていくのが大事なのだと思う。

 とまぁ、あたかも『技術の根本的理解』って存在するかのように書いてきたが、そもそもそれって可能なのだろうか。『技術を根本的に理解した』という瞬間はあるだろうか。それでいうと僕はない。

 結局、『技術に対する理解を深める』ことは継続的に行っていくが、どこか終点があるような『技術の根本的理解』みたいなモデルはあまり当てはまらないのではないイメージだ。この辺りは自然科学と全く一緒で、仮説から来るモデルを実務や勉強で改善していくモデルになっているだろう。

 それゆえになんの実務もしないテクニカルディレクタは非常に不安である。技術に対する理解をキャリアと共に深掘っていくことができなくて、今ある技術のモデルで仕事を捌くしかなくなってしまっているからだ。



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