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Beholderプレイ感想

Misskeyに投稿したノートの転載です。
ネタバレ配慮は特にしていないので未プレイの人は、やろう!

以前ににさわりだけプレイした単発実況の動画を見て続き気になるなーと思っていて、ようやくプレイしたのですが閉塞感に満ち満ちた世界でうんそりゃ単発になるわと思いましたええ…。

ディストピアofディストピアな世界観でオープニングの時点でヒエッって感じなんですが、報告書を自分で作って提出した瞬間からが本番です。
ほんほん貴様ご禁制を破りおったな!と証拠抑えて報告上げた瞬間BGMが一気に不穏になって、「これはやばいことなのでは??」と気付いてサーッと血の気が引くんですよね。何と言えばいいのか、やばいものが蹂躙しに来るって感じのBGMが危機感をバリバリに煽ってくれてとても良いです。(よくない)
昔見た実況がどこまでプレイしてたのか覚えていないのですが、入居者が一方的にボコボコに殴られて連れていかれる姿に「これはとんでもないことしてしまったのでは???」と思わされるんですよね素敵ですね。(何も素敵ではない)

色んな入居者をお迎えして部屋を漁って覗いて、人となりが分かる品を発掘したり、行動から習慣を把握したり、そして密告できる証拠を握っていくという…。
ゲームクリアのみに絞ると難易度はだいぶ優しい(部屋の中漁ってる時に住人と鉢合わせても怒られるだけで特にペナルティはない)ので、微妙な日本語訳で操作方法を理解できれば基本やることは同じなので詰まることはなさそう。
ゲームの性質上やることが同じになってしまうので飽きてしまう人は多そうですが、それを解消すべくタスクは多種多様に用意されています。

入居者やタスクによって物語が変化していくのがこのゲームの面白みだと思います。うんまあでもだいたいろくなことにならない気がするんですけどね、ええ。
物語に明るさは全くなく、閉塞感が付き纏っているのでその点でも人を選ぶのかもしれません…。
人恋しい男からお嫁さん欲しい!と相談を受けて見繕って色々援助して結婚式するぞー!と祝福ムードで結婚式終えて、部屋に戻った男がグラス傾けたら死んでんですよ…。流石に変な声出た。

とんでもない立場になってしまった主人公ですが、主人公の家族が次々と…死ぬんすよね……。
息子から彼女とデートしたいからおこづかいちょうだい!ってせびられてはははこやつめと思いながら渡したら、次は大学に寄付(大金)しないと退学になっちゃう!って言われるんですよね…。

無理だが…無理だが…!!!!って困ってたら、娘が病気だ!薬が必要!って言われて薬代出して、そしたら医者連れてきて!!って言われるんですけど、結婚式の後に死んだ男が 医 者 。
どうにもできねぇ…どうにもできねぇ…!と困っていると、娘が危篤状態に。治療のためにお金(とんでもない額)が必要とのこと…。
いやその額は無理だが…!!!!と困る間に娘が力尽き、お金用意できないんだよなと話しかけずにいたら金に困った息子が銀行強盗して殺された連絡が届きました…。
そして子供の死を嘆いた奥様が服毒自殺で家族が誰一人残らなかったよね…。

クリア後に攻略調べて知ったんですが家族全員救うにはえげつい金額必要になるそうで、金策として有効なのが脅迫だそうで…。
このゲーム、政府が日々次々と禁制品を布告していくガチガチのディストピア世界なんですが、そのご禁制を住人が破る姿を見つけて政府に密告すると警察が飛んできてボコボコにされながら逮捕されるんですよね。
そんなクソヤバ世界だからこそ、住人に「おいお前やってんだろ」と脅迫状を送り付けて金を強請るという手段があるという…。

基本的に精神性が秩序・善だという自認があり、脅迫コマンドは使用していなかったのですが、ああこの世界に「倫理観」なんてものを持ち込むことが間違いなのだなと思わされました。
管理人が住人の部屋に忍び込み、禁制品を部屋に置くことで弱みを作り出して強請るという悪魔のような手段が紹介されており、自分にはなかった発想に「人はかくも邪悪になれるものなのだな」と思いました。いや普通浮かばんでしょ…冤罪でっちあげて強請るとか…。
しかし家族を救うためにはそこまでやらねばならないのだなぁという部分に、主人公もまた「守るべきは何か」を問われているのだろうなと感じました。絶対的な正しさなどないからこそ。

初回こそとんでもないことしてしまったなと罪悪感のようなものがあったのですが、終盤になると「オッご禁制、これでいつでも殺れるな」「この人そろそろ殺るか」とごく当然のように考えながら、死んだ目で政府へ報告書を綴るようになってしまい、精神が濁っている自分に気付くというとても貴重な経験をさせていただきました。
なんだろう「効率などを求めるうちに人間として大事な部分が死んでしまった自分に気付く」瞬間から得られる得も言われぬ感覚というか栄養素というかありません??
そういうゴミ溜めから空を仰ぐような心地が感じられて実によきでした…。(よくない)

次々と人々を突き出して迎えた最後は、完璧で従順な管理人のクローンが万単位で作られ(実験過程で管理人は死亡)、戦争は終わることなく続いて毎日数千単位で命が失われているけれど人々は幸福です!(幸福でないはずがない!)という終わりでヒョォー!!!!ってなりました。

マルチエンドで住人の顛末含め様々な結末がご用意されているので、皆様もディストピア世界で死んだ目になってはいかがでしょうか。

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