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ニューダンガンロンパV3プレイ感想

Misskeyに投稿したノートの転載です。
配信制限などがされているタイトルのため詳細部分はぼやかした形になります。
それでも本編に触れる内容で楽しみを損なうおそれがあるため未プレイの人は是非、やろう!

セールしてたのでニューダンガンロンパV3を買ってきたのですが1章終えた段階でヒエーってなった。
おや今回の霧切さんポジションは君なんだね!顔赤らめた差分かわいいね!と思っていたらあの、その…。
裁判パートでもマジで誰が犯人なんかが見えてこなくて、んーー???と思っていたんですけど、隠し扉の写真に言及した瞬間に空気ががらっと変わるのめちゃくちゃ気持ちがいいですね…。
犯人指名の段階でうわ…ってなって動機まで見えてくるのほんと…。よくよく考えれば彼が黙りこくって庇おうと考える相手は一人しかいないんですけど、その手をここで使ってきましたかという。
このテのゲームでこの手法を突っ込むと、以降プレイヤーに雑念が入ってしまうので、当時も続編はもう出さない覚悟でやったんだろうなーと思います。

おしおきはすげー大好きな感じのやつでした。裁判終えて部屋に行った時はおしおきの光景思い出して吐くのではないかと思いましたが、在りし日のその人を象徴するものと捉えることができたようで。これから彼にとって月の光は眩い輝きであり暗い影を落とすものになるのでしょうね。

本作の目玉である偽証システムですが、個人的には好きでないなーという印象。
思考の幅を広げる狙いだと思うんだけど、確証もなくただ個人的な恣意をもって嘘を吐いて不確定事項を確定事項に捻じ曲げる行為は裁判の公平性と信頼を損なうものであると思うんですよ…。
議論の方向性を定めたいなら他の方向へ繋がる道を潰していくことで成立するのであって、そこにない事実をでっち上げるのは検証の放棄なんすよ…。
最終的に正しければよかろうではなく、真実を追求するための裁判で能動的に嘘をお出しされるともう裁判する意味がないんですよ。

一章の偽証はその時は「何しとんんんん!!!」って思いましたが、振り返ってみるとやる意味分かるんですよね。実は既に犯人を知っているので、違う人を犯人にする事態を避けたかったから力技に出た。
しかし二章の偽証はまだ犯行の全容が掴めてもいないのに、この人を信じたいから偽証して証言を真実にしてまえー!なので、お前何してくれとん流石に信じるという名分に甘えた思考放棄だろって思っちゃうんですよ…。

今作、「この人を信じるのでこの人が正しいと信じる」という感じの思考が多く、裁判システムそのものの否定を狙っているというかちゃぶ台を返したそうな雰囲気がするのでこの忌避感も狙ってのことなのだろうか。
そういや無印では私、マスターキーの矛盾を普通に追及しちゃったな…。偽証の系譜としてはそっから既に続いてる感じなのかな。

ラストの展開は人によってものすごく嫌われるタイプのやつなのでそういう意見が出てくるのも然もありなんという感じでした。
私としては特に嫌いじゃない展開でしたが「ダンガンロンパがみんな大好き!」と言いまくるのを見てるのはちょっと寒い気持ちにはなったかなぁ。
このテのテーマは受け手と物語の距離を極力近付けておかないと乖離が起きがちなように思うのですが、本シリーズは最終盤にせっせと畳むつもりのない風呂敷を広げ始める印象が強く、展開に関して特に衝撃を受けることもなくあっそうですかと他人事のように眺めてしまったので勿体ねぇなという感じ。
まあその「他人事」の視点こそが打破すべきものとして位置付けられたのでしょうけれども。
あーあ、またコロシアイが起きてしまいました。オマエラが望んだからです。

私自身は本作の目玉である偽証システムが恣意による捏造のように思われて好きではないのですが、終盤で嘘が世界を変えるとなるのはほう!と思わせてくれました。
本作では「信じる」ことが思考の根幹であり、わりとこの「この人を信じているからこうに違いない!」といったような推理モノとしては致命的な思想が火を噴くのですが、今までとは異色に思えるこの考え方が真実という枠組みをぶっ壊すという展開に寄与しているのだろうか。
本作はプレイしていてちゃぶ台を返したそうな雰囲気をビシビシ感じていたのですが、ほんとにちゃぶ台返したかったんだなぁとちゃぶ台返されて思いました。
信用できない語り手が出てきた段階でこれもう続編出さない覚悟なんじゃないかなと思いましたが、ほんとにさよならダンガンロンパしてしもうた。

本作のトリックスターとも言える人物ですが、前作に出てきた人物が大真面目にぶっ飛んでいてキャラを食いまくっていたので、本作のトリックからもその影がチラチラとしてしまい、こういうキャラって作るのたいへんなんだなぁと思いました。いやあまりにもあいつが強すぎるんですよ…。

セーブする=今の状況を認めるとするのは面白い試みだなと思いました。最終作にするつもりだからか、わりと今作色々とチャレンジしてる感がありますね。
希望が絶望を砕く展開でおお熱いなと思わせて、希望も絶望も選ばない選択肢を提示し過去作を踏襲して、その選択は既に前作でしたぞ?と思わせて最後にゲームを降りるという決定を下すのは面白かったです。ダンガンロンパの否定ですよね。
そこから今まで必死にクリアしてきた推理をぶん投げるという流れは個人的に好きです。
しかし最後の理論武装はほんときつかった。音ゲーというか忙しいアクションが得意でないのでひたすらアァァァしていた。
今作は投票を自身で行う形なのですが、ああこのためかぁ…と。

棄権のペナルティは等しく与えられるべきなのですが、そうはならなかったのはゲームが公正に行われなかったことへのカウンターでもあるのだろうか。
動いた瓦礫を見て微笑んだその人は、裁きを見届ける目であるので共に行くことはできないのだろうなぁと思ったのですが、フィクションと現実は共に存在できないということでもあるのかもしれない。
ただ、本来微笑むことはもうないその人が微笑んだのは、本作で皆が至った結論そのものなのかもしれませんね。

感想としてはやりたいことを臆さずやった意欲作かなと。シリーズ重ねるごとに過激になる下ネタとか操作性がクソな車とか良くも悪くも挑戦的。個人的には楽しくプレイできたし、ダンガンロンパの終わりを見届けることができて「やってよかったな」と思っています。
おま環かもしれませんがSwitch版をプレイしていて1、2では感じなかった処理落ちとフリーズがちょこちょこ起きたので、やるなら他のプラットフォームの方がいいかも。

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