パラノマサイト FILE 23 本所七不思議ネタバレ感想

Misskeyに投稿したノートの転載です。
ネタバレ配慮は特にしていないので未プレイの人は、やろう!

切っ掛けとしては某実況でプレイされてるのを見て「あっこれ自分でやりたい」と思って視聴封印して即DLした経緯だったのですが、いやーーーとても面白かった。
社名ロゴの段階からぶっこんで来てて、おおっとこいつはかましてきやがる!と思ったのですが、演出がとても上手い。
周囲を見回して能動的に情報を集めていくドキドキ感がとても良く、没入を促される。ゲームならではのギミックは手法自体は目新しい内容ではないのですが、使ってくるタイミングがすんごい上手くて心地良い。

チュートリアル的な立ち位置の興家編ですが、葉子さんが死んじゃって、滓魂集めたぞーいしたら今度は興家君が死んじゃった!いやそれはダメじゃんよーし葉子さん死なせずに済んだぞー!からのエェェェナンデェェ!!!!の怒涛の展開からもう掴まれっぱなしでした。
一気に進めたくなるストーリーで、キャラクターそれぞれに味がある。随所で明かされていく謎の断片を拾い上げてようやく至った結末で、襟尾とミヲちゃん死んじゃってまたエェェェ!!!!という。
さあこれで終わりです、から興家編に戻る展開がさ…熱いよね…。
チュートリアル段階で葉子さんを救うために奔走して、救えたと思ったら興家編に戻ってきてやっぱ葉子さんは殺さなきゃいけなくてコノヤロウとなるという…こう、ストーリー味わわせ方が上手いですよね。最後まで楽しませていただきました。
短くありますがきちんと纏まっていて充実感がある。選択肢を眺めるのではなく自ら積極的に調べるゲーム性であるので、自分でプレイした方が絶対にいいやつです。

登場人物としてはやっぱ刑事二人、マダムと探偵あたりがやっぱ…好きですね…。
刑事二人は全編亘っての小気味良い掛け合いがとても見ていて気持ち良いですね。そして襟尾の銃を下げさせないエンドでの自責に苛まれる襟尾の姿がとても味わい深く(悪趣味)、青さ故に付け入られてしまうことは仕方がないことではあるのですが、未曽有の殺戮を防げず憧れの上司を辞職に追い遣り、いや今後彼に押し寄せる絶望を思うとほんと…非常にゾクゾクしますよね。(悪趣味)

春恵さんはほんと彼女の纏う退廃的な空気がとても素敵で、仄かに漂う死の香りがともすれば陰鬱な印象になりそうなのにとてもいい塩梅なのがとても凄いなぁと。湿度を孕まず暗くならず、「退廃的で翳がある」という具合に落とし込まれていて個人的には一番キャラ造形が凄いなぁと思っています。そんな印象を抱かせるのは行動を共にしている利飛太との掛け合いにあるのかもしれません。
あやめとのやり取りで、ウワァァァ呪詛行使せんと進まんのか…!と覚悟を決めてZLボタンを押して発動しなかった時、確かに安堵したのですが、諫言を受け入れずあやめの服に火を点けて呪詛を行使するエンド、執念ともう戻れないという覚悟、そして何にも縋れない春恵さんの孤独が感じられてとても良い。(悪趣味)締め方含めて好きです。

あやめが甦りの秘術を求める理由がサイコパスというご意見を見てオッオホォォォ!?ってなったのですが、春恵編にて語られる命は不等価という彼女の持論に全てが集約されてると思うんですよね。
育ってきた環境から彼女は疎外感を抱えながら生きており、そこで北斎の絵に出会い深く感銘を受ける訳です。
北斎の絵は素晴らしい×私は無価値×甦りの秘術という要素が悪魔合体を果たしたことにより大爆発するのですが、根底にあるのは自分の心を震わせた素晴らしい芸術を広めたいといった思いと希死念慮ですよね。
決して支離滅裂な内容ではなく、その考えに至るまでの経緯がはっきりと横たわっている。それをあたおかで片付けてしまうのは勿体無い気がするんですよ。

津詰親子…いっぺん話し合ってくれ…頼む…。と思うが、津詰は絶対に血が繋がっていない(=あの日拾った子供である)ということを認めないのですが、あやめは自身が死んだ子供の代用品だと思っているので致命的な齟齬が生まれているという…こう、業が深いね……。

いやー面白かった。このノート見てる人は既プレイだと思いますが、もし未プレイであれば是非やって欲しい。核心のネタバレしちゃったけど…。

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