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バテン・カイトスHDリマスタープレイ感想

Misskeyに投稿したノートの転載です。
ネタバレ配慮は特にしていないので未プレイの人は、やろう!

推しはリュードですよろしくお願いします。

ゲーム起動して早々にクソ長利用規約を読まされてヒエ~~~~~~ッってなってしまった。新しいゲームを起動した瞬間は最も気持ちがホッカホカな状態なので、ここで萎えてやる気失せる人も少なからずいるのではないかという感じはした。あとふらっとストアで見かけて買った人が、利用規約に同意できなかったらどうなるのだろうという疑問。

GC時代から気になっていたものの結局プレイしてこなかったのですが、わりかしネタバレでゲーム体験損なうタイプのタイトルだったので下手に情報仕入れてなくて良かったなぁという感想。
とはいえ火山洞窟での言動がもう完全にフラグだったので、あっお前やる気か?????と察せてしまう感じではあるのですけど。

伏線が色々散りばめられていますが、綺麗に回収してうわーお見事ー!ってタイプの話作りではなく、物語を彩るスパイス的な感じという印象。
個人的には絵本村でカラスの中身がないと告げられた時、村人の女性に話しかけていたこともあって『あー既に死んでるパターンか』と考えていたのですが、そこにもう一枚要素を被せていた展開だったのはやられたなーと思いました。
結局ミローディアの「お兄様」呼びと髪の色は一体何だったのだろう?と思っていたのですが、クリア後に情報解禁してみたらⅡでどうやら回収されそうな感じみたいですね。

シナリオとしては、言葉選びのセンスが自分とは合わねーなと思うことは度々あれど、骨太なRPGって感じで楽しんでプレイできました。
エンディングは「よくない!!??お別れせんでもよくない!!????」と思いつつ、カーテンコールで見送られる様をややくすぐったく見ていると『これはスタッフからのthank you for playing!であるのと同時に、ゲームとお別れする儀式なのかなー』と感じました。

印象に残っているのは物語の内容というよりシナリオ制作と倫理の兼ね合いのお話になるんですが、ゴルドバでジャコモから勧誘を受けてカラスが発した「………何を考えている、ジャコモ?」のセリフがボイスが明らかに違っていて、あれ?と思ってやり直して聴いてみたらボイスというか元のセリフは「………気でも狂(ちが)ったか、ジャコモ?」なんですよね。
カラスはヒネたタイプのキャラで、仇敵であるジャコモに動揺を悟られたくはないが真意は知りたいので、強い言葉使って煽るという方向性はすげー納得できるんですよ。ですが、現実の倫理観として適当な言葉ではない。
架空の物語ではあるのですが、世間に向けて発売するとなると適用されるのは我々が生きる現実の倫理観なんですよね。物語を作るうえでの空気感と言葉選びの制約ってなかなか難しいものだなと思わされました。

キャラとしては各々濃い味持ってるけど、いい感じに補完し合ってる関係性でたいへん良いです。
主人公だけどヒネてるカラスをシェラとギバリが蹴っ飛ばし、一歩引いたサヴィナがいることで仲良しこよし旅にならない。イロモノ枠のミズチさまは加入の遅れをパンチ力で補ってるんすよね。
冒頭で宣言した通り私は推しはリュードなんですけど、こう…本編中での彼の薄幸具合…一体何事…?

リュードはこう、人間の持つ卑しい部分が色濃く出てて…多分嫌いな人はめっちゃ嫌いやろなと思います。
マグナス紛失時に裏切者を探す空気になった時、真っ先に「自分じゃない」と主張する人間臭さがめちゃくちゃ好きです。
これは幽霊戦艦で彼自身も自責の念に苛まれるんですけど、アザー掃討作戦に反対して、取った行為はボイコットなんですよね。でも普通の人間、他人の為に自分の命を擲ってまで庇護したりできないんですよ。
こういう普通の人間なりの小ささをお出しして来る感じが生々しくて実に良かったです。
心火の蝋燭とスフォルツァンドの説明文にて彼がストレスとフラストレーションを鬱屈と溜め込んでいる様をお出しされてすげーツボに入ってすげー好きなんですが、邪恋別杯の説明文、お前……ほんま……何なの……?

キャラとしてはギバリがほんといい味出してるというか、泰然とした年長者!!!って感じで気持ちが良いキャラですよね。
アザーを掃討したサヴィナを非難するリュードに対して告げた、役割と責任についての考えが印象に残っています。それに対して賛同する人物がいないのも、考え方は人それぞれって感じがしてすげぇ好きだなと思いました。

戦闘面に関しては時間制限、精霊値ポーカーとスタイリッシュで爽快感があり、属性値の概念なんかは面白いシステムだと思います。
ただ、全体攻撃が存在しないのでどうしても雑魚戦が冗長になりがち。逃走も手札に来ないとできないという。
防具マグナスは手元にないと防御できないが、手元に置いておくと攻撃時にはクソの役にも立たないので最終的には「これいらなくね?」となってしまってデッキから外れてしまったのが悲しいとこ。
防具…最終的には敵の攻撃回数がどえらく多くなるので、軽減幅もクソ微妙になっちゃうんですよね…。敵の攻撃に間に合うように防具マグナス出して防ぐのは楽しいので、マグナスは攻防一体(カラスやギバリの武器みたいに)しても良かった気もする。

私自身は強い武器が出る度マラソンしてデッキ埋める人類だったのですが、他の人はどうだったのだろう…。攻撃マグナスが反属性なリュードやサヴィナ、攻撃マグナスが共用なシェラとミズチなんかはデッキ揃えるの大変なのではという気はする。
シェラとミズチはほんと役割食い合うので、マグナスは個別にするか、いっそ担当属性縛ってもよかった感じがしました。

とまあ色々と触れてきたのですが、この作品の何より特筆すべき部分はやり込み要素だと思います。
時間経過でマグナスが変化するという要素が実に面白く、マグナス入手するとワクワクするんですよね。
個人的にこのゲームの好きなところ、マグナスごとに設定された説明文でして、新しいマグナス入手するたびに説明文を見に行くのはお約束でした。
最序盤で回復を担うアイテムはたけのことバナナになると思うんですけど、あいつらちんたらしてると回復に使えなくなるんですよ。黒くなったバナナに「お前まだ食えるだろ!むしろ今だろ!」と思っておりました。
シャンプーのマグナス変化に自力で気付いた人はいるのだろうか…?
私自身はお神酒あがりワサビくらいしか活用しなかったのですが、SPコンボもとにかく多くて遊び心に溢れていて楽しいですね。

行く先で出会う人々の悩みや願いに合わせてクエストマグナスを使用するのですが、ブランクマグナスの取捨選択や時間経過を合わせたりと考えることは多い。それが楽しい。
クズマーンの系譜の一癖も二癖もある人々と、系譜が埋まるにつれ明らかになる関係性など、収集要素がとにかく多い。
マグナスコンプは労力凄いんですが、成し遂げている猛者も少なからずいるあたり、そうさせるだけの魅力があるんだろうと思います。すげぇよ。

そういや開けてはいけない引き出しを開けてしまった罰として押し付けられる借金のマグナスですが、GC版はどうも店で金を払うことで引き取ってもらえたようですが、リマスター版だと捨てることも店で引き取ってもらうこともできず借金地獄が残り続けたのでカッパが落としても拾ってはいけません。私は武器マラソンしてて何も考えずに拾いまくって後悔しました。
何も考えずに拾ったがためにどうにもできない借金地獄が手元に残り続けるという状況はすげぇ含蓄あって笑うんすけどね。

プレイしていて、別世界から来た精霊という立場はいい立ち位置だなと思いました。おおよそのRPGはプレイヤー=主人公なんですけど、このゲームプレイヤーと主人公は明確に別の存在なんですよ。
困っている人を前に「手伝いましょう!」と提案すると、カラスは面倒臭がるんですよね。この感覚の齟齬がとても新鮮で面白かったです。
恐らくこの齟齬は意図して組まれたものであり、ストーリー中盤で発生するこのゲーム最大のイベントを主人公とは別の視点として見つめられる。この辺の設計が上手いなぁと思いました。

とても面白く遊ばせていただきました。
そして最後に、20年前のゲームの攻略情報を残し続けてくださっている古の個人サイトの方々、本当にありがとうございました…!サーバ代払って今だに掲載し続けてくれてるの、ほんと凄いことですよ……。
今や攻略本の文化は廃れつつあり、ゲームの攻略情報となると企業wikiが乱立する時代になっているのですが、今のゲームが『レトロゲーム』と呼ばれ始めるようになった時、果たして攻略情報は残っているのだろうかと古のゲーム攻略情報個人サイト様をありがたく眺めながらふと考えてしまった。

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