探偵・癸生川凌介事件譚シリーズネタバレ感想

Misskeyに投稿したノートの転載です。
ネタバレ配慮は特にしていないので未プレイの人は、やろう!

パラノマサイトやってこの人の作品好きだろな私と思ったので探偵・癸生川凌介事件譚をやり始めた。
大昔にauのキャンペーンか何かで無料DLできたので1作やった記憶が残ってるのですが、骨子しか残っておらずどのナンバリングをやったかまで覚えてないんよね。
とりあえず1作目をDLしたんですがガラケーそのままなので操作性にストレスがある感じは否めない。しかし作風や台詞回しにエッセンスが感じられてとても面白い。


仮面幻想殺人事件

推理物というよりも読み物であり、能動的に情報の断片を集めてそれらを繋ぎ合わせた推理ショーを楽しむ感じ。
感覚的には安楽椅子探偵が近いのかもしれない。いやめっちゃ癸生川先生お外に出てると言うかだいたい事務所いないんすけども。

愛されたいという気持ちは本物であれど、その形が独り善がりであったために報われず、各々にとって最悪の形となった結末でしたね…。最後に明かされるキャラクターの正体に、その人が変人として避けられていた理由に納得できてしまうのが面白かったです。

海楼館殺人事件

前作に比べてボリュームがめちゃ増えたように思う。
今回マジで安楽椅子探偵だった。癸生川先生があったかい紅茶飲みたくならなかったら事件解決してなかったという。あれだけの情報で真相に辿り着ける先生化け物かよいや奇人なんですが。

冒頭の伊綱さんとの数取りゲーム、絶対に後攻が負ける仕様になっててぐぬぬ感を抱きながら色々数を選択しましたが絶対7になる数字言われるのでやはりぐぬぬ…。
海楼館の怪しい部分、支柱もないのに渡り廊下だけで海面に出てる浮島の謎浮力では??と思って選択したら違います言われてヒエーなった。
あと個人的に気になるのが池上さんの部屋の隠し扉が濡れてたことですね…何故…?伊綱さんへのミスリードのためかしら。

最後に下される癸生川先生の評価、ノーミスだったらどうなるのかしらとやり直してみたけど違いはなかった模様。1〜2回までなら許されるとかそんな感じなのかしら。
真相編に関しては完全に読み物なんですが、そこに至る前の伊綱さんの結論を推理していくというゲームなのかもしれないとやってみて思った。

死者の楽園

癸生川先生が最初から行ってたらどうなったのかなぁと思ったものの、依頼の時点では「探偵が捜査した実績が欲しい」だけだったので暴くもクソもないんですよね…。そして今回の事件自体は伊綱さんだけで解決できてしまっているので先生が出る必要なかったっちゃあなかったんですよね。
今回は初めて伊綱さんが先生に無慈悲されずに済んだ回でしたが、下敷きになった事件があまりにもクソ過ぎてそら殺意の苗床になるわいなと。過去作通じて「父と娘」というテーマが続いているのですが、何か意味はあったりするのだろうか。そういやパラノマサイトも「父と娘」なあたり、作者様の思想の根底にあたる部分なのかもしれないですね。

そういやアルマゲドン事件と同時期に発生した事件、今後触れられる感じがしそうなので楽しみですね。あみの存在といい今後は繋がる要素をご提示された感じなので、本作で継続リリースが決定したんだろうなぁと感じられてとてもめでてぇ。
観覧車で逆立ちして小学生と真剣対決して負けるいい大人、間違いなく関わりたくない類の奇人なんですが、その人だけが唯一この事件の真相というか根幹に触れているという。

今後どうなっていくんやろかいなという種をいくつか蒔かれているので、続きを追うのが更に楽しみになりました。警察呼ばれた時に警察組がここで来るんかなぁと思ったら来なかったのでちょっと寂しかったり。シャングリラがある地域は所轄外なんだろなぁ。

白鷺に紅の羽

未プレイなら読む前にやってくれ頼むいやお願いします公式ぶら下げるんでSwitchでもSteamでもできるんでお好みの箱でやってくれ頼む

前後編になって新規音源沢山増えてすごい予算下りた感あっておめでとう!おめでとう!!ってなった。リアルタイムで追っかけてたらめっっっちゃ嬉しかっただろうなと思ったがゲームの予算を考えるような子供は普通に嫌だ。
百白村は地域的には富山っぽいけど訛りは青森なんよね。その辺は要素ミックスして下手に実在感出さないためかしら。
今回は完全に読み物に振り切っていた感じ。推理要素あるっちゃあるけどサスペンス要素はおまけに近く、考察にほど近い。読み物としてのクオリティが群を抜いててすげぇ充実感に満ち満ちておりました。ガラケーの時代に世に送り出されたものがこうして再び掘り起こされるって素晴らしいですね…。

あのこれ1周読み終えてから、前編もっかいやって珠恵さんとの再会のシーンを噛み締めるのが本番ですね…。いや、会った時に「か…」って口に出してから言い直すので、ゲーム進めていくとどういうことかは分かるんですけど、改めてこの微妙な関係性と空気感を味わうにはもっかい最初から見返すしかないんすよ。そこに合わせるようにオープニングが挿入されるのほんと完全に狙った犯行すね…。
今回知床さんこと矢口さんは添えるだけで、彼女に語った内容をプレイヤーが伊綱さんの回想と共に追体験する内容なのかなぁと。

視点としては謎の記憶喪失女性の楓さんのものになるのですが、伊綱さんがめっちゃ銘家のお嬢様でびっくりした。今まで見てきた彼女とは雰囲気がまるで違うのですけど、多分こっちの伊綱さんが本当の彼女で、現在の伊綱さんは「強くなった」姿なのだろうなと。強がりという訳ではなく、彼女の芯はそのままに強くなった。ならざるを得なかったのだろうけど、それが彼女の意志で涼二くんの遺志でもあり、二人で夢を叶えようとしているのだろうか。

伊綱さんを取り巻く醜く歪んだ環境と、彼女が抱く淡い想いと夢。楓さんは一体何者なのか?という謎を抱えて物語は進んでいく訳ですが、とにかく伊綱さんが薄幸過ぎてですね…。
父親殺しの罪を着せられた途端、世界が全部裏返ってしまった。それまで好意的だった藤次郎が伊綱さんぶっ叩き、村全体の豹変っぷりにヒエッてなってしもた。個ではなく村という単位で動く村社会の恐ろしさよね。そんな彼女が縋ったのが楓さんだったのは、どこか惹かれるものがあったのでしょうが、楓さんが「外から来た人」だったからなのかもしれませんね。

もうどうしようもない状態になって現れる、来訪だけは仄めかされていた奇人。その探偵が現れたことによる何とかなりそう感たるや。まさかの涼二くんの職場だったのですが、探偵事務所だと人様の本心が読める人は便利ではあるけど快適ではないよなぁ…。
先生が涼二くん訪ねてこなかったら村社会パワーで伊綱さんが処されてたんだろうなと思うので、ほんと先生来てくれて良かった…。
そこからはお馴染み安楽椅子探偵の推理ショーとなる訳ですが、ロープ借りて躊躇いなく崖から飛び降りるフットワークの軽さたるや彼が奇人たる所以を垣間見た気がします。
しかしそこにある真実を涼二くんが理解していた節があることに、先生がクソ田舎まで訪れて呼び戻そうとした有能さを感じますよね…。

涼二くんも薄幸ではあるのですが、彼自身は自らに寄り添う死を受け入れて、自身の命──延いてはその死で何ができるかという部分まで考えていたのほんと人間やめてるんですよね…。悟り云々というよりも、突き詰めた思考の果てであり、多分物凄い整然と物事を考えられる人だと思うんですよ。だからこそ人間やめてると感じてしまい、あの奇人の助手を務められる。

稀代の薬師の研究が屍蝋を使った万能薬でもうこの村ダメだって感じなんですが、この村では何も問題がないんですよ…。個ではなく村なので…。近親交配も問題ないんですよ、個ではなく村なので…。もうこの村燃やすしかないって感じですがほんとに燃えちまうんですよね…。
皆様、覚えておいででしょうか。湖にいた一羽の鷺を。赤々と燃える山から飛び立つ一羽の鷺は、どこへも行けぬ身であった涼二くんであったのだろうか。

伊綱さんの夢を聞いて彼女を庇うために抱き締める涼二くん、格好良すぎるんですよ。お前決まり過ぎやせんかと思うと同時に、ああ彼は自らの命の使い道をここと定めたのだなと思わされてしまった。自らの死を最も真っ直ぐに見つめて、最も有効に使ってくれる存在が伊綱さんで、彼が命の答えに至った瞬間なのだろうなと。
悲しさとかよりも、ああなんて美しいのだろうという感動が何よりも胸を占めて、悲壮感がない不思議な感覚でした。伊綱さんが両手だけ火傷してたの、目の前の体に腕を回していたからだと思うんですよね…尊すぎか…。

そこにあった体温と感触、煤けて形を無くした指輪だけが彼女の手に残ったもので。
ここでお出しされる危難失踪と、婚姻届は勝手に出せるという内容の回収が本当に鮮やかすぎて。遺産相続という汚泥から生まれたものが、こんなにも美しい花を咲かせることになるとは思うまいよ。
ここで冒頭で珠恵さんとの話題に上がった1年間幸せに過ごせたかの問い結び付くの、私の膝の皿が割れてしまうんですよほんと…。治療費払って…。

多くは語られず、与えられた情報の断片から楓さんは何者であったのかを推察するというのが最も大きな推理要素という一風変わったミステリ。断片を繋ぎ合わせると、楓さんが村を訪れた理由、そして何故許嫁の婚姻が推し進められようとしていたのかが分かるという。
しかし兼正が死ななかったら、楓さんが無事に辿り着いても婚姻は強行されていたんだろうなぁと容易に想像できるので、龍希が殺したことで今の伊綱さんがあるというのもなかなか因果なものですね…。

非常によく練られたストーリーで、引き込ませる展開と圧巻の回収力に感服しました。明確に答えを提示されないことで、1周終えてもう一度冒頭の場面を読み、オープニングを眺めながら浸る余韻が本当に良い。とても素晴らしい体験をさせていただきましたありがとう…。

昏い匣の上

のっけから怖いんだが??????推理ADVじゃなくてホラーだったんだが?????リアルタイムでメールが届いてはっきりと脅威が近付いてくる感覚はゾワゾワしました。ホラーパートはサクッと終幕し、犯人の動向は何がしかの伏線だったりするのだろうかと思ったけどそういう訳ではない様子?事件の真相を探るために入居するという手法を示しているのかもしれないなぁとふと考える。

今作は生王ではなく弥勒院の視点で進んでいく少し毛色が違う内容。既存BGMの一部がリファインされてるように感じたのですがどうだろう。
生王が喫茶店で待ちぼうけ食らってる時に「飲む」コマンドがあって、お遊びかと思ったら弥勒院パートで「飲む」の選択肢出てくるのでここに対する抵抗をなくすためなのだろうなぁ。「姉の壁」という名称が出てきて確か後のシリーズのタイトルになってた気がするのでここから繋がっていくんだろうか。
赤いエレベータの調査をしに来た弥勒院の前で開く赤いエレベータと惨劇の幕。被害者がエレベータの天井の上で潰れており、そこで無事(無事ではない)タイトル回収となり、ああ…昏い匣の上…ってなりました。

ISEEOSは見た瞬間「アーいつものアレェ!!(アルファベット⇔数字ィ!!)」ってなりました。そのまま打ち込んでエラー吐かれてすごすごと帰ってしまう姿を見ながら、何というかこの思考もある種のゲーム脳なのかもしれないと思いました。
今回警察組が久々の登場でニッコリ。音成刑事のキャッチフレーズは初対面の人間にもかましていくのな。
到着に1時間かかる警察遅すぎやしないかと思いましたが、遅すぎるのは弥勒院の時間感覚だったという。

先生呼んでからは怒涛の3分クッキング。話聞いてハイ解決、の怒涛の安楽椅子探偵ぶり。個人的な一番の奇人ポイントは血塗れのエレベータに迷わず乗り込む先生です。クリアしてから思い返すと、エレベータ乗って上がり、階段使って降りたの、エレベータを「使わせたくなかった」からなのだろうか。上にあるままならエレベータは「使えない」ので…。
しかしてエレベータは1階へ移動され、赤いエレベータが再び完成する訳ですが、まあ別に止めるなら屋上に呼んじゃえばいい訳で。
先生がどこまで見通していたのかは知る由もないんですよね…。
ここまでプレイしてきてわりかし先生は「犯行を防ぐ」という部分には頓着していないように感じるので、この辺の先生の精神性が気になる木。

そして場所は再びマンションへ。弥勒院の前には「R」を示すエレベータ。あり得ない場所から降りてくるその匣が運んでくるのは果たして…?という、今回はわりかし恐怖を煽る感じの終わりという。
個人的に気になったのはエレベータって下部のあのちっこい窪みで閉められるのだろうかということでした。試す機会は訪れそうにない。

対交錯事件

今回は真っ当に死者の楽園の続編って感じでしたね。ザッピングシステムが導入されましたが、違う視点で異なる事象を追っているはずなのに交錯してやがて1つに交わる過程が面白かったです。
初っ端に矢口さんからお題を提示されるのですが、一発で分かった私えらいなと思いました。まあ機種に依存した謎解きは移植の際に苦労するという話を見たからなんですが。
突き当たりってとこではだいたい勝手に視点が相手側に移るので詰まることは少ないんじゃないかなぁ。一瞬だけ音成視点になってびっくりしました。

伊綱さんの尾行術採点、これ余計なことしてたら見失ってしまうやつやなワイには分かるんや!って即追いかけたら10点減点されましたぼくはかなしい。写真撮らなきゃいけない場面ってすけべしようや…の前後か?って思うじゃんそれが必要になるのは不貞調査だ馬鹿者めという声が聞こえますすみません。他はバッチリだったので許して。
ちゃんとやり直して100点貰いましたが用意されてた採点用の台詞がダメ出し前提なんよ。

額に刻まれる数字、序盤にとんでもなく分かりやすいヒントをお出しされててヒントの意味は分かるけど、そこからどうしてあの数字に繋がるのかは伊綱さんから説明されるまで全くわからなかったよ。設問自体はクリアしているが完全敗北しているという謎シチュが出来上がっていた。下書きに対応する数字やら文字やら打ち込んでひたすら首捻っていた。運勝ち探偵とは私のことだ。

生王パートでは顔も知らない謎の女性を追うことになるのですが、クリアしてみると田中さん邸を訪れたのが誰か分かるという。それはそれとして無関係な人類の家を住所にするのはヤメロォ
いや無関係ではないといったらないのですが、娘亡くしてしょんもりしてるご婦人のところへ立て続けに謎の人物がやって来ている状況なので申し訳なさが凄い。

今回も伊綱さんへの無慈悲はなく、死者の楽園同様に先生だけが黒幕へと至るという。ああさっき会ったのが浜田さんかー→私が浜田です→じゃあ生王が会ったのは一体…?ってなって矢口さんへと繋がっていく流れ、美しいすね…。そこで友人の正体を知った時、過去と現在、そして未来が交錯していくという。状況的には死者の楽園から微妙に進んだのかなって感じですが、今後がどうなっていくのか楽しみですねぇ。

音成刑事の捜査メモ

今回は完全なる番外編でゲームボリュームも非常にコンパクト。やらなくてもいいけどやるとニヤッとできるって感じの塩梅。タイトル音成刑事ってなってるけど刑事じゃないという。

チワワとの視点変更はもうのっけから草なんよ。時系列としては仮面幻想殺人事件の3ヶ月前、その時点で音成は交番勤務していたという。刑事としてはマジでド新人だったんだなぁ、彼。
細かい内容なんですがエレベータに乗った際、黒地に明色のテキストを下から順番に表示することでエレベータが上がっていく様子を視覚的に表現する手法、見せ方がすげぇ巧いなと思いました。

チワワ視点は正直なくてもストーリー進行に差し支えないんですが、導入したのはザッピングシステムを浸透させたかったのと、単純にファンサとして巡査姿の音成のグラを出してあげたかったってとこかしら。当時の状況を存じ上げていないのですが、こうしてメインキャラとしての番外編が制作されてるあたり音成人気は高かったのではと窺える。

個人的には捜査メモを参照することがなく、ストーリーの内容的に「音成巡査の災難」って感じでした。いや…飼ってもいない犬のために一人で遊びもしない遊園地の入園料払って、レストランのクソ高い皿の弁償させられるの、普通に災難でしょ…。
音成が人との接し方を測りかねている姿に、彼なりに考えた結果あのキャッチフレーズが生まれたのだなぁと容易に想像できるのが面白い。

今回は癸生川先生は一切登場せず、まさかまさかの音成推理ショーという。彼氏くんはドクズだったのですが、正当防衛として殺したもののそれを他人になすり付ける行いは流石に何も擁護できないんだよなぁ。
シャングリラのアトラクションでおててズタズタになったという話がノーツッコミだったの冷静に考えておかしい話なんですが、ん??と思いつつも「まああの遊園地だしな…」と考えてしまったあたり私はシャングリラを一体何だと思っているのだろう。

生活費を吹き飛ばし、無事に飼い主へチャッピーを送り届けた音成巡査は異例のワープ進化で刑事へとジョブチェンジした訳ですが、果たしてこれは幸運なのか受難の続きであるのか。それが分かるのはこれからの話。

仮面幻影殺人事件

まずグラがいつもと違っててびっくらこいた。音楽も石山さん以外の方が関わっているからか、今までと毛色が違うものが多かったのも印象的でした。最後の評価はBでしたよと。

まあまず…ゲンマ、MMO出すのやめよ??出すたび人死に出るともうそういう層に目をつけられてしまうので正式リリースになってももう風評拭えないよ…。
DS作品を携帯アプリに落とし込んでいるからか3分割での収録となったのですが、後編開始したら回収した覚えのないメモが怒涛の如く更新されててびびった。わりかし選択肢は全部潰していくタイプの人類なのですが、結構回収漏れしていてなかなか悔しい…。
メモで他作品のことがまあ当然のようにぽこじゃか飛び出してくるので待て私はそれを知らないッ!!ってなってしまった。いろんな作品で既に何度も触れられている永劫会事件…別格って感じでこいつぁやべぇ香りがプンプンするぜ…。

導入編=イントロダクションかと思ってイントロ終えた後に前編開いていきなり2章から始まるし全く身に覚えがない情報が飛び交ってるしで??????ってなりました。暫くしてちゃんと気づきましたえらいね。
本作は1作目の仮面幻想殺人事件をより濃密に発展させたものになるのかなぁと思いました。
仮面幻想殺人事件において、MMOはわりかしフレーバー的な使われ方をしていたのですが、今回はMMOを通じてペルソナについて考えるものになっており、より題材が活かされテーマに則したものになっているなぁと感じました。

癸生川戦隊内容が重いンジャー!
初のコンシューマーでエンタメフル無視して少年犯罪に振り切ると思わんやん…。あの、初めてのコンシューマーなんですよ??
通り魔事件と飛び降り事件、そして過去の放火事件が交差しそして重なりゆく過程の描き方は流石だなぁと思いました。丁寧であるんですが冗長さはなく、情報の出し方が上手いんですよね…。続きが読みたくなる巧い作りだァ…。
MMOで出会った彼らの仮面を剥いでもそこにあるものは素顔ではなくまた別の仮面で、我々は彼らに限らず各々が作り上げたペルソナを見ている。ネットの仮面が殊更厚いだけであって、生きる者全て多かれ少なかれ仮面を被ってるんですよね。
幾つもの仮面を使い分ける者。他人の仮面を被る者。自らの顔を思い出せなくなっても被り続けなくてはならない、それこそが自分を守る仮面だから。その結果、気づかずのうちに大切だったものを各々が見失ってしまうのが何とも皮肉というか救われないというか…。

今回は1作目同様伊綱さんが無慈悲されてしまうのですが、これシリーズやってきた人とそうでない人とで見え方かなり違うだろうなぁ。
ぶっちゃけ私は本シリーズを推理物の皮を被った人間ドラマだと思っているので、癸生川先生というケレン味に溢れた盤外戦術ドロップキックも「オッ真相編かぁ」と思えるのですが、お行儀の良いミステリを求めてた人は発狂するやつだろなぁと。
アプリは1作目の時点でふるいにかけられるのですが、コンシューマーの第一作となるとそうもいかないところ。語り部である生王が主人公(=真相を暴く者)と思われやすく、シリーズの胆たる癸生川先生を受け入れられるかどうかで評価がだいぶ変わるだろうなという印象。

有馬の死体が炭化している時点でアーハイ別人なやつですねアーハイと思ってしまうのは何というかエンタメに触れてきた者の性だと思うんですが、そこを先入観で物事を決め付けてはいけませんねぇと懇切丁寧に殴られて誠にすみませんでしたという気持ち。
将来が見た仮面の男は晶で、だから「女かと思った」という印象があったのかなと思ったのですが、どうして男だと判じたのか作中で説明ありましたっけ。まあ職質かけられてたしどこかしらで鶴見家の話を知ったのかのかもしれんですが。

個人的にとても面白かったのが、駆け出しの伊綱さんが学生に完全にナメられて逃げ帰ってしまい、スーツを纏い髪を切って染めることで自身を変えたという話です。
これ伊綱さんが探偵というペルソナを作った瞬間なんすよね…。白鷺に紅の羽の頃の彼女を見た時に今と全然違うなぁと思ったのですが、そら違うんですよ。今まで見てきたのは「探偵」の伊綱さんであるので。
伊綱さんがいつもスーツ着てて、暑かろうが平気そうにしてるってことは度々触れられてきたのですが、こういう回収してきましたかと思うと同時に、仮面やペルソナを題材とした本作にて伊綱さんもまた仮面を被っているのだということをお出しされるのが実に味わい深い。

やがて明かされる真犯人。
少年法という幕に遮られた殺人劇で、中にいるのは誰だ?と暴く行為は司法に対する冒涜なんですよね。
手を引けと尾場警部からいきなり通告され、プレイヤー側としてはそんなぁとなるのですが、クリアしてから感じるのは子供の前途を守らんとする大人の意思なのかなぁと。そもそもを知られなければ広がりようもないので。晶の訴えにより冤罪の可能性を示唆されるのですが、その時点で晶は怪しい要素を幾つも落としていたので冤罪ではないのではと思いつつも、尾場警部は間違ってなかったことをお出しされた時には流石に安堵しましたね…。

恐ろしく冷めた視点で犯行へ及び、捕まった後も反省とは無縁であった晶。果たして彼女は少年法で守られるべき存在であるのか?と暗に問われるようでもあるのですが、彼女がやったことって内容や規模、そして少年法の是非はさておき完全に自傷なんですよね…。自らを確かめるために自分を切ったものの、感覚が鈍麻していて痛みが分からない。行いも方法も間違っている。ただ、彼女が思いついたのはそのやり方だった。全くの別物ではあるのですが、彼女の在り方にパラノマサイトの灯野あやめを思い出しました。

いつか、もし。彼女の話を聞いてくれる人がいて。彼女が自らの心というものの形を定めて組み上げることができ、ようやく痛みというものを知ることができたのであれば。自分というものを確かめるために行った自身の行いに彼女は何を思うのだろう。
外の世界に再び出られたとして、彼女は変わらず自分を確かめようとしてしまうのだろうか。
作中ではそう遠くなく外に出られるような話ぶりでしたが、流石にやったこと考えると無期刑になるレベルだと思うのですが…。

誰も何も救われねぇただただ苦い結末。
個人的には癸生川先生がそあ子の正体を隠そうとしていたのが少し意外でした。私情を出すのは珍しいなと。先生はわりと行動心理から切り込んでいくタイプの人ではあるが、やる奴はやる!やらない奴はやらない!の持論など「それはそれとして」とやった行いは切り分けるように思ったので。理解が足りてないと思ったが、理解できる人類でもないような気もする。(主に奇行と推理ショーしか見てない顔)

イントロで生王が本件のアプリ化に向けて動き出していたのですが、晶が初犯の際に2年半で出てきていたことを考えるとアプリ化に踏み切ったのは晶が出てくるよりも前にリリースしたかったということなのかな。何を思って生王がそうしたのかは触れられないあたりに、触れるのは野暮と知りつつもオアーッ!!!ってなりますね…。
最後まで一気に読み進めてしまいました。面白かったです。

五月雨は鈍色の調べ

まさかまさかの涼二くん登場でびっくりしたよね。まあ要素てんこ盛りの彼をあれだけで終わらせるのは勿体無いので…。8年前の癸生川先生がたいへん小汚く、百白村を訪ねた際は現在の姿であったので、涼二くんの帰郷が一つのターニングポイントであったのだろうか。孤高の人である先生が涼二くんには熱烈なラブコールを送っており、折目正しい涼二くんが先生には気安く、この二人の間にある信頼を感じられてよき。馴れ初めが知りてぇ…出ませんかね出しましょうよ。

このシリーズ、ずっと親子って関係性が大なり小なり描かれてるんですけど、今作はその集大成だなぁと勝手に感じています。
結婚資金を持ち逃げしたと思われる父親を探して欲しいという依頼から物語は始まっていく訳ですが、父親はとんでもねぇロクデナシでひたすら耐え続けている母親が不憫!からお出しされる真実よね…。
信じるとは何ぞやというテーマの一つの形をお出しされた感じですね…。正解などない人生の選択肢において、螻川内さんはこの選択をしたのだというだけの話。そして奇しくも親と子が同じ選択をしたというだけの話。
だからこそ探偵は確かな情報だけを一つ渡し、その選択には口を挟まなかったのだろう。でも泉くんはもう同じ道を歩まず平穏に暮らしてほしいなぁ…。
恐らく、なのですが。泉くんがわざわざ探偵事務所までやって来たの、お父さんに会うためなのではないかなぁと思うのですよね…。でもそれを認める訳にはいかないから理由を話せないという。

今作は演出面にめっちゃ力入れてきたなぁと。UIが刷新され、新たに導入されたエフェクトと雨音が、雨の街の湿度を伴った空気感を匂いがしそうなほどに醸し出していて非常に心地良い。視点移動も流れるように行われて、意識を阻害しないようにという配慮がなされているように感じました。
話としては推理要素はほぼない読み物特化。なんと最後にエンド分岐が付いてくる。物語が一区切り付いた段階でセーブを求められ、ペロッこれは分岐の気配!とワクワクしました。やってくれんじゃねぇか…。
内容としては言ってしまえばグッドエンドとバッドエンドみたいな感じですが、Aエンド見てからBエンド回収したので唐突なギャグ展開にオイィ!!ってなったんですが、もしかして螻川内さんはもうこの世の人ではないのでは…?と後からふと思いゾクッとしました。
白鷺に紅の羽が母親の話であるならば、本作は父親の話と対になっているように思いましたが狙ってのことなのかしら。

白鷺洲姓について問われた時、躊躇うことなく「妻です」と答える伊綱さんの覚悟の決まりっぷりがね…いいですよね…。
「何となく話しちゃう」で人様から色々とお話を聞いている涼二くん、わりと人たらしな気配を感じるのですが、多分それは彼の前では心を見抜かれてしまうので偽らなくていいという心地よさからくるものなのかもしれない。キャラとしてはまるで違うのですが、心を曝け出せる心地よさに人を惹くという部分はルクス・ペインのアツキを彷彿とさせる。
(ルクス・ペイン公式を貼ろうとしてFlashサポート終了で公式HPが見れんくなっていた顔)

過去の事件を背後から操ってきた黒幕たる人物のパーソナリティがようやく明らかになり、仮面幻影殺人事件で事務所に道を尋ねてきた人物の要素も回収されてアアッ!!ってなりました。地味に気になってたんですよ、道聞きにきた人…。
あとこれ書きながら思ったんですが、仮面幻影殺人事件のギャル文字ゆきいるか、彼女ではないですか…?江本といたという女性、彼女ではないですか…?
涼二くんに並々ならぬ執着を燃やしておられるのですが、涼二くんとの出会いは偶然であったのか故意であったのか…。ただその執着の矛先が伊綱さんに向いたことで、伊綱さん大好きっ子になってしまったのだなぁ。
今のところ黒幕に徹し続けている彼女ですが、今後状況の発展はあるのだろうか。

螻川内さんの問いかけ、そして涼二くんの答え。結婚しろお前らと思ったけど結婚してるんすよ…。既に1年間の期限付きの婚姻関係を…経ているんですよ…。涼二くんがどう思っているのかという部分は出されると思ってなかったので驚きました。互いに好意を抱いていたとしても、あのままでは結ばれる未来はなかったのが…悲しいね…。
見上げた空は鈍色で、ただしとしとと泣き続けている。そんな湿度を帯びたお話でした…。

永劫会事件

4つの視点から進んでいく物語が重厚感を醸しておりました。死者の楽園で触れられたのカルト教団は豫言組織なのかな。でも音成は会員証見て分かるくらいに永劫会知ってるんすね。まあこれ永劫会というより豫言組織事件なんですが…。

未完シナリオはひび割れるぞーいって説明出てきてパラノマサイトのテレビやーん!!ってなってしまった。
順番にいけるとこまで…と工藤編進めてて、バス爆破でお亡くなりになって早速たまげた。チケット無かったら死ななかったのにあーあって出てきて「街ィィィ!!!」ってなりました。七曜会シナリオ選んだら即終わるやつ…。

おーやどこでシナリオが交差するのかしらと石川編始めたら癸生川先生廃業してて涼二くん…ってなってしまった。ああだから五月雨は鈍色の調べ出してきたのね…。机の上にあった住所のメモ、癸生川先生が「ん??」って反応示してて、もしや先生が書いたものではない…?と考えてしまったのがやらかしポイント。

解放されるシナリオが犯人視点と思わず更にびっくり。指示に従ったら大量殺人が起きてしまい、罪の意識に苦悩する姿が描かれます。ここで重要になるのが電話相手ですよね。石川編でどうにも電話をした雰囲気がないのでなーんか引っかかる。

そうして解放される???編。流石に郵便受からチケット持ち去りはアグレッシブすぎるんですよ…。鍵閉め忘れる警察も杜撰ではあるのですが。まあこれは探偵の真似事をしているだけの段階であるという意味なのかもしれませんが。ここで矢当との繋がりをお出しされて、警察に交渉するネタをどこで仕入れたのか分かるの細かいですね。

そして無事にバスに乗れなかった工藤が生還する訳ですが、推理パートの女性相手に逃げ出すか?という考えで、普通斬られたら逃げるけど「なぜ逃げたのか?」を考えにゃならんのかぁと馬鹿正直に捉えてしまったのがやらかしポイントその2。個人的には購入者名簿を出してる時に襲われたことが引っかかったのですが、答えをお出しされてから考えると名簿出せるくらいに気を許せるほど関係を重ねたからこそ驚いて逃げたってことなのかなと。しかしこの関係性は解決編までにお出しされてただろうか…?

ここで尾場警部の娘さんが出てくる訳ですが、尾場警部は娘さんが会員証を持っていることを知り、会員証が永劫会のものと知る訳です。そして解決編を通じて、永劫会が何であるかを知っていることを工藤との会話で語られるんすよね。
これ、あまりにも辛くないか??????大事な娘さんがそんな目に遭ってしまったことが一番なんですが、娘さんがそれを隠していたことは(そうする心理は理解できるとしても)辛いと思うんですよね。母親がいたなら打ち明けて心の重荷を少しでも軽くできたかもしれないとか、考えたと思うんですよ。あまりにも…親子共々あまりにも辛い…。
そして目をかけていた部下が同じ行いをしていて、揉み消していたことがお出しされる訳で…。待つと言い切った尾場警部の覚悟たるや、相当なものだったろうなと。仮面幻影殺人事件で娘さんの話が出た時、ちょっと微妙な空気だった記憶があったんですが、こんなにも重い内容だとは思っていなかったよ…。
娘さんが留学しに行くにあたって、多分親子で腹割って話したのではないかと思うので、それだけが救い…なのかもしれない…。

石川編行くとメモに対する誘導が凄い。澄佳編見て指示書の内容を噛み砕いてメモに書いた…?と考えたが、処分を漏らしたのは指示書との独白がある。おや?となるうえ、石川がいらんこと言うなよ自首しろよな!って念押ししてくるのであまりにも臭すぎて逆に違うのではと考え始める始末だった。
多分指示書とはこのメモで、澄佳の字は綺麗と強調されてたので筆跡から目を逸らしたかったんだろうなぁと見返して思う。

そして澄佳編進めたら死亡!了!でエェェェェ!?ってなってしまった。登場人物は死なないなんてことはないのですがスピード死亡だぁ…。
自首に対応する工藤が、同じような内容続いてたからか聴取がたいへん雑でお前…ってなってしもた。がんばれ国家権力…!澄佳の名前聞いて驚く理由が、???編見ると分かってくるという。一緒に抱えて運んだ人だったのかなと思ったら皆でがっつりお楽しみだったという完全に救えねぇ展開だった…。

???編はこの人だろなと思いつつ確信したのは「私が気付いたことは警察ではとっくに捜査してる」の思考でした。この思考、間違いなく伊綱さん…!そうなると石川が会ったのは男なので、伊綱さんが道案内した人は誰なのか?という疑問に繋がり、澄佳の電話相手は石川ではないのでは?と至るのが面白い。そして事務所を訪れた伊綱さんが、事件解決の──癸生川先生の福音となっていく。
そうして始まるデビュー戦の密度がとんでもなく濃い…。ほんとに仕事が沢山ある…。

そして至る解決編の設問…。
門沢殺しの犯人の時点で困ったよね…。圭子をぽっと出のクソガバ推論で犯人にできるか…?という。門沢関係ねぇと言ったことは怪しい要素なんですが、ファイルに見覚えがあることの方が万倍怪しいんすよ…。何故ファイルを知っている?の方にしか意識が向かず、犯人と断定できる要素が足りなくて困った。
石川は澄佳を犯人にしたいだけで死んで欲しくなかったはずなので、澄佳を殺したのは工藤が過去の行いを隠蔽したかったからなんだろうなぁとは思ったが、全部の設問正解しないと通らないので、石川が変なこと喋って欲しくなかった?とも思うように。
一条院が誰であるかが本当に困った。要素自体を持ってる人は複数いるので…。
絶対自力で解くからなと何度か試して通れたのですが、住所メモを癸生川先生かなり擦りまくってたんだなぁと見返して思う。

解放されるまさかの沖村シナリオ。ここでようやくこの人生王かぁ!ってなりました。名義に隠された謎、ローマ字読みに至らず「画数も文字も違うしうーん文字数?」と答えたらとんでもない暴言を受けて心がひび割れた…。短絡思考へのお仕置きかもしれませんが流石にドン引いたので、もう少し早く人に寄り添う心を持っていただけると嬉しかった…。
伊綱さんのグラが出るのですが、戦闘服得るまでは涼二くんスタイルだったんだなぁと。

澄佳が付けた電球に入ってたのは水という事実が後出しされて、流石にうーーんご都合!!!!彼女自身、悪いことをしているという意識のうえで行ったことであるので。半端な救いは無粋というのは私の考えなので一概には言えませんが。
そしてED見てもおまけが出ない。CLEAREDになってない話があるからかなと伊綱さん5話をこねくり回してたんですが、決心つかないままうんうんして、暫くしてから気付きました訃報のチャプター…。1年が…経ってしまったのだなぁと…。涼二くんの存在は完全に失われてしまったけれど、彼から貰った命と名前と志を胸に立ち上がる姿は晴々としていて。この話最後に見れてよかったなぁと素直に思いました。

シリーズとしては一つの区切りとなる、集大成ともいえる壮大なシナリオ。内容もとんでもなく重いものでした…。そして幾つもの事件が重なり合う展開の描き方はやっぱお見事ですね…。一気に読み進めてしまう魅力があり、とても面白かったです。

あねの壁

本作からシーズン2に突入。過去作とわりとはっきり文体が違っててシナリオライターさん変わったんだなぁと実感する。
その分演出面に力入れてきて、伝奇風のイラストや座ってる立ち絵出てきた時は驚いた。
今回は読み物極振りタイプのお話でしたね。推理要素はほぼゼロというか、推理をすることを想定していないという印象を受ける。ミステリ謳ってて推理しないって何やねんって言われると窮するのですが。

昏い匣の上以来の弥勒院視点でしたが、伝承はフレーバー要素って感じでしたね。伝承の内容が書き換えられたのは保険金殺人がきっかけなのかしら。
しかし父が…とんでもなくどクズ過ぎて…。あまりにも邪悪…。しかし指紋残すようなノータリンな行いをしていない限り、死体を偽装したことの立証は難しいと思うが自供してくれるのだろうか。保身の塊の人類やぞ…?
そして今回はまさかの看取り人が登場した訳ですが、頸動脈切るのに立ち会っていたのなら血飛沫は…どうされたのでしょう…。まあ蔵で着替えたらしまいっちゃあしまいなんですが。

要素自体は多く出てきたものの、あまり回収されずに終わってしまったのが勿体無いところ。
過去作は伏線の回収や別々の要素が重なり合う様を楽しむものであるならば、本作は空気感を楽しむものなのかしら。
初期作もスタイルを確立するまでに少し時間がかかっていたように思うので、今後どんな方向性になるのかが楽しみでもありますね。

泣かない依頼人

個人的に…個人的に嘆願するとしたら…「呼ぶ」機能での対象切り替え、もう少し控えてくれると非常に非常に嬉しい…!
何か話す→対象切り替えて一瞬話す→また対象切り替えて話す、のやり取りが非常に多くて煩わしさが生まれてしまって意識を阻害されるんですよ…。もったいねぇ…。

結局何で中央小は殴ってからそのままで幼稚園のうさぎだけ脚切ろうとしたのかがよく分からんかった…。発見されたのは確か翌朝だった訳なので…。
地図指し示すフェーズはぶっちゃけ何で家から遠い幼稚園行ったの?うさぎ参りするなら南小と幼稚園行く方が近くない??でした。

今回も…何というか別ベクトルのクズというか…。嗜好に関しては好きにしてくれやって感じなんですが、本シーズン自分本位系どクズが多くてクズの博覧会と化している…そういう方向性なのだろうか。
本作は「少年少女の未発達な精神」がテーマなのだろうかと思いました。
行為に伴う結果を考えずお守りを手に入れようとした小学生、ちょっと痛い目見ればいいなと犯罪を唆した中学生。被害者を含めあまり良いとはいえない環境ではありますが、それ自体は行いとは別なんですよね。深く考えずに行った行為が思いの外大きな事態となった訳ですが、こういった分別をつけられるようになるために必要なのはやはりコミュニケーションなのだろうか。
今回は池田先生と尾場警部が痛みを教え込む役割を担ったのですが、分別つけられないどクズの大人をお出しされてるので何も言えねぇ…。
個人的には音成刑事のあなたの隣(身近)にいますよ!って感じの名乗りが好きだったのでなくなっちゃったのが寂しいところ。

最後に些細ですが意外な事実をお出ししてくる展開が、シリーズ初期を思い出させて微笑ましくありました。私は気付かんかった。

黄昏は瑠璃の追憶

本作からシーズン3に突入。
綺麗な顔の男をこよなく愛する身分ですので黒金がたいへん刺さりました。新シーズンで既存キャラも入れ替えな感じなのかしら。尾場警部と音成刑事のコンビは好きなのでそれはそれで寂しくもあり。
6話構成でビビりましたが1話あたりのボリュームは控えめ。次回予告のムービーが挿入されるようになったのですが、当時は出来る限り分割してリリース期間を取っていたのかなと。

読んでいるとライターさんがキャラを掴みあぐねている感じが伝わって微笑ましい。癸生川せんせはほんと出さなきゃいけないけどこの上なく動かしづらいキャラだろうなーとキャラ造形に苦戦されている様子を見てニヤニヤするという趣味の悪い楽しみ方をしている。

今作はミステリというより読み物というか何というかな感じ。何というか犯人というか事件の顛末というかがほんと…おっ、おおう…って感じだ…。ぽっと出のように思える内容が最後にぽんぽこ出てきて、犯人はこんなやべぇ疾患抱えてその経歴は無理ではという。疾患を抱えるに至ったバックボーンも語られないのでぽっと出キチガイになってるのが勿体無い…。

並行世界や選択の結果というよりは、己の過去や傷とどのように向き合い、折り合いを付けて付き合っていくかというお話のように思われました。
個人的には辛い過去の(大切な人を喪った)記憶を生王がなるべく思い出さないようにしているのに対して、終わらせないため忘れないようにしている伊綱さんの対比が、精神性や過去との向き合い方は人それぞれという部分が感じられてとてもよきでした。

螺旋の棺殺人事件

綺麗な顔の男が好きと言いましたがあまりにもシナリオの黒金推しが凄くてびびってしまった。メインキャラを張るにはメアリースー感がすごくて、こんなに出張らんでもよくないか…??と思ったんですが「正義」に強いこだわりを持つ彼が、こういくつかお話を跨いでプレイヤーとの間に情緒を育んだ後にとんでもない狂言回しになって爆散したり、「正義」という曖昧な定義が孕む矛盾や欺瞞に心底絶望してくれたらめちゃくちゃ私に刺さると思います。おいここはお前の趣味嗜好をひけらかす場ではない。

尾場警部と音成刑事が続投してくれてうれしや。このコンビは地元で結ばれてる関係性ならではの気安さがあって鞠浜を感じる二人だと思っています。

今回はだいぶミステリしてましたがトリックがだいぶ現実離れしていてもうちょっと…もうちょっと何とかならんかったんか…!!!架空の医院でっち上げもなかなかきついですが特定の周波数で割れるという条件はあまりにも無理がある…!!!!
動機面や結末としてはすんげぇ乾燥してて個人的に好きではあるのですけどね。たまたま条件が揃ってしまった、それが些細でありながら強力な後押しとなって、まっすぐ歩み続けていた道を踏み外してしまった。そして勢いを増して転がり続けた石はぶつかり割れてしまったって感じで。

後は久々に理解度チェックと推理評価がありましたね。朱らしき人物の暗躍も続いているのですが回収される予定は有るのだろうか。
ドラマを作りたいという気概が伝わってくる感じの内容でしたが、事件同士の繋がりはそう強くなく黒金編の意義が結構薄い感じだったので連続殺人事件一本に絞っても良さそうな感じはしました。

アイドルを目指していた彼女、三作目で出てきたあの人とデザインが似てるように感じたのですがこれは狙ってのことなんですかね?
刑事の肩書を出していない段階で刑事と呼んだこと、ギャル文字を想起させる小文字乱用文も相まってこれは…あの人じゃろな?と思ってしもうた。

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