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豊岡演劇祭2023 コラボ商品「うずまくブレンド」:TAJIMA COFFEEインタビュー

 1969年に創業されたTAJIMA COFFEE。豊岡演劇祭2023では、TAJIMA COFFEEで製造された豊岡演劇祭オリジナルドリップバッグの販売と豊岡演劇祭オリジナルドリップコーヒーの販売を行います。豊岡演劇祭オリジナルコーヒーは市民参加による3回の投票で決定しました。どのような味が選ばれたのでしょうか。「うずまくブレンド」の誕生背景や魅力についてTAJIMA COFFEEロースターである北村慎さんにお聞きしました。

北村慎さん

— TAJIMA COFFEEの活動について教えてください。

 但馬東洋珈琲(TAJIMA COFFEE)は、但馬地域で約100軒ほどのお取引様があり、少ない容量でも卸売ができる、小回りの効く卸業者です。約50年ほど営業をしています。一番遠いところで言うと、京都府の宮津市や鳥取市内まで珈琲を配達しています。2020年に小売りブランドTAJIMA COFFEEとして展開しました。今は通販など事業を展開しています。

— 豊岡演劇祭とコラボする経緯を教えてください。

売り込みに行きました(笑)。弊社は50年間地域の文化と共に歩んできました。豊岡演劇祭さんの活動はこれから私たちの地域がさらに魅力的になるための文化を創られると感じています。また関係者の方々とも少なからずご縁があったこともあり、是非何か一緒にできませんか、ということで売り込みにいきました。

— どのようなコンセプトが込められていますか。

 豊岡演劇祭の"うずまく まくあけ"というテーマから表情豊かなブレンドにしたいという思いがありました。試作にあたりそれぞれ明確に個性の異なる3種のブレンドを提案させていただきました。コーヒーの味や香りは温度で変化しますので、飲み始めの印象から少し冷めてきた際に確かに変化を感じられるブレンドを意識しました。試飲会を行い、参加者には豊岡演劇祭のテーマである”うずまく まくあけ”を表現していると感じる珈琲に投票をお願いしました。その中で偶然にも、TAJIMA COFFEEのブレンドをベースにした珈琲が独特で個性があるという意見を得て「うずまくブレンド」が完成しました。選ばれた珈琲は弊社の長年人気のあるブレンドの割合が高いこともあり、嬉しかったですね。

試飲会の様子

— こちらの商品にはどのような特徴がありますか。

 こちらの商品は「弊社のレギュラーブレンドをベースに」とグァテマラ産の珈琲豆をブレンドしています。グァテマラ産のコーヒー豆の特徴は、若い方にも人気な華やかなで甘みのあるフレーバーがあるコーヒー豆です。弊社のブレンドコーヒーは中深から深煎りの種類がメインなので少し苦いと感じられる方が多いかもしれませんが、こちらのブレンドは比較的さ爽やかな酸味や甘みを感じていただけると思います。特に、飲んだ最初の一口からカップが冷めてきて穏やかになってきたタイミングで味が変化します。TAJIMACOFFEEのレギュラーブレンドは創業当初「濃すぎる」と言われなかなか受入れていただくまでに時間がかかったと先代から聞いています。コクや深みを出すため一般的な珈琲よりもやや深めに焙煎していた事も要因だったのではないかと思います。しかしその分お客様には鮮明に覚えていただき、徐々に定着していったそうです。したがって弊社の珈琲の基本は濃いので、お砂糖やミルクをたっぷり入れて飲んでいただく飲み方もお勧めです。
 また、敢えて苦い豆を入れているのも特徴です。一般的には使われなくなってきているロブスタという種類の「ジャバロブ」という豆を使っています。珈琲の味は出るのですが、フルーティーさや甘さがなく、どちらかというと麦など穀物感のあるフレーバーです。そのため、甘さや果実みを出したい場合にロブスタを入れてしまうと霞んでしまいます。缶コーヒーやコンビニの珈琲が苦く感じるのはロブスタがたくさん使われているためです。今はフルーティーなフレーバーが人気ですし、焙煎を始めた当初は自分もロブスタの使用をやめようと思ったこともありましたが、お客様はむしろそれを良いとしてくれていました。最近はよく写真を撮ってクリアに映りますが、ぼかしたりアンティークっぽく加工をしますよね。それらのように、ロブスタにはそういった効果があると思っています。全てが鮮明でクリアであればクオリティとして高いのかというとそれだけでは面白くありません。敢えてノイズをかけているのが今の時代にはむしろ面白いと思っています。弊社はこれまで地方の焙煎珈琲屋としてガラパゴス化しているので、ひたすらそれを追い続けていたら孤立していましたね。それがむしろオンリーワンになりました。

— お家で、美味しく飲むコツはありますか。

 基本的に珈琲は95度ぐらい、湯温高めの方がコクと苦味がしっかり出てくれるので美味しいかと思います。そこから温度が下がっていくと、グァテマラ特有の華やかさとか甘みが出てきますね。ケトルの大きさによりますが沸騰してしている状態にコップ一杯の冷水を入れていただけると抽出に丁度いい温度と昔から言われています。是非試してみてください。
 今回オンライン販売はしておらず、豊岡でしか購入することができないオリジナルドリップバッグです。また、珈琲を淹れる際は、演劇祭のことは勿論なのですが、行くまで遠かったなあ、コウノトリ居たなあ、など豊岡でのことを思い出しながらじっくりと珈琲を入れてみてください。また、これが豊岡の珈琲の味なのだなあと思いながら、是非楽しんでいただけると嬉しいですね。

— 最後に、北村さんにとって1番のお気に入りポイントを教えてください。

 それは勿論、たくさんの人が関わって下さった珈琲、という点です。一つの味を作るのに、豊岡市内の人の相当な数の人が関わって一つのブレンドを作ることができました。またどこでも飲めるドリップバックという形で商品化してくださり、本当に感慨深いです。

 地元に愛されている味がベースになった「うずまくブレンド」。珈琲はそのものだけが重要なのではなく、どこで飲むのか、誰と飲むのか、という空間が大切な嗜好品です。豊岡の喫茶店でも、TAJIMA COFFEEのブレンドを味わうことができますので、是非空間を楽しみながら素敵な時間をお過ごしください。また、この珈琲は豊岡でしか買えない特別な珈琲です。プレゼントを受け取った方にも、豊岡演劇祭の渦が広がり、素敵な嗜好の時間が届くことでしょう。
 ”縁”の渦が広がっていく素敵な「うずまくブレンド」を是非ご賞味ください。

取材・文:市田鈴音
2002年生まれ。芸術文化観光専門職大学3回生。豊岡演劇祭2023では、実習生として広報部に携わる。


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