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theater apartment complex libido:『libido:AESOP0.9』

ご観劇いただいた方々、気にかけてくれた方々、豊岡演劇祭の関係者の皆様。日高神鍋観光協会、アップかんなべ、やまね屋のおばちゃん、野菜くれた隣のおじちゃん、轢いちゃった鹿さんにはごめんなさいだけど、本当に色々な方々に感謝の豊岡演劇祭でした。
(第0回があったとは言え)1回目の演劇祭で、その上にコロナの影響があって、大変なことばかりだったと思いますが、参加した身として、急速に変わり続ける状況の中で迅速で徹底した対応と、何より、今一番大切な、人と人の繋がりを感じることのできた演劇祭で、心から気持ちが良かったです。

ありがとうございました。

僕らの豊岡演劇祭はお先に終わってしまったのですが、この場をお借りしてちょこっとだけ僕らの作品の解説とそこに至ったキッカケの話をしておこうかなと思います。一部、パンフレットや様々な公開文章と被っているところもあるかと思いますがご容赦いただければと思います。

今回上演した「libido:AESOP」はシリーズ作品としてコロナ禍3回目の上演でした。

コロナ禍におくる新たな「つくりばなし」として、また、今だからこそ上演すべき作品をと、これまで毎回作品を作り替えつつ上演を続けてきました。過去作を踏襲している部分もありましたが、今回も完全な新作でした。
この短期間で毎回新作を創るのはなかなかにしんどいものもありますが、今の世の中は常に状況が変わり続けていて、何も答えの分からない混沌とした状況の中、一つの答えを提示し続けることはできないのではないかなと思い毎回新作の創作を続けています。

「libido:AESOP」はイソップ寓話を原案に「教訓のついた寓話はなぜ生き残ったか」「そもそもイソップとは何者なのか」、そしてなにより「この苦しい現在を生きることはどういうことなのか」ということについて、メンバーで話しながら、掘り下げながら、頭を抱えながら、書いた言葉、話した言葉、書かれた言葉、いろいろな言葉を編み上げて立ち上げました。

ご覧になった方々は気づいた方も多かったと思いますが、
イソップ寓話の「ウサギとカメ」(競争)「アリとキリギリス」(労働)「田舎のネズミと街のネズミ」(格差)の3本を我々なりにアレンジして軸とし、その間に様々な「声」を挟んでみました。イソップ寓話の別々の物語が誰かの「言葉」によって一つの「つくりばなし」になるように構成してみました。

また、今回は軽トラックを使用した野外公演でもありました。「libido:AESOP」はこれまでも(一部劇場を使用した回もありましたが)基本は野外劇で創作をしてきました。それは、このコロナ禍における演劇を考えていく中で、我々が選択した一つの答えだったかもしれません。

車を使おうと思ったのは、我々自体が今も「移動」を続けているということと、良くも悪くも今の時代においてこれまでとは違う「生活」するための一部と捉えられることが多くなってきたと感じたからです。”軽トラック”にしたのもそんな「生活」というキーワードからでした。「車乗生活者」というのも創作のキーになっていました。ちなみに“軽トラック”という案を最初に出してくれたのは豊岡演劇祭実行委員の方からでした。ここでも感謝です。

「暴力」がシリーズを通して全体のテーマでもありました。今まさに様々な暴力が世の中に渦巻いています。自分自身も決して他人事ではないと感じてきた部分がありました。また、コロナ禍において「暴力」はどんどん拡張し膨大になり敏感になっていきました。それを考えていると現実に何度も押しつぶされそうにもなりましたが、圧倒的な現実にこそ表現は立ち向かっていかなければならない。と、そう思うからこそ、負けずに踏ん張り続けていたように思います。そのうち、もはやなんの「暴力」であるかとかはどうでもよくなっていって、今やってることそれ自体が「暴力」との戦いになっていったようにも思います。

その「暴力」ということから派生して「水」というのも大きなキーワードになりました。

そもそもは僕が先月から急に水が(衝撃的に)美味しく感じるようになったことに始まっているのですが(今は水ばかり飲んでいます)、根本的なところで「暴力」の解決には必ず精神的な潤い(水)が必要なのではないかと結びつけたところから始まっています。

水は上から下へと流れていきます。「山」に降り注いだ水も浄化されながら「海」へと流れていくわけですが、その水は果たして本当に浄化されているのだろうか。水は足りているのか。という疑問から転じて、人の浄化(暴力からの解放・精神的な潤い)とはどの状態を指せるのか。ということも想い描きながら今作を創作してきました。

0.9が終わって今思うのは、神鍋だから創れた作品がちゃんとできたということです。これは私自身の創作目標を十分に叶えてくれたのではないかなと思っています。一重に様々な方々の協力があってのことです。感謝ばかりしてますが、何度でも感謝します。本当にありがとうございました。


今は鳥の演劇祭13に参加するために、お隣の鳥取県鹿野町に来ています。
豊岡演劇祭で上演した『libido:AESOP 0.9』をさらにVer.を更新して今週末に上演する予定です。

新たな「今」を楽しんでいます。

鳥取より豊岡演劇祭2020が無事に終演することを心より願っております。

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2020年9月17日
岩澤哲野

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『libido:AESOP0.9』9/9〜11
※公演は終了しました。

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theater apartment complex libido:
岩澤哲野、⼤蔵⿇⽉、⼤橋悠太、緒⽅壮哉、鈴⽊正也による演劇の拠り所。これまで岩澤個⼈名義のプロデュースユニットであった「libido:」を2019年4⽉30⽇より集団化。「theater apartment complex」という冠を表し、千葉県松⼾市⼋柱・常盤平地区を拠点に、社会における演劇の価値の発⾒と、その為の新たな表現、コミュニティの創造を主とした活動を⾏っている。昨年、3都市ツアー公演を成功させた。

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【2020年9月9日(水)〜22日(火・祝)開催】美しい自然・歴史を背景に、兵庫県豊岡市を舞台に開かれる演劇祭。※お問い合わせはWebサイトよりお願いいたします。

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