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現金を持たない男の末路

ぼくは現金をあまり持たない男だ

何故なら現金は重いし、じゃりじゃり音が鳴ってうるさいし、何より財布を出して支払金額を計算するという一連の流れがめんどくさい

なのでいつもは財布にお金は最低限しかいれない

それともしものために携帯のカバーの裏や右の靴のインソールの裏、バッグの一番底などに1000円札を忍ばせている


しかし、今日の現金支払いのみのスーパーに行ったときには、これらの埋蔵金は一切なかった

人前で靴を脱いでインソールの裏を確認するという辱めを受けたのにもかかわらず見返りはなにもなかった

当然財布の中にも1円玉と10円玉が数枚ある程度でもやしくらいしか買えない金額しか入っていない

さらに僕はかごの中いっぱいに食材を入れていたので、これらをすべて元あった場所に戻さなければならなかった

僕は食材を戻している際にいろいろな感情があふれ出てきた

何故ここに来る前に現金がどれくらいあるのか調べなかったんだ、という自分の情けなさ

現金支払いのみなんて時代遅れすぎるだろ、というスーパーへの怒り

今までの時間を無駄にしたことからくる虚無感


僕は決めた

今度からは両足に1000円札を忍ばせておこうと

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