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オンライン試験ってやつは…

これはわたしの「オンライン受験」覚え書き。この「オンライン試験」はこれまでどのWEB経験とも異質で、心底驚いたよって話。試験を受ける空間に対する気づき、自分のコミュニケーション観について気づき。

大学や専門学校で教えるようになって20年、これまで、試験をつくるときも、試験を受ける学生の気持ちになってやってみて修正してきたつもりだったし、「なってみる→やってみる」ことには慣れているつもりだったけど、ホントに「なってみる」と想像をはるかに超える発見がたくさんあってビックリ。

ちなみに、わたしは、この1年、いろんな大学でオンライン講義をし、会議も勉強会もしてきた。それなりにWEB環境を整えて、ヨガのインストラクションだってできるようになった。だから、入試だってスムーズにいけると思っていたし、むしろ、交通費も時間もかからず、感染不安もなく受験できてラッキーくらいに思っていたんだけど…なにがなにが。

これからの時間の使い方、明日からの生き方に深く食い込んでくるような「一回きりの試験」とそれ以外の「重みの質」の違いのデカさだけじゃなく、それよりなにより、筆記、面接ともに、「変化(なくなったもの・加わったもの)」が自分にとって、予想以上に重要だったことへの驚きといったら!!!

違いなんて些細なこと!試験の形式はどうあれ受かる人は受かるでしょ!何があっても動じないからね!…と思っていた自分!おい!!めちゃんこ動揺してますけども!やばいやばいやばいやばい!!やばいんですけども!!!と突っ込みまくりの試験時間×2回。

以下、オンラインの筆記試験と(その一週間後の)面接試験に分け、それぞれについて、わたしの気づきを書き留めておきたい。作問担当や試験官、試験監督の教員だけでなく、ウチに受験生がいるよって人にも、どうか読んでほしい。

わたしは久々に「受験生」を経験して、高校生の息子と心の底から意気投合したから!これが今回の受験の最大の喜びだったから!!


【オンライン筆記試験編】


●「一緒にいること」の恩恵はデカかったんだな
・これまで「なんとなく雰囲気に乗っかってできていたこと」がなくなったのでめちゃんこ緊張する。


・周りに仲間がいないので「はじめ!的な言葉」を聞き逃すと、あるいは、聞き逃してるんじゃないかと、ひたすら不安。(「不正行為」って受け取られたらイヤなので下手に動けない)


・何をするにも監督にチャットで知らせなくてはならなくって、萎える。(リアル会場なら、辞書を落としたり、鉛筆が転がったりしたら気づいてくれるだろうに…)


・質問はチャットで、といわれてもチャット連絡なんかよっぽどの天変地異がないと使えない!(解答欄に対する疑問等、文章にして伝える気なんておきない)

●「生活」から切り離されることって大事だな
・自宅に宅配便やいろんな勧誘の人が来ないか不安。道路の工事、入居・退去の工事は突然に始まる!


・自宅リビングの机や椅子は「くつろぐ用」にできている!(学習に不向き!辞書も鉛筆もぼとぼと落ちていく…)


・それぞれが使う機器の差が試験結果の差に繋がっちゃうのに、そんな状況で何が測定できるんだ…(たとえばモニタのサイズで問題文の見え方が変わるんじゃないかと思う。スクロールしなくても問題が全部見える場合とそうじゃない場合なら、どう考えても前者が有利)

・移動時間がない分、移動のときにはしない&できない家事をしてしまう!(空間の移動と移動のための時間って、気持ちを生活から切り離すのに大事)

・ちょいちょいある「待ち時間」に、家具の埃やカーペットに落ちている髪の毛が気になる!

●「見えないもの」でしか繋がっていないってのは不安しかない…
 ・監督が動いていても、動いてなくても不安。(これ、わたしだけネットが落ちてるんじゃないかな、と何度も思っちゃう…)


【オンライン面接試験編】


●機材のチェック、念入りにしたけども、したけども!!!
「期日までに機材のチェックをしておけ」というルールだったから、ノートパソコン(さくさく動くやつを新調した!)でもiPadでも接続の確認をしたし、これを機に!って2か月前にネットの安定性を確保しようと「光回線工事」もしたんだけど、試験前日の夜にルーターの不具合でWi-Fiが「google検索とyoutube」しかできない状態になって…(トラブルの相談窓口が開くのは午前10時から)、急遽、iPhone12miniでの受験に。

あぁ、iPhoneで面接…。画面は小さいし、相手の声も小さいし、操作のポイントがいつもあるところにない…。ひー(これが筆記試験の前日だったら完全にアウト…。あぁ、そんな人がいたかもな…って想像して震えた…)

●声が吸い込まれてなくなっちゃった!
 ・相手の反応を見ながら自分の声を聴こうとしたら、自分の声が消えていく感覚がして驚いた。(何度も、あれ?聞こえていますか?って聞いちゃったのはそのせい。聞こえていないような反応に見えたからか、わたしは一生懸命しゃべっていたけれど「相手が聞いていないように見える=わたしは届けていない=わたしは話していない」って感じて、自分が何を言っているのか、わからなくなったし、何も残らなかった!)

●背景が気になってしかたない…
 ・なんだか試験官のテリトリーにお邪魔した感じで、居心地が悪い。(椅子の形とか書架への本の入れ方が気になるし、バーチャル背景の場合、なんでそれを選んだんかなって気になる。質問者がかわるたびに、お邪魔しますって感じて、思わず毎回「こんにちは!」って言っちゃったけど、試験監督全員はギャラリービューにしてたんだったら、わたし、変な人だよね…、っていうか、試験中に、こんにちはこんにちは言っちゃったこと自体がおかしいか)

●自分のサイズが気になってしかたない…
 ・画面にどんな大きさでうつっているのか、声の大きさはどうなのかが気になる。(自分の身体や声が、相手の操作の対象になる感じがとってもイヤ)

●相手の様子が気になってしかたない…
 ・わたしは誰かと話をするとき、相手の声の「強さ」や身体から匂いたつ「雰囲気」を感じて、それに応じて、自分とその人との関係をつくっていく感じが好きなんだけど、そのかわりになる情報を探して戸惑う。

***

「オンライン試験って…」なんて書き始めてみたものの、結局はなんだか自分自身への気づきだな、と思うわけなんだけども、、、この情報が誰かのお役に立ちますように。わたしのドキドキやソワソワよ、どうか成仏してほしい。

そう、これまで、わたしは「気になることがあったら質問したらいいじゃん!」って簡単に言ってきたけど、そんなことね、できるもんじゃない!!(で、こないだ、本務校の入試監督をして、なにやら忘れ物をしてきた受験生に「大丈夫、こんなことはなんでもないよ、合否に関係ないからね」って、力強く言ってた!!)


…うん、たぶん、これからのわたし、学生たちや子どもたちに、もう少し優しくなれるんじゃないかって気がしてる。


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