こめかみに新しい毛が生えた。
やけに長いいわゆる福毛だ。
少し引っ張ってみると
抜けるものか抜かすものかと対抗してくる。
いつのまにこんなに長くなっていたのだろう。
福毛はまっすぐ伸びる。
天パの私なのに、なぜかまっすぐ伸びる。
曲げてなるものか曲がってなるものかと反発してくる。
いつのまにこんなに長くなっていたのだろう。
新しい毛は新しい自分を主張する。
お前は何になりたいのだ?
私に何を伝えたいのだ。
福毛は抜けないいつまでも。
福毛はまっすぐただ伸びる。
これで良いのだ。これが良いのだと
いつか福毛を忘れるまでは。