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人を救う意味

 夏スタートのドラマの中で最も視聴率が良かったのが日曜劇場の「TOKYO MER」(TBS系列)である。架空の医療チーム、TOKYO MERで活躍する医師たちの物語で、リアルの医療現場を忠実に描いている。
 主演は鈴木亮平。実は4月スタートの木曜劇場「レンアイ漫画家」(フジテレビ系列)が惨敗し、みんなは大丈夫だろうかと心配していた。しかし、日曜劇場という安定した枠で誠実で頼れるリーダーの医師、喜多見幸太を演じて高い評価を得た。
 内容も、どんな現場であろうとも高い医療スキルとチームワークで死者ゼロを達成するという内容に日曜夜の憂鬱を抱えていた私たちの心を強く惹きつけた。ある思惑で喜多見を監視する官僚の音羽尚(賀来賢人)や厳しい目を向ける大臣の白金眞理子(渡辺真起子)ら敵が多いが、赤塚都知事(石田ゆり子)の味方もあり、なんとか目の前の命を救ってきたMER。だが、ここで一人の人物が登場したことにより歯車は狂い出す。
 それは国際テロリスト組織L9のメンバー、エリオット椿(城田優)であった。やがて喜多見の空白の1年間が椿を治療したことがテロリストを匿った罪となり投獄されていたことがわかった。やがて、椿が起こしたテロにより多くの犠牲者が出てひいては喜多見の妹、涼香(佐藤栞里)が犠牲になってしまう。バラバラになったMER。それをいいことに椿のテロ行為はエスカレートしていく。
 そして、最終回。エスカレートした椿の暴走により、テロが相次いだ。喜多見はおらず、MERのメンバーは動きを封じられたまま。だが、ここで白金大臣が動き出す。なんと近県の救急に応援要請をしたのだ。赤塚都知事に言われた言葉が心に響いたのだろう。天沼幹事長(桂文珍)からは睨まれたが、医療に国も都もないということを改めて問うことになった。
 そして、椿が東京海浜病院に現れ、新たな爆弾を見せる。公安警察に撃たれた椿を救ったのは喜多見だった。彼は救うべき人をなんの取り止めもなく救っていく。このドラマを通して人を信じ、人に向き合うことの大切さを教えられた気がするのは私たちではないはずだ。こういうドラマに出会ったことは今も忘れられない。

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