二次電池評価の常識を打ち破る効率化・高速化・コスト削減を実現

2021年12月時点の内容です


はじめに

リチウムイオン二次電池が実用化され、多くの新しい産業が生まれて社会はより便利になりました。リチウムイオン電池は携帯電話やスマートフォンの普及に大きく貢献しましたが、将来は自動車がガソリンを全く使用せず電池だけで駆動するなど、数年前は想像もできなかった社会が訪れるかもしれません。近年、多くの企業がSDGsに沿った活動指針を明示し、脱炭素化の実現に向けた企業活動を推進しています。これにより、二次電池の新たなニーズも生まれ、安全に長時間使用できるもの、車を動かせるほど大電流を流せるもの、軽くて小さいものなど、電池に求められる要件は年々ハードルが高くなっています。

本稿では、今後より一層の開発が進められる二次電池を効率よく評価するためのシステム、BioLogic(バイオロジック)社の「BCSシリーズ」について、当社製ソフトウェアを含めたソリューションをご紹介します。

二次電池開発に必要な試験 ― 充放電試験とインピーダンス測定

バイオロジック社は1983年にフランス・グルノーブルにて創業し、高品質かつ高精度な電気化学測定機器、充放電装置を供給する世界最高峰のメーカーです。当社は、2016年10月よりバイオロジック社の日本における総代理店として電気化学ソリューションの販売、技術サポートを行っており、新機能追加、製品開発にも積極的に取り組んでいます。今回ご紹介する「BCSシリーズ」は、インピーダンス測定機能を搭載した最新型の充放電システムです。

「BCSシリーズ」の製品ページ
https://www.toyo.co.jp/material/products/detail/BCS-805.html

現在、国内外を問わず多くの研究機関、大学、民間企業が新しい二次電池の開発を進めていますが、二次電池の研究開発において欠かせない試験の一つが充放電試験です。文字通り、電池を充電/放電させて何サイクルまで容量を維持できるか確認する電池の寿命試験です。しかし、この充放電試験は非常に長い時間を必要とするだけでなく、これだけでは劣化の過程が分かりにくいという欠点もあります。

そこで、劣化過程を詳細に把握するために、電気化学インピーダンス測定法が広く用いられています。インピーダンス測定は、外部から微小な交流信号を入力して電池内部の劣化状態を評価する非破壊試験です。充放電試験にて充電/放電を繰り返した二次電池に対して、定期的にインピーダンス測定を実行することで、電池内部の劣化状態を解析することができます。多くの研究者は「充放電装置」を用いて充放電試験を実施し、「電気化学測定装置」を用いてインピーダンス測定を実施しています。しかし、この方法では充放電試験を実施後、二次電池を充放電システムの配線から取り外し、インピーダンス測定を実行するための電気化学測定システムへ配線変更しなければいけません。また、インピーダンス測定後は、再度電気化学測定システムから充放電システムへ配線変更をする必要があり、これらの配線替えは作業工数を必要とするだけでなく、作業者が配線を間違える、接触抵抗の再現性が取れないなどの問題を誘発します。結果として、電池の研究開発期間の遅れや余分なコストが発生し、競争力の低下につながります。

「BCSシリーズ」で二次電池の評価を効率化・高速化

バイオロジック社の「BCSシリーズ」は充放電装置にインピーダンス測定機能を搭載した新世代の充放電システムで、充放電試験とインピーダンス測定の配線替えが不要です。当社では、恒温槽の温度制御を自動化するソフトウェアや、大量のインピーダンスデータを自動で処理・解析するソフトウェアを自社開発し、「BCSシリーズ」と組み合わせて評価を高速化するソリューションを提供しています。

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