水産業における近年の技術向上とその利用
2020年9月時点の内容です
はじめに
水産資源、つまり「魚がどのくらいの量いるか」を遠隔的に把握する手法があれば、どんなによいでしょうか。具体的には、「いつ、どこに、どんな種類でどのくらいの大きさの魚が、何匹いるか」といったところです。このことは、裏を返せば予測にもつながるため、「明日、ここに網を仕掛ければ、いくらの儲けになる」とか「今週は、価格が安い小さな魚しか出ないから、網の修理をしよう」と予定を立てることが、漁師の判断でできるかもしれません。これらは水産資源の「自主的な」利用・管理につながると考えられます。
しかし、魚のような移動物体の予測は難しいのが現状です。陸上の技術に例えるのであれば、渋滞予測や気象レーダーなどでしょう。長期休みの時期には、高速道路が、どこで、いつごろ、どのくらい渋滞するかが情報として配信されます。しかし、車種や大きさといった詳細な情報は、必要性が低いため今のところ一般には公開されていません。また、高速道路のような「決まった道」が海中に存在するのかと問われれば、今のところ明確な「魚の通り道」は、暖流と寒流がぶつかり合う潮目くらいしか我々は把握していません。