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社保庁解体の裏側⑤仕組まれた組織解体へのシナリオ

こんにちは。
とよぞうです。

不祥事の裏側には決して表沙汰にされない実態があります。
組織的な不祥事の場合、綿密に練られたシナリオに従い組織幹部にとって実に都合よく事が進み収束していく。
不正を指示した幹部が裁きを受けることは決して無く、口を封じられ葬り去られるのはいつも力なき者たちだ。

なぜなら公務員組織の幹部やOB幹部というのは天下り先に独立行政法人や大企業などが係わっているケースも多く、万が一過去の不正が発覚すればとんでもないスキャンダルに繋がってしまうからだ。

社会的問題にまで発展した社保庁組織の数々の問題は、長年に渡って組織を食い物にしてきたOBや幹部達が何ら責任を取ることなく500人を超える末端職員の首を差し出す形で幕を閉じた。

数々の不祥事や無駄づかいをこれ以上叩かれないためには組織を無くすことが最善だった


かつて好景気の裏側で好き放題やってきた社保庁幹部OBたちにとって、過去の無駄遣いや不祥事をほじくり返される事はさぞかし耳障りだったことに違いない。
同時に未だ明るみになっていない数々の不正行為がいつ暴かれるのか不安で仕方なかったことでしょう。
特に上場企業などに天下った社保庁幹部OBや厚労省OBにとっては天下り先でずいぶんと肩身の狭い思いをしたに違いありません。まあ自業自得ですけど。

社保庁解体を促したのは第三者委員会であり政権政府です。
様々な機関や組織からどれだけの圧力がかかり、実際のところどのような話し合いがされていたのかは誰も知ることはできません。
結果から見ればすべての責任を末端職員だけに押し付けて組織を無くしてしまうことで騒動の幕引きを図った。
あれほど国民を煽ったマスメディアも呼吸を合わせるようにそれ以上追求しなくなった。

社保庁解体は組織の膿を一掃したと言われているが、本当の膿を追求し解明することはしなかった。組織を残したうえですべてを解明してから解体でもおかしくはなかった。
社保庁解体は明らかにシナリオ通りに進められた出来レースだったが、誰一人として疑問を口にはすることはしなかった。
よほど組織を残すことの方が都合の悪い人達が沢山いたのだろう。
どれほどの大物が過去の不祥事に関わっていたのか計り知れない。

組織解体はすべての問題を片付けてしまう絶好のチャンスであり公務員削減のノルマも同時に達成できた。まさに一石二鳥。
こうして組織的に行れてきた不正行為を完全に隠蔽し永久に葬ることが許されてしまった。

天下り先の開拓に堂々と使われた随意契約


この組織が天下り先の開拓手段として多用した随意契約ですが公表されているケースは氷山の一角にすぎません。

随意契約とは入札をせずに相手方を選んで契約することを言います。
会計法によれば通常一般競争入札を原則としていますが、契約額が少額もしくは緊急性が認められる場合に限り特別措置として随意契約が適用される。

社保庁が指摘され続けたムダ使いは年金保険料が不当に使われたイメージばかりが先行しているが、全てのムダ使いの裏には随意契約による天下り先の開拓が目的になっていた。
しかも社保庁のみならず厚労省の幹部もかかわっている。
ムダ使いの目的は天下り先の開拓だということは明らかなのにメディアはムダ使いだけを強調して報じ続けた。
過去の天下りをすべて調べれば判ることなのに何故かメディアは報じない。
それだけ強力な圧力があったということだ。

ムダ使いの温床とされた随意契約をめぐっては社保庁オンラインシステムをNTTデータ社に随意で発注し総額9千億円にのぼる年金保険料が支払われている。
当初幹部は天下りを否定していたがその後の調査で実態が判ると天下りがあったことを認めている。

また、国民年金保険料を徴収する際に使用する目的で購入された金銭登録機の汚職事件でも随意契約が使われた。
一台6万円程度の機械を12万円で購入。事務所ごとに規模の大小はあるが一事務所予備も含めて20台程度。
純利益6万円×20台×312か所=3億7千4百4十万円。
庁一括で購入せず全国312か所それぞれの社会保険事務所ごとに特定の業者と随意契約させるという前代未聞の組織的なこの事件。
独占的に受注させた主犯の現役課長が逮捕されました。見返りとして現金を受け取ったり海外旅行へ招待された共犯の幹部たちも摘発された。

これほどの事が堂々と行われても、周りの職員誰一人として不思議がる様子もなかった。
それが公務員というものなんです。
自分に関係ない事はとことん見ないふりをする。
それが体質。それが社保庁という組織だった。

事件に関与したとされる一部の人間だけが処罰されたがそれ以上に関わっている人間がいたことは間違いない。ここでもトカゲのしっぽは切られている。

権力を手にした人間の周りには権力を手にしたいと思うものが集う。権益が絡めば欲望は抑えきれなくなって盲目になる。感覚が世間とずれている公務員ほど百戦錬磨の人たちの言いなりになってしまうもの。そしてその責任を立場の弱いものへ擦り付けることしかしない。自分で責任を取ることなど選択肢に無く考えようともしない。

公表された社保庁の不祥事は氷山の一角に過ぎず組織解体によってすべては闇へ葬られた。

これほど巨額な年金保険料を私利私欲のために使い天下りに利用した幹部OB達は追及されず、幕引きのために急ごしらえで用意された覗き見で吊るしあげられた末端の職員たち。
中には無断で磁気カードを使用されて罪を擦り付けられた職員もいる。
何十年も覗き見し放題だったこの組織は解体直前のわずか半年間だけを調査機関の対象と定めた。
その調査結果を元に500人を超える末端職員に組織の膿という汚名を擦り付けた。
過去の不祥事などすべて無かったかのように覗き見した職員だけが組織の悪だと一方的に強調し印象づけた。
そして日本年金機構に組織変更する際には「組織の膿は完全に一掃できた」と言い放った。

公務員組織とは幹部を守り末端を切り捨てる


悪の組織というのは内部告発に対して「精神疾患を患っている職員の発言だ」などといった表現で事実無根を強調してきます。
反旗を翻せば抹殺される。
それゆえに社保庁の内情を知る者たちはどこまでも無言を貫く。

結局メディアも強い力には逆らえない。
真実が公表されることはありません。

私も社保庁という組織にさえ入っていなければ公務員を辞めなくてもよかったかもしれない。
しかし長年に渡る不正行為の積み重ねを最終的にすべて末端の職員に押し付けて組織を解体するという形で収束させた茶番劇を内側から見られたことは貴重な経験だったのかもしれません。

尻に火が付けば組織なんてものは簡単に末端を切り捨てる。すべてを押し付けて。

これからの公務員はどう変わっていくのか


2025年までに世の中は大きく変わっていくでしょう。
行政改革も行われ民営化する公務員組織も出てくると思われます。
それまでにどう行動したらよいのか、自分は今どこに位置づけられているのか、組織にしがみつくのか辞めるのか…

私はいまさら過去の事をどうこうしたいとも思わないしどうでもいい。
私が見てきた社保庁という組織の縮図から、公務員の皆さんが組織の中でどう生きていけば良いのかを少しでも参考にしていただければと思います。

今後はいろいろと提案していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

ではまた。



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