興味ある ?和楽器の弦の製法と産地
三味線の弦は、どこで作られているか知られていますか?
和楽器弦の産地が賊ヶ岳山嶺にあります。
湖北地方のひとつである滋賀県長浜市木之本町は、今も人の手によってまゆから原糸がつくられ、そこから弦にするまで10を超える工程が手作業で行われています。
そもそも日本では、明治以降、大量の生糸を海外へ輸出してきました。当時、養蚕業・絹糸生産は貴重な外貨獲得産業として近代化の礎を築きました。農家にとっても養蚕は貴重な現金収入源で、全国各地で生産されていました。
しかし、太平洋戦争以降、化学繊維の発明や安い輸入生糸の流入により、産業としての養蚕・製糸業行はどんどん衰えていきます。湖北地方も同様に衰退はしましたが、木之本地区では今でも独特の製法による糸作りが行われており、三味線、琴、琵琶など和楽器用の弦が造られています。
全国で生産された生糸は、ばらつきのない均質さが重視されます。それは絹織物のための糸のために作られているからです。しかし楽器用の生糸は特殊製糸と呼ばれ、絹織物とは求められる性質が異なります。製造工程に手作業による「座繰り」と呼ばれる糸取り工程があり、機械による大量生産ができないためです。
丸三ハシモト株式会社は木之本で110年にわたって和楽器糸を作り続けており、商品の種類は400以上にのぼります。和楽器には、三味線や琴など和楽器はすべて使われる弦が異なります。さらに同じ種類の楽器でも細かく種類が分かれる上に地域や流派によっても求める音色が異なっているため、それ用の糸が必要です。12の複雑な工程を手作業で行う必要があり、熟練した技が不可欠になります。
弦は何本もの生糸を撚(よ)り合わせてつくられているそうです。撚り方や固さを工夫し、求められた音色に合わられるかが職人の腕の見せ所。製法は代々伝えられてきましたが、音色は完成のものなので、文字や数値で残せないのが難しいところなのだとか。最近は中国の古典楽器の演奏家からの依頼なども同地には届いているようで、中国の弦も手がけ始めたそうです。なんとかして、守りたい産業です。
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