地獄絵図と化した2024年都知事選で外山恒一氏(53)が勝利宣言 「民主主義の打倒を目指す我々の闘いは確実に前進している!」

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満面の笑みで「勝利宣言」する外山氏。
「かくすればかくなるものと知りながら、取り返しのつかないことをしてしまった!」
と反省めいた弁も口にしていた。

 地獄のような都知事選が始まった。
 衆愚政治の祭典たる選挙などもともと地獄であるとはいえ、ことに都知事選では近年、売名目的なのか自己表現なのか自分探しなのか、それともハタからは窺い知れない何らかのやむにやまれぬ衝動に突き動かされてのことか、キテレツとしか云いようのない意味不明な〝インディーズ候補〟の意味不明な出馬が相次ぎ、当選するのは1人であるにも関わらず、回を追うごとに立候補者の数は増加の一途を辿って、今回2024年の都知事選の立候補者はついに50人を超えてしまった。
 一地方選挙であるにもかかわらず全国的な注目を集める都知事選には、太古の昔から奇抜なインディーズ候補の出馬が多く、大日本愛国党総裁の赤尾敏氏、ゲイ活動家の東郷健氏、前衛芸術に何らかの関係があるらしい秋山祐徳太子氏、ロックンローラーな女優・樹木希林氏の夫として知られる内田裕也氏、いろんな発明をしているとかしていないとかのドクター中松氏などの例は多少なりとも知られていた。
 しかし、まさに地獄の釜のふたが開きっぱなしになったような近年の都知事選の末期的狂騒は、2007年の都知事選に出馬して「政府転覆」を呼びかけた外山恒一氏の、過激かつコミカルな政見放送を決定的な起点としていることは、衆目の一致するところである。
 ちょうど動画投稿サイト「YouTube」の黎明期と重なった外山氏の都知事選出馬は、YouTubeに何者かがゲリラ的に公開したその政見放送動画が数日間にわたって視聴回数世界一を記録したのをはじめ、ネット上で一大ブームを巻き起こした。もともと狭い反体制運動の世界ではそれなりに知られていた外山氏だが、都知事選出馬によって飛躍的に知名度を上げ、そのことが近年の『良いテロリストのための教科書』(青林堂・2017年)、『全共闘以後』(イーストプレス・2018年)、『政治活動入門』(百万年書房・2021年)など相次ぐ著作の刊行、さらには新聞記者の手になる伝記『人民の敵  外山恒一の半生』(藤原賢吾著、百万年書房・2023年)の刊行にまでつながっており、今や外山氏は、政治学者の白井聡氏、社会学者の宮台真司氏、批評家の佐々木敦氏、前衛芸術家の会田誠氏などからも絶賛される、〝知る人ぞ知るメジャー知識人〟の仲間入りを果たしつつある。2014年以来、外山氏が年に何度も開催している10代・20代の若者を対象とした「教養強化合宿」の出身者は、なんとすでに400人を突破しているという。
 この「成功例」に刺激を受けて、外山氏に続けとばかりに、以後、都知事選や国政選など政見放送が付随する各種選挙に、マック赤坂氏、立花孝志氏、後藤輝樹氏といった有象無象が次々と湧いて出て、それなりの思想的基盤に立脚した「芸」を披露してみせた外山氏の政見放送の足元の地下1000メートルにも及ばない、ゴミのような激安素人芸プロモーション動画を量産しはじめた。外山氏自身は、2007年の1度きりしか都知事選には出馬していないが、その後も都知事選を含む大型選挙に際して頻繁に、街宣車で選挙区内を走り回って「合法的選挙妨害」を繰り広げるパフォーマンスを敢行して話題を呼んでおり、先ごろ問題化した衆院補選での「つばさの党」による「選挙妨害」も、外山氏のそれら一連の行動を参照したものと考えられる。
 かくのごとく、近年の都知事選の惨憺たる地獄絵図の「元凶」は、間違いなく外山恒一氏なのである。
 外山氏自身がそのことをよく自覚しているらしく、ツイッターなどには「私のせいですみません」などとの書き込みも見られるが、しかし続けて「深く反省して、現在では、いっそ都知事選なんかやめてしまおうと広く呼び掛けているところです」などと自身の「反選挙」の主張の正当化に結びつけてもおり、どこまで本気で反省しているのかについては疑問視する向きも多かった。
 その外山氏が、行きつくところまで行きついた感があり目も当てられない2024年都知事選の、告示日となった本日、都内某所で「勝利宣言」を発表した。以下がその内容である。

 「私が2007年に都知事選に出馬した目的は、しょせん多数派のお祭りたる選挙制度、ひいては民主主義の破壊である。政見放送に付されたナレーションの手違いから、私のことを今なお極左活動家であると誤解している者も多いが、それは過去の話で、2007年に都知事選に出馬した時点で私はとっくに極右ファシストに転向していた。つまり私は反民主主義を旨とするファシストとして、まずは民主主義の根幹たる選挙制度をガタガタに揺さぶり、崩壊せしめるためにこそ都知事選に出たのである。いわばあの都知事選出馬は、民主主義打倒の闘いの開始を告げる狼煙であった。そして今回の都知事選の地獄絵図はその端的な成果と云える。2007年に私が開始した民主主義打倒の闘いは、2024年現在、ついにここまで来た。民主主義とはしょせん、このような地獄を招来する政治システムなのだ。多くの者がその現実を突きつけられ、困惑し、悲鳴を上げながら、選挙制度ひいては民主主義を疑う健全な認識に目覚めつつある。我々の闘いは勝利に向けて確実に前進しているのだ」

 今回の都知事選では、外山氏はこの「勝利宣言」の発表以外には、とくに何もやるつもりはないらしい。ふだんは九州にいるはずの外山氏が、こともあろうに都知事選告示のタイミングで上京しているのは、つい最近(5月14日)東京・高円寺にオープンした「BAR人民の敵」などに関連する所用のためで、都知事選と重なったのは「たまたま」とのことだ。なお「BAR人民の敵」は、ふだんは前記「教養強化合宿」出身の若者たちが日替わりでバーテンを務めるBARで、外山氏自身も今後約3ヶ月おきに上京して1週間ほどカウンターに立つということを繰り返す予定だという。
 相次ぐ著作の刊行や、後進の若者の育成に続く、東京出張拠点の開設。外山氏の「民主主義打倒」の闘いは着々と成果を上げつつ、現在進行形であり続けているとみえる。

参考
 ・外山氏による(建設的!)選挙制度改革案
 ・外山氏の活動関連動画集
   (2014年および2016年の都知事選でのパフォーマンス動画あり)


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